バイオリンの名器は「非常に良い投資先」-豪室内管弦楽団が基金創設

サトゥ・ヴァンスカ氏は、オース トラリア室内管弦楽団が保有する180万ドル(約1億4000万円)のバ イオリンの名器、ストラディバリウスを初めて手にし、フィンランドの 作曲家ジャン・シベリウスのバイオリン協奏曲の最初の部分を演奏した 時、これこそが自分の求めていた楽器であることを知った。

同楽団のアシスタントリーダーであるヴァンスカ氏(32)は電話イ ンタビューで「これが自分の楽器になると思うと、ちょっと緊張するけ れど、とても幸せな気分になる」と語る。

このバイオリンは、イタリアで17-18世紀に活躍した弦楽器製作 者アントニオ・ストラディバリが1728年と29年に製作した。同楽団 が創設した基金の初めての資産だ。この基金は、投資家に希少な楽 器の価値に対して投機するチャンスを提供する。

楽器を専門に競売を手掛けるタリシオが21日開催したオークショ ンでは、「レディー・ブラント」と名付けられた1721年作のストラデ ィバリウスが過去最高値の980万ポンド(約12億7000万円)で落札 された。この価格は、サザビーズでの1971年の落札価格8万4000ポ ンドの116倍に相当する。ストラディバリが製作した弦楽器はストラデ ィバリウスと呼ばれる

ブランダイス大学(米マサチューセッツ州)のキャスリン・グラッ ディ教授(経済学)は「バイオリンは非常に良い投資先のようだ」と指 摘。「リターン(投資収益率)は美術品と比べても遜色ない。株式より は低いが債券の平均をわずかに上回る。リターンは安定しており美術品 ほど変動しないため、ある意味、安全性の高い投資先と言える」との見 方を示す。

グラッディ教授が2008年に発表した調査結果によると、ストラデ ィバリと、同じく17-18世紀のイタリアの弦楽器製作者ジュゼッペ・ グァルネリが製作したバイオリンの1980-2006年のリターンは年率平 均6.9%。S&P500種株価指数のリターンの平均は9%以上、米国債 は約6.6%となっている。

新基金は同楽団の芸術監督であるリチャード・トグネッティ氏が発 案した。同氏は米映画「マスター・アンド・コマンダー」(03年)で 俳優のラッセル・クロウにバイオリンの演奏を指導したことで知られ る。楽団の収入の大半はチケット収入と資金提供によるものだが、楽団 員が世界有数の名器を演奏する機会を得られる方法を模索していたとい う。

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