森本日銀委員:原発全面停止なら大変大きな影響-コスト増不可避

日本銀行の森本宜久審議委員は23 日午後、長崎市内で会見し、原子力発電所の運転が「来年春以降、全 部止まってしまう事態も最悪考えられる」とした上で、仮に全面的に 停止すれば、「製造業をはじめ、日本経済全体の先行きに大変大きな影 響を与える」と述べるとともに、「供給力の問題もあり、コストが上が ってくることは間違いない」との見方を示した。

森本委員は東京電力の出身。電力の安定供給について「長い目で 見て、不確実性が増してきている」と指摘。現在休止中の原発の運転 が順調に再開されるかどうか「予断を許さない状況だ」と語った。

東京電力に加え、関西電力が管内の企業、家計に今夏の15%節電 を呼び掛けるなど、浜岡原子力発電所の運転停止を機に全国的に原発 の運転再開が困難になり、電力不足が長期化する可能性が高まってい る。白川方明総裁は14日の金融政策決定会合後の会見で「少し長い目 でみた電力不足問題」は、前回会合よりも「リスク要因として意識せ ざるを得ない」と語った。

東京電力の社債のスプレッド(国債との利回り格差)が大きく拡 大しており、こうした動きは他の電力会社にも及んでいる。森本委員 は金融市場に与える影響について問われ、「社債市場は全体として落ち 着きを取り戻している。いろいろな企業の起債の動きが広がっている。 総じて見れば発行環境は改善しているのではないか」と述べた。

一段の震災地支援「検討していきたい」

日銀は東日本大震災の被災地の金融機関を対象に、復旧・復興に 向けた資金需要への初期対応を支援するため、金利0.1%で総額1兆 円の「被災地金融機関を支援するための資金供給オペ」を実施してお り、既に2回のオペにより貸付額は累計約2000億円となった。森本委 員は「この融資の状況を見ながら、われわれとして、さらに何か貢献 できるところがあるのかどうか検討していきたい」と述べた。

森本委員は同日の講演で、ギリシャの財政問題に対する懸念から、 同国を含む欧州の一部諸国で国債利回りが上昇していると指摘。その 上で「金融市場から実体経済全体にダメージが広がる可能性がある」 と述べた。会見でもギリシャ問題は「予断を許さない状況にあり、海 外経済をめぐるリスクがやや大きくなっている」と述べた。

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