ドルが対ユーロで売り優勢、米QE2後を見極め-ドル・円80円台前半

東京外国為替市場では、ドルがユ ーロに対して売り優勢となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)を 控え、今月中に終了する量的緩和策第2弾(QE2)後の政策動向に対 する警戒感から、ドル買いに慎重な姿勢がくすぶった。

午前の取引では対ユーロでドル売りが先行。朝方には損失を限定す るためのユーロ買い・ドル売りを巻き込んで一時1ユーロ=1.4384ド ルと、4営業日ぶりのドル安値を付けた。その後1.43ドル台前半にド ルが値を戻す場面も見られたが、午後3時39分現在は1.4373ドル付 近で取引されている。

同時刻現在のドル・円相場は1ドル=80円15銭付近で推移。朝 方に付けた80円35銭をドルの上値に一時は80円09銭まで水準を切 り下げていた。しかし、午後の取引にかけて上下ともに限定的となり、 値幅は26銭にとどまった。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、ギリシャ政権の 信任投票をめぐる不透明感は残るものの、第2次融資の実行については ある程度前向きに検討しているとの見方から、ユーロ圏の債務問題は 「ギリシャだけで収まる」との安心感が生じつつあると説明。米経済の 弱い材料が目立つ中で、FOMC声明で量的緩和の長期化観測が強まる 可能性もあり、「欧州サイドの材料だけで、ユーロを売ってドルを買う わけにもいかない」としている。

米金融政策動向を見極め

米連邦準備制度理事会(FRB)はこの日から2日間の日程でFO MCを開く。バーナンキ議長は今月7日に行った講演で、「米経済の生 産活動は依然として潜在力を大きく下回る水準だ」とした上で、「その ため、緩和的な金融政策がなお必要とされる」との見解を示している。

この日の米国時間には5月の中古住宅販売件数が発表される。ブル ームバーグ・ニュースがまとめた市場予想では、前月比で5%減の480 万戸(年率換算、中央値)と、昨年11月以来の低水準が見込まれてい る。

SMBC日興証券国際市場分析部、為替担当の松本圭史課長は、F OMCについて、米経済指標の内容を踏まえた景気認識の変化や出口戦 略までの時間軸が注目されると指摘。その上で、しばらくは金融緩和状 態を続けていくという姿勢があらためて示されるとみており、加えて景 気に対して市場が期待したほど強気の見解にならなかった場合は、「ド ル安材料として捉えられやすい」としている。

ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト58人を対象に先週実施 した調査によれば、FRBが10月になるまで、あるいはそれ以降もバ ランスシートを現在の規模のまま維持すると79%が予想した。これは 4月のFOMC開催前の52%を上回る。

また、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を「長期にわたっ て」低い水準に維持するというFOMC声明の表現をめぐっては、削除 されるのは10-12月以降になると9割が回答した。

ギリシャ政権の信任投票を警戒

一方、この日はギリシャ議会がパパンドレウ政権の信任投票を行う 。SMBC日興証の松本氏は、ギリシャ側がしっかりとした姿勢を示せ ば、支援に向けた動きもスムーズになるものの、信任投票などが「波乱 要因になる可能性がある」と指摘。「完全に不安が払しょくされるまで には時間がかかる」とみている。

21日付のドイツ紙ウェルトによると、米格付け会社スタンダー ド・アンド・プアーズ(S&P)はギリシャの債務の自発的な再編をデ フォルト(債務不履行)として扱う公算が大きいとの見解をあらためて 示した。欧州ソブリン債評価責任者、モーリッツ・クレーマー氏が同紙 に語った。

ギリシャのパパンドレウ首相は20日、ブリュッセルで「国家とし て、政府として、ギリシャ財政の生存力を高めていけるよう、赤字削減 策を遂行し、前進し、必要な措置はすべて講じる決意だ」と言明した。

ユーロ圏の財務相らは7月3日にも臨時会合を開く。欧州連合(E U)の行政執行機関、欧州委員会のレーン委員(経済・通貨担当)は、 新たに技術チームを21日にアテネに派遣し、ギリシャがEU、国際通 貨基金(IMF)と交わした覚書を実行しているか検証することを明ら かにしている。

前日の取引で1ユーロ=113円60銭まで下落していたユーロ・円 相場は、この日の東京市場で一時115円35銭と、4営業日ぶりの水準 まで上昇。しかし、その後は再び115円台を割り込む場面もみられ、 上値は限定的となった。

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