原子力は今後も基軸、エネルギーコストや安定性で-森関経連会長

原子力発電への不安が高まる中、 5月に関西経済連合会会長に就任した関西電力の森詳介会長はコスト や供給の安定性などを総合的に判断すると、日本のエネルギー源とし て原子力が「今後も基軸であることは変わらない」との考えを強調し た。東日本大震災に伴い、東京電力の福島第一原発で放射能漏れ事故 が発生した。

森氏は14日の大阪市内でのインタビューで、資源の少ない日本に とって原料ウランが石油などと比べて比較的に安価で安定的に調達で きる原発は「純国産のエネルギー」とも言うべき存在と指摘。エネル ギー問題を考える際に必要な環境とコスト、安定供給という3つの要 素を同時に満たす原発の「基幹エネルギーとしての大切さは変わらな いと思っている」と話した。

ウェブサイトの会社案内によると、関電は2010年3月期の発電電 力量の割合が原子力45%で、火力44%や水力10%を上回った。太陽 光や風力発電などの新エネルギーは1%だった。森氏は原発事故の影 響で新エネルギー普及の機運が高まっており、今後は増える方向にあ るのは確かだと指摘しながらも、コスト面や供給の安定性に不安が残 り、原子力に取って代わることは「あり得ない」との考えを示した。

イタリアが原発再開計画などの是非をめぐり国民投票を実施した ことについて、エネルギーや防衛など国の根幹にかかわる問題は「国 民投票で決める性質のものではない。そんなことをしたら国が成り立 たなくなる」との考えを表明した上で、「そのときの空気の流れで動い て国の将来を決めてしまうようなことはするべきでないと思うし、日 本では支持されないと信じている」と強調した。

政府は現実のコストを明示へ

クレディ・スイス証券の西山雄二アナリストは福島第一原発の事 故についても現段階では処理に必要な費用がはっきりと分かっていな いと前置きした上で、森氏の原発コストに関する発言について「事故 前から言っていたことを繰り返しているだけ」との印象を受けると述 べた。

政府の原子力対策本部が今月まとめた福島原発事故の国際原子力 機関(IAEA)に対する報告書では、原子力発電の「安全確保を含 めた現実のコスト」を明らかにした上で、「原発の在り方についても国 民的な議論を行っていく必要がある」と結論づけている。

原発稼働できず夏場の節電要請

関電は10日、7月1日から9月22日の平日の朝から夜まで15% の節電を利用者に要請。これについて森氏は、福島原発事故や中部電 力浜岡原発(静岡県御前崎市)の稼働停止を受け、定期検査を終えた 関電管内の原発4基を再稼働できないため、「このままだと夏の需給が 非常に厳しいことになる」と説明。「企業には苦労をかけるが、われわ れの事情も説明して節電の方法もできるだけ生産活動に影響のないよ うなものにする相談にも乗るなどして対応していきたい」と話した。

政府への要望として、福島原発事故の原因究明を進めることや、 操業停止した浜岡原発と関電管内の原発の状況の違いなどを地元に詳 しく説明して再開への了解を取り付けることで「節電というような声 を上げなくていいような形にしてもらいたい」と話した。

森氏が関電に入社した1963年ごろ、電力需要で関西は全国の25% 近くを占めていたが、その後は地盤沈下が続き、現在は17%程度まで 下がっているという。

関西が長期低迷する要因として森氏は、道路や空港などのインフ ラ整備で「国の資源の投じ方が東京と大阪で全然違っていた。一極集 中することによって国としての効率を追求してきた」と話した。

鉄は熱いうちに

戦後の復興から高度成長期にかけては一極集中もそれなりに機能 してきたが、今回の震災で「政治経済の中枢機能が麻痺するリスクが 顕在化した」という。「鉄は熱いうちに打たないとだめ。4-5年もす ると忘れられてしまう」と述べ、首都機能分散の機運が高まるように 努め、関経連として積極的に提言していきたいと話した。

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