森本日銀委員:海外経済めぐるリスクが「やや大きくなっている」

日本銀行の森本宜久審議委員は23 日午前、長崎市内で講演し、ギリシャの財政問題の深刻化により欧州 の一部諸国で国債金利が上昇していることや、新興国の景気過熱やイ ンフレ懸念が依然消えていないなど、海外経済をめぐるリスクが「こ れまでよりやや大きくなっているように感じられる」と述べた。

国内経済については「生産は7-9月中に震災前の水準まで戻る 可能性が強まっており、秋口ごろには供給面の制約がおおむね解消さ れるのではないか」としながらも、「未曾有の津波や原発事故を伴った 大震災なので、その影響の不確実性からくる下振れリスクを最も重く 受け止めざるを得ない」と語った。

日銀は14日の金融政策決定会合で、経済成長を促すため、出資や、 不動産など従来の担保に依存しない動産・債権担保融資を対象に、5000 億円を上限として、年0.1%の金利で最長4年間の貸し付けを行う新 しい枠組みを決定した。

森本委員は欧州経済について「4月ころからギリシャの財政健全 化や資金調達計画の実現性に対する疑問が生じ、国債利回りは10年物 で15%を超えるなどかつてない水準まで上昇し、他の周縁国の金利も 上昇した」と指摘。金融市場から実体経済全体に「ダメージが拡がる 可能性がある」と述べた。

商品市況上昇で民需の下押しも

新興国経済についても「景気の過熱やインフレ懸念が十分に鎮静 化されている状況ではなく、より長い目でみれば景気の振幅が拡大し て持続的成長を損なう恐れもある」と指摘。また、国際商品市況が一 段と上昇すると、その分家計の購買力は弱まるし、企業収益も一層厳 しくなり、「国内民間需要が下押しされる」リスクがあると語った。

さらに、震災の影響について「供給面の制約が解消する時期、震 災で損なわれた設備等の復旧が本格化する時期やその規模、そして消 費者や企業のマインドを通じた影響などの見極めが、なかなか難しい」 と指摘。震災の影響から成長力に対する懸念が高まり、企業や家計の 中長期的な成長期待が下振れると、「支出意欲が抑制され、経済が長期 間下押しされるリスクがある」と述べた。

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