6月20日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、 商品相場は次の通り。

◎NY外為:ユーロが対主要通貨で上昇、ギリシャ問題解決に期待感

ニューヨーク外国為替市場では、ユーロが主要通貨の大半に対し て上昇。欧州財務相がギリシャのデフォルト(債務不履行)回避につ いて道筋をつけたとの見方から、域内債務危機に対する投資家の懸念 が緩和された。

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ルクセ ンブルク首相兼国庫相)が、ギリシャのパパンドレウ首相は21日の 信任投票を控え、金融支援を確実に受け取るために必要な行動はすべ て取ると約束したと述べた。これに反応し、ユーロは対円と対ドルで の下げを埋めた。

スイス・フランは主要通貨すべてに対して堅調を維持した。ドイ ツのショイブレ財務相が、民間投資家によるギリシャ支援関与は自発 的でなくてはならないと述べたのが背景だ。ブラジル・レアルも高い。 同国国債の格上げが好感された。

スタンダードチャータード銀行の米州調査責任者、デービッド・ マン氏は、「ギリシャはまだ何とか問題を切り抜けようともがいてい る状況だと受け止めている。ユーロにとっては翌日にデフォルトが起 きると言われるよりもずっと良い」と述べ、「市場参加者は超短期で 取引している。今最も重要なのは21日のギリシャ信任投票だ」と続 けた。

ニューヨーク時間午後2時58分現在、ユーロは対ドルで1ユー ロ=1.4304ドル。前営業日は1.4306ドルだった。一時は0.8% 安まで売り込まれた。ユーロは対円では0.3%高の1ユーロ=114 円83銭。ドルは対円で0.3%上げて1ドル=80円28銭(前日 80円05銭)。

スイス・フランは堅調を維持。対ユーロで0.3%値上がりした。 先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数に よると、過去1カ月間ではスイス・フランの値上がりが3.6%と最 大だった。それに続いて円は1.5%上昇した。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスはブラジル国債の格付 けを「Baa3」から「Baa2」に引き上げた。ムーディーズはル セフ大統領が主導する歳出削減の取り組みを評価した。レアルは対ド ルで0.3%上昇した。

ドルはオーストラリア・ドルやニュージーランド・ドルなど、高 利回り通貨に対して上昇した。米連邦公開市場委員会(FOMC)が 22日発表する声明では、量的緩和第3弾は示唆されないとの観測が 広がっている。フェデラルファンド(FF)金利誘導目標は2008 年12月から0-0.25%で変化していない。

米金利見通し

CMEグループのデータによると、投資家は米政策金利が来年1 月の会合で引き上げられる確率を15%見込んでいる。1カ月前は 21%だった。

豪ドルは対ドルで0.5%安、ニュージーランド・ドルは0.4% 下落した。

円は対ドルで下落。日本の財務省が20日発表した5月の貿易統 計速報(通関ベース)によると、輸出額は前年同月比10.3%減少し た。ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査では輸出額は同

8.4%減が予想されていた。

ヘッジファンドなど大口投機家による円のネットロング(買い越 し)は6月14日の時点で2万4768枚と、3月22日以来で最大だ った。

ギリシャ債務問題

ギリシャの緊縮財政をめぐり、野党が合意形成の提案を拒否し、 与党内からも首相の危機対応に反発し造反者が出る中で、パパンドレ ウ首相は先週、信任投票を議会に求めた。ギリシャの最大野党、新民 主主義党のサマラス党首は、選挙の実施をあらためて要求した。

ギリシャが第5回目の融資を受けるためには、議会が780億ユ ーロの緊縮財政策を承認する必要がある。

◎米国株:上昇、ギリシャ問題の解決に期待-S&P500は3日続伸

米株式相場は上昇。S&P500種株価指数は3営業日続伸とな った。ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ルク センブルク首相兼国庫相)の発言を受け、ギリシャ債務危機の解決策 が見いだせるとの見方が広がった。

建設機器メーカー最大手のキャタピラーが高い。レイモンド・ジ ェームズ・アソシエーツによる投資判断引き上げが好感された。多発 性硬化症治療薬で最大手のバイオジェン・アイデックも上昇。ISI グループが「買い」推奨を出したことに反応した。小売り最大手のウ ォルマート・ストアーズも買われた。同社の女性従業員らが起こした 性差別をめぐる訴訟で、米最高裁判所は、集団訴訟として認定しない との決定を下した。

S&P500種株価指数は前週末比0.5%高の1278.36。ダウ 工業株30種平均は76.02ドル(0.6%)上げて12080.38ドル。 ダウ平均も3営業日続伸となった。

キーコープのプライベートバンキング部門のチーフ投資ストラテ ジスト、ブルース・マケイン氏は、「ここでこらえるのが極めて重要 だ」とし、「欧州債務危機をめぐり懸念が広がっている。欧州が先へ 進むことができれば、下振れリスクよりも上振れの可能性の方が高く なる。相場は売られすぎの状態だ」と続けた。

ギリシャをめぐる動き

ユンケル議長は、ユーロ圏債務危機の中でイタリアが危険な状態 にあるとは考えていないと発言。またギリシャ救済パッケージ第2弾 は、どのような形になるにせよ民間投資家が「参加」したものになる と述べた。民間投資家が参加に「熱意」を見せるかどうかは分からな いと付け加えた。この発言を受け、それまで下げていた株価は反転し た。

一方で国際通貨基金(IMF)のリプスキー専務理事代行は、ギ リシャ救済パッケージ第2弾をめぐる協議をIMFは行っていないと 述べた。その上で、現在は当初の救済パッケージの次回分の融資実行 を承認するか否かを検討していることを明らかにした。

ベアリング・アセット・マネジメントの北米資産配分担当責任者、 ヘイズ・ミラー氏(ボストン在勤)は、「非常に難しい問題だ」とし た上で、「欧州債務危機の問題はしばらく続くだろう。加えて、米経 済はプラス成長となるものの低調さが続く見通しだ。雇用を増やすに は十分ではない」と述べた。

ゴールドマン・サックス・グループのエコノミスト、スベン・ジ ャリ・ステーン氏(ニューヨーク在勤)は17日付のリポートで、4 -6月(第2四半期)の米経済成長率の見通しを2%と、従来の3% から引き下げた。

投資判断上げでキャタピラーが上昇

キャタピラーはダウ平均で値上がり率トップ。2.3%高の

98.18ドルとなった。レイモンド・ジェームズはキャタピラー株の 投資判断を従来の「アウトパフォーム」から「ストロング・バイ」に 引き上げた。

S&P500種の主要10業種中ではヘルスケア株指数が1%高 と最大の上げ。

バイオジェンは4.1%高の98.60ドル。ISIグループはバ イオジェン株の投資判断を「買い」に指定。従来の「ホールド」から 引き上げた。同社はバイオジェンについて、向こう6-7年に1株当 たり利益が4倍になる可能性があるとしている。

ウォルマートは0.4%高の53.04ドル。最高裁判事らの説明 によると、原告代理人は全米に数千あるウォルマートおよびサムズ・ クラブの店舗で従業員の性差別につながった会社の方針について、共 通性を指摘できなかった。アントニン・スカリア判事は、「差別的な 報酬・昇進政策が全社的に取られていたと確信できる証拠が示されて いない」と指摘した。

◎米国債:10年債利回り、今年最低付近から上昇-欧州見通しで

米国債市場では10年債利回りが今年の最低水準付近から上昇。 欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)の当局者による発言を手 掛かりにギリシャ債務危機をめぐる不安が薄れ、米国債への逃避需要 の減退につながった。

2年債利回りはほぼ変わらず。先週まで週間ベースでは過去25 年間で最長となる10週連続の低下となっていた。ユーロ圏財務相会 合(ユーログループ)のユンケル議長(ルクセンブルク首相兼国庫相) は、ギリシャ政府がEUとIMFからの金融支援を確実に受け取るた めに必要なすべての行動を取るとの確約を、パパンドレウ首相から得 たと明らかにした。

UBSセキュリティーズの金利戦略責任者、クリス・アーレンズ 氏は、「パパンドレウ首相はそれを実行するための支持を得るだろう と市場は期待している」と指摘。「市場はレーザー光線のようにギリ シャのイベントに焦点を絞っている。大きなイベントはまだ前方に控 えている」と述べた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時 間午後5時20分現在、10年債利回りは前週末比1ベーシスポイン ト(bp、1bp=0.01%)上昇の2.96%。同利回りは一時6b p低下の2.89%となった。16日には今年最低の2.88%を付けて いた。同年債(表面利率3.125%、2021年5月償還)価格は1/8 下げて101 13/32。

2年債利回りはほぼ変わらずの0.37%。一時は0.39%を付け る場面もあった。16日には今年最低の0.34%を付けた。

「軟調な展開」

ソシエテ・ジェネラルの米国債トレーダー、ショーン・マーフィ ー氏は、「ギリシャ情勢がどのように展開するのかは定かではないが、 問題解決へのコミットメントはあるようだ」と指摘。「市場はギリシ ャが何らかのパッケージを受け取るとの独自の結論に至っている。そ のため米国債はやや軟調な展開になっている」と述べた。

米国債は上昇する場面もあった。ユーロ圏諸国はこの日、ギリシ ャのデフォルト(債務不履行)を回避するため7月に予定していた融 資実行で合意に至らなかった。

ルクセンブルクで開かれたユーロ圏財務相会合では、財政赤字削 減と国有資産売却に必要な法律の議会通過をギリシャに要求。7月分 の融資120億ユーロを全額実行するかどうかの決定を先送りした。

7月に予定していた融資と、その後3年間の追加支援に関する決 定は7月初めまで延期された。ギリシャ国内で反対に直面している予 算削減の実行でパパンドレウ首相への圧力が一段と強まった。

「大したイベントにはならない」

ブルームバーグと欧州証券アナリスト協会連合会(EFFAS) がまとめた指数によると、米国債の今年のリターンは3.3%。ドイ ツ国債は0.4%、英国債は3%となっている。

ニューヨーク連銀はこの日、6000億ドルの米国債購入プログラ ムに基づき、92億ドル相当の国債を購入。オペは2回に分けて実施 され、1回目では2018年8月-21年5月に償還期限を迎える国債 46億2000万ドル相当、2回目では13年12月-15年5月償還 債45億8000万ドル相当をそれぞれ買い入れた。

21、22両日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)では、 緩和的な政策を維持すると見込まれている。ただ、新たな量的緩和策 を講じるとは予想されていない。

米国みずほ証券のチーフエコノミスト、スティーブン・リチュー ト氏はFOMCについて、「大したイベントにはならないだろう」と 指摘。「量的緩和第3弾(QE3)はないだろう。当局者はQE3の 価値について確信していないため、実施にはかなり消極的だ」と述べ た。

◎NY金先物:5営業日続伸-ギリシャ融資先送りで「質への逃避」

ニューヨーク金先物相場は5営業日続伸。ギリシャの救済協議が こう着状態を脱せず、「質への逃避」としての金の魅力が増した。

ユーロ圏財務相会合で、ギリシャ支援の次回融資について先送り が決まったことを受け、欧州株式相場は下落。融資の実施には、資産 売却や予算削減をはじめとするギリシャの緊縮財政の法案成立が条件 となる。金はこの日、ポンド建てで最高値を更新した。

フューチャーパス・トレーディングのトレーダー、フランク・レ シュ氏(シカゴ在勤)は「ギリシャ支援問題をめぐる協議をにらんで 神経質な取引が続いている」と指摘、「安定と安全を求めた買いが膨 らんでいる。金はまさに国際通貨だ」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 8月限は前営業日比2.90ドル(0.2%)高の1オンス=1542 ド ルで終了。先週一週間で金は0.6%上昇した。

◎NY原油先物:上昇、ユンケル議長発言でギリシャ懸念が後退

ニューヨーク原油先物相場は上昇。ユーロ圏財務相会合(ユーロ グループ)のユンケル議長(ルクセンブルク首相兼国庫相)の発言で、 ギリシャが予算削減を達成できないのではという懸念が後退した。

同議長はさらに、ユーロ圏の債務危機によってイタリアが危険な 状態にあるとは考えていないと述べた。これを受けて原油先物は反発。 ユンケル議長は、財政支援を確保するためギリシャ政府は必要なこと は何でもするとパパンドレウ首相が確約したことを明らかにした。一 時は2%下げ、年初来の上げを消し、弱気相場の兆候を示す場面もあ った。

ブルー・オーシャン・ブローカレッジのエネルギー・デリバティ ブと調査部門のディレクター、カール・ラリー氏は、「市場にはある 種の安心感が広がった」とし、「原油は底値に近い。90ドルは適正 水準で、90ドルを割るような深刻な懸念はない」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物7月限は前営 業日比25セント(0.27%)高の1バレル=93.26ドルで終えた。 日中の安値は2月22日以来の安値となる91.14ドルと、2010年 の終値91.38ドルを下回った。

◎欧州株:下落、ユーロ圏財務相はギリシャ融資合意至らず

20日の欧州株式相場は下落。ストックス欧州600指数の下げ は8週目に入った。ギリシャのデフォルト(債務不履行)回避に向け た支援でユーロ圏各国政府が合意できなかったことを嫌気した。

銀行株の値下がりが目立ち、英銀バークレイズは1.8%、ロイ ズ・バンキング・グループは2.6%それぞれ下げた。スペインの風 力タービンメーカー、ガメサ・コルポラシオン・テクノロヒカは

7.1%安。同銘柄をINGグループが売り銘柄に指定した。

ストックス欧州600指数は前週末比0.5%安の265.76で終 了。同指数は週ベースで7週連続下げており、2008年以来最長の下 落局面にある。ギリシャのデフォルト懸念の高まりが背景。2月17 日に付けた年初来高値を8.7%下回っている。

カムジェスション(パリ)のファンドマネジャー、ブルーノ・デ ュクロ氏は、「真剣な対応策が依然として出ていないという懸念が少 しあり、資金を注入すればすべての問題が解決するとの確信も持てな い」と話し、「劇的なコスト削減があったとしても、問題解決には長 い時間がかかるだろう」と指摘した。

この日は、NYSEユーロネクストが運営するパリとアムステル ダム、ブリュッセル、ルクセンブルク、リスボンの証券取引市場で株 式取引が1時間遅れて始まった。コンピューター障害が原因で、開始 はパリ時間午前10時となった。

ブリュッセルではこの日、ユーロ圏の財務相らが会合を持ったが、 ギリシャを支援するための融資提供で合意に至らず、同国のパパンド レウ首相に歳出削減策の議会承認を得るよう一段と迫ることとなった。 これを受けた西欧市場では、18カ国すべてで主要株価指数が下落し た。

◎欧州債:ギリシャ債下落、融資合意なく-イタリアも安い

20日の欧州債市場ではギリシャ10年債を中心に、高債務国の 国債が総じて安い。ユーロ圏各国がギリシャへの融資支払いで合意に 至らなかったことから、同国がデフォルト(債務不履行)に陥るとの 懸念が強まった。

イタリア国債のドイツ国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド) は拡大した。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが イタリアの信用格付けを引き下げ方向で見直すことを明らかにしたこ とがきっかけ。

ドイツ10年債利回りは一時、5カ月ぶり低水準まで1ベーシス ポイント(bp、1bp=0.01%)未満となった。ユーロ圏の当局 者らが、昨年合意した救済融資の今年7月分120億ユーロ(約1兆 3700億円)の支払いについての決定を先送りしたことが背景にある。

クレディ・スイス・グループ(チューリヒ)の債券ストラテジス ト、ラスムス・ロウジング氏は、「ギリシャをめぐる判断決定が相場 を左右する材料で、変動性と不透明感を少々高めている」と語った。

ロンドン時間午後4時57分現在、ギリシャ10年債利回りは前 週末比40bp上昇の17.34%。一方、ギリシャ2年債利回りは18 bp低下の28.61%。先週にはユーロ導入の1999年以降初めて 30%を突破していた。ギリシャ30年債利回りは10営業日連続で 上昇し、2009年1月以降で最長の上げ。

ポルトガル10年債利回りは前週末比24bp上げて11.15%。 イタリア10年債利回りは3bp上昇し4.85%。一時は4.88%に 達した。同年限のドイツ国債に対するスプレッドは190bpに拡大。 16日には204bpと、1月11日以降の最大となっていた。

一方、ドイツ10年債利回りは2.907%まで下げた後、前週末 比1bp低下の2.95%。同国債(表面利率3.25%、2021年7月 償還)価格は0.075上げ102.55。ドイツ2年債利回りも1bp 下げて1.51%。

◎英国債:10年債ほぼ変わらず-安全需要で一時7カ月ぶり低利回り

20日の英国債市場では、10年債相場が前週末からほぼ変わら ずとなった。ユーロ圏各国がギリシャへの融資提供で合意に至らなか ったことからポンド建て資産への需要が高まり、10年債利回りは7 カ月ぶり低水準まで下げる場面もあった。

10年債利回りは前週末比ほぼ変わらずの3.21%。一時は

3.16%まで下げ、昨年11月12日以来の最低を付けた。

ブルームバーグと欧州証券アナリスト協会連合会(EFFAS) がまとめた指数によると、英国債の年初来のリターン(投資収益率) はプラス3%。これに対し米国債は3.3%となっている。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 大塚 美佳 Mika Otsuka +1-212-617-5823 motsuka3@bloomberg.net ニューヨーク 楽山 麻理子 Mariko Rakuyama +1-212-617-4903 mrakuyama@bloomberg.net Editor: Shigeru Chiba ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba +1-212-617-3007 schiba4@bloomberg.net Editor: 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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