月例報告:4カ月ぶりに判断を上方修正-景気に「上向きの動き」

与謝野馨経済財政担当相は20日、 6月の月例経済報告を関係閣僚会議に提出した。報告は「景気は東日 本大震災の影響により、依然として厳しい状況にあるなかで、このと ころ上向きの動きがみられる」とし、総括判断を4カ月ぶりに上方修 正。大震災後に急激に落ち込んでいた生産や輸出、個人消費などの判 断もそれぞれ引き上げた。

前月の総括判断では、景気は「震災の影響により、このところ弱 い動きとなっている。また、失業率が高水準にあるなど依然として厳 しい状況にある」との見方を示していた。

先行きについては、サプライチェーン(供給網)の立て直しで生 産活動が回復するのに伴い、「景気が持ち直していくことが期待され る」と指摘。一方で、「海外経済の回復がさらに緩やかになること」を 下振れリスクの1つとして加え、回復に遅れがみられる米国経済や欧 州の財政危機の動向などを注視する必要性を指摘している。

生産の判断は前月の「このところ生産活動が低下している」から 「上向きの動きがみられる」へ、4カ月ぶりに上方修正した。4月の 鉱工業生産(確報)は前月比1.6%上昇と2カ月ぶりに増加に転じた ほか、先行きも5月が同8.0%上昇、6月が同7.7%上昇と回復が見込 まれている。

4カ月ぶりに判断引き上げ-輸出

輸出は数量・金額べースで減少幅が縮小していることから、前月 の「このところ減少している」から「減少していたが、上向きの動き がみられる」へ、判断を4カ月ぶりに引き上げた。4月の輸出は数量 ベースで前月比5.8%減と前月の同10.3%減に比べて減少幅が縮小。 5月上中旬の貿易統計でも輸出額が前期比9.3%減と前月(同12.7 減%)に比べて改善した。

個人消費の判断も「このところ弱い動きがみられる」から「下げ 止まりつつある」へ15カ月ぶりに上方修正した。5月の新車販売台数 が前月比30.0%増と3カ月ぶりに増加に転じたほか、4月の百貨店販 売額やスーパー販売額の減少幅がそれぞれ前年同月比1.8%減、同

1.9%減と大幅に縮小した。

一方で、大震災後、失業率が上昇している「雇用」は21カ月ぶり に判断を下方修正。件数が増加傾向にある「倒産」も6カ月ぶりに判 断を引き下げた。4月の完全失業率は4.7%と高水準で推移しており、 雇用者数も卸売業、小売業を中心に減少。企業倒産は4月1076件、5 月1071件と増加傾向にあり、負債総額もそれぞれ2795億円、2526億 円となった。

与謝野経財相は関係閣僚会議後の記者会見で、「自動車などの落 ち込みが非常に大きかったが、予想以上に生産力の回復が早まりそう だということが分かってきたため、上方修正した」と説明。リスク要 因として景気回復が足踏み状態にある米国や財政問題を抱える欧州、 金融引き締めにシフトしている新興国など海外経済の動向を挙げた。

先行きについては「来年は非常に大きな成長が期待されている」 としながらも、「今年は3月、4月の落ち込みが厳しいが、年末にか けて経済は上向きになるとの見方で日銀や民間機関も一致している。 政府の見通しもそんなに変わらない」との見解を示した。

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