ユーロ下落、ギリシャ融資合意先送りで売り圧力-リスク回避再燃

東京外国為替市場ではユーロが下 落。ユーロ圏財務相がギリシャ向け融資合意を先送りしたほか、ギリシ ャが国際的な支援の獲得に必要な緊縮財政法案を成立させられるかどう かが不透明で、ユーロを売る動きが再燃した。

また、原油や株式相場の下落を背景にリスク回避の動きが強まるな か、資源国通貨などに売り圧力がかかり、ドルや円は多くの主要通貨に 対して値を切り上げる展開となった。

ユーロは対ドルで1ユーロ=1.42ドル台後半から一時、1.4208 ドルまで下落。対円では1ユーロ=114円台半ば付近から一時、113円 89銭まで値を切り下げた。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏は ギリシャの救済問題については、ドイツが姿勢を軟化させたとはいえ、 「難題山積みで、まだ道のりは長いということだ」と指摘。その上で、 「半期末を控えてレパトリ(本国への資金回帰)のシーズンでもあるし 、今月末にはQE2(量的緩和第2弾)も終了するため、ドル買いが出 やすい」とし、原油相場の下落もドルの買い戻しにつながっていると解 説した。

一方、ドル・円相場は前週末に1週間ぶりドル安値の1ドル=80 円01銭を付けたが、この日の東京市場では「五十日(ごとうび)」に 絡んだドル買い需要などを背景にドルが比較的底堅く推移し、午後には 80円20銭前後までじり高となる場面が見られた。

ギリシャ問題

ユーロ圏諸国は20日、ギリシャのデフォルト(債務不履行)を回 避するため7月に予定していた融資実行で合意に至らなかった。ギリシ ャ国内で反対に直面している予算削減の実行でパパンドレウ首相への圧 力が一段と強まった。

パパンドレウ政権の交代につながる可能性がある信任投票に先立ち 、ユーロ圏財務相は財政赤字削減と国有資産売却に必要な法律の議会通 過をギリシャに要求。第1次支援枠の第5弾の融資120億ユーロ(約 1兆3700億円)を全額実行するかどうかの決定を先送りした。

ステート・ストリート銀行の富田公彦金融市場部長は、1年前にギ リシャ問題が深刻化した時は感情的な反発はありながらも、目の前の危 機をなんとか抑え込むことができたが、国内で反発が強まり、各国の政 治家が追加支援に慎重になるなか、「今回も本当にやれるのか、マーケ ットでは落とし所がよく見えず、かつ去年と違い政治決着のような形で 押し切るのが難しい状況になっている」と指摘した。

上田ハーローのシニアアナリストの山内俊哉氏も、「内閣改造後の ギリシャで緊縮財政案が通るかどうかというところもあるし、ギリシャ 国内でまだひと波乱、ふた波乱ありそうということがユーロの上値を重 くしている」と説明。「格付け会社もイタリアなど周辺国の格下げをほ のめかしているので、安心してユーロを買っていくという流れまでには いかない」と語った。

ギリシャ議会はパパンドレウ首相の政府に対する信任投票をめぐる 最終審議を現地時間21日午後6時に行う。

前週末の海外市場では、ギリシャ支援で債券保有者の負担を求めて いたドイツが主張を後退させたことで、追加支援策をめぐる調整が進展 するとの期待からユーロが反発。対ドルでは2営業日ぶり高値となる

1.4339ドルまで上昇していた。

しかし、その後、ムーディーズ・インベスターズ・サービスがイタ リアの格付けを引き下げ方向で検討することを明らかにすると、ユーロ は伸び悩み、週明けの東京市場ではギリシャ債務問題をめぐる不透明感 からユーロ売りが再び強まる展開となった。

リスク回避圧力再び

格付け会社フィッチ・レーティングスは、欧州の銀行にとってはギ リシャ債の保有による損失よりも、同国の債務再編に対する「無秩序」 な市場の反応がより大きなリスクだとの見解を示した。同社のマネジン グディレクター、ジェームズ・ロングスドン氏が20日のソウルでのイ ンタビューで語った。

一方、英紙サンデー・テレグラフは18日、バークレイズやスタン ダードチャータード銀行など英国の金融機関は、ユーロ圏の銀行向け無 担保融資を削減しており、新たな「信用収縮」を生んでいるもようだ、 と匿名の複数の関係者を引用して伝えた。

ニューヨーク原油先物相場は、20日の時間外取引で続落。世界経 済の軟化とギリシャ債務危機で燃料需要が減少するとの見方が強まった ことが背景で、原油先物7月限は4カ月ぶり安値を更新している。

また、アジア株式市場では中国株やインド株が下落。日本株は3日 ぶりに小反発したものの、午後には上げ幅を削る展開となった。

ブルームバーグ・データによると、午後3時44分現在、ドルは主 要16通貨中、15通貨に対して前週末終値比で上昇。円も12通貨に対 して値を切り上げている。

米国の金融政策

一方、米国では21、22日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が 開かれる。FOMCは今月末にQE2を終了する予定だが、米景気の減 速感が強まる中、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が 今後の金融政策運営についてどのように言及するかが注目されている。

上田ハーローの山内氏は、FOMCについて、「予定通りQE2は 終わると思うが、バーナンキ議長の会見でひょっとするとQE3をどう するかなどといった質問が出る可能性もある」と指摘。QE3の実施を 明確に否定しなれば「再びドル売りに傾く可能性がある」とした上で、 ドル・円相場は目先、「80円を割れるか割れないかが最大のポイント」 で、割れてしまった場合には5月の安値の79円50銭あたりまでの下 落もあり得ると語った。

朝方発表された日本の5月の貿易収支は2カ月連続の赤字となり、 赤字幅は8537億円と5月としては比較可能な1979年1月以降で最大 となった。ブルームバーグ・ニュースのエコノミスト調査では7101億 円の赤字が見込まれていた。

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