6月16日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商 品相場は次の通り。各市場の終わりに英文記事へのリンクが付いてい ます。

◎外国為替:ユーロが対フランで最安値-ギリシャ債務危機深まる

ニューヨーク外国為替市場では、ユーロがスイス・フランに対し過 去最安値に下落。ギリシャのソブリン債危機深刻化や、同国政府が緊縮 財政法案の成立に失敗するとの警戒感が背景にある。

ユーロは対ドルでは下げを消す展開。米国株の上昇が手掛かりと なった。欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会のレーン 委員(経済・通貨担当)の発言にも反応した。同委員はギリシャが歳 出削減案を成立させれば、EUと国際通貨基金(IMF)は7月に融 資を実行すると表明した。円は対ドルで上昇。米フィラデルフィア地 区の製造業活動が市場予想に反して縮小したことが手掛かり。

INGグループの通貨取引ディレクター、ジョン・マッカーシ ー氏(ニューヨーク在勤)は「米国内や海外で景気の脆弱(ぜいじゃ く)さが続いているほか、ギリシャへの圧力も高まっている。どちら もリスク志向にはプラスとはならない」とし、「これもユーロを売る 理由だ」と続けた。

ユーロはフランに対し一時、前日比1.2%安の1ユーロ=

1.19466フランと過去最安値を付けた。ニューヨーク時間午後4時 2分現在は1.20464フラン。対ドルでは1.4187ドル。一時

1.4074ドルと、5月26日以来の安値となった。円に対しては

0.3%値下がりし114円42銭。一時113円50銭と、5月16日 以来の円高・ユーロ安となった。

ドルは対円で0.4%安の1ドル=80円63銭。一時0.6%下げ た。

ボラティリティ上昇

ユーロ・ドルのオプション1週間物のインプライド・ボラティリ ティ(IV、予想変動率)は一時294ベーシスポイント(bp、1 bp=0.01%)上げて16.81%と、2010年11月以来の高水準を 付けた。前日は349bpと、10年5月以降で最大の上げとなった。

フランは対ドルで0.5%上げて1ドル=0.8492フラン。主要 16通貨すべてに対して上昇した。スイス国立銀行(SNB、中央銀 行)はこの日、政策金利を0.25%に据え置いた。ブルームバーグ・ ニュースがまとめたエコノミスト調査でも、26人全員が据え置きを 予想していた。

ゴールドマン・サックス・グループのトーマス・ストルパー氏は 電話会議で、分析モデルに基づくと、フランはユーロに対しこれまで で最も過大評価されていると説明した。

ギリシャ

ギリシャのパパンドレウ首相は内閣改造を計画しているほか、改 造後に内閣信任投票を議会に求める意向を明らかにしている。

ギリシャでは政権が揺らぐとともにアテネでは暴動が発生。レー ン委員はIMFと緊密に連絡を取った結果、ギリシャが最新の財政緊 縮策を法制化しさえすれば、週末の緊急会合で120億ユーロ(約1 兆3700億円)の融資実行を決められると確信していると述べた。

ギリシャの当面の関心事はEUから87億ユーロ、IMFから 33億ユーロの融資を7月に受けることだ。

IMFのキャロライン・アトキンソン対外関係局長は電子メール での声明で、「支援策に基づく融資を全額確保する方向で交渉が進ん でいる。次回のユーロ圏財務相会合(ユーログループ)で前向きな結 論が得られるものと見込んでいる」と説明した。

ドイツ銀行のG10為替ストラテジー世界責任者、アラン・ラス キン氏(ニューヨーク在勤)は「7月の融資でギリシャに多少の猶予 が生まれるとの見方からリスク環境が若干改善した」と指摘した。

◎米国株:反発、経済統計手掛かり-住宅銘柄上昇、大手銀行安い

米株式相場は反発。米住宅着工件数の増加や失業保険申請件数が 市場予想より減少幅が大きかったことから、景気減速に関する懸念が 和らいだ。S&P500種株価指数は前日、3カ月ぶりの安値に下げて いた。

S&P500種の住宅建設株指数は上昇し、指数を構成する12 銘柄中11銘柄が値上がりした。スーパーマーケット・チェーン米最 大手のクローガーは、通期の利益見通しを引き上げたことが好感され 買い進まれた。

パイプライン運営会社のサザン・ユニオンは急伸。エナジー・ト ランスファー・エクイティはサザン・ユニオンを42億ドルで買収す ることで合意した。主要株価指数は上げを消す場面もあった。国際監 督当局の提案を順守するために大手銀行が資本の上乗せを求められる との懸念が強まった。

S&P500種株価指数は前日比0.2%高の1267.64。年初か らは0.8%高。ダウ工業株30種平均は64.25ドル(0.5%)上昇 の11961.52ドル。

フェデレーテッド・インベスターズの株式ストラテジスト、リン ダ・デュッセル氏は、「当社は強気だ」と発言。「市場は米国がリセ ッション(景気後退)に陥るとは思っていない。ソフトパッチ(一時 的な軟化局面)だ。本当の良いニュースもないが、それほど深刻な悪 いニュースもない。株式相場は持ち直すだろう。しかしS&P500 種は当面1250-1300のレンジになるだろう」と述べた。

「株式相場は売られ過ぎていた」

景気減速懸念を背景にS&P500種は4月末に付けた年初来高値 から7%下落。ブルームバーグのデータによると、同株価指数の株価 収益率(PER、今年の業績見通しベース)は前日、12.7倍とほぼ 1年ぶりの割安水準となっていた。

ルーソルド・グループの創業者、スティーブ・ルーソルド氏はブ ルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「株式相場は実に売 られ過ぎていた」と指摘。「あまりにも大幅で急激過ぎた。市場の信 頼感に何らかの変化が生じるだろう。著しく反発する段階に近づいて いるかもしれない」と述べた。

米労働省がこの日発表した先週の新規失業保険申請件数(季節 調整済み)は、前週から1万6000件減少して41万4000件。ブ ルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は42 万件だった。

米商務省が発表した5月の住宅着工件数(季節調整済み、年率換 算、以下同じ)は前月比3.5%増の56万戸と、ブルームバーグ・ ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値(54万5000戸)を上 回った。先行指標となる住宅着工許可件数も増えた。

住宅建設株が高い

住宅建設株が上昇し、D.R.ホートンは1.6%高。レナーは

2.1%上昇。住宅関連用品小売りにも買いが入り、ホーム・デポは

1.8%高。

クローガーは4.5%高。同社は通期の利益が1株当たり最大

1.95ドルになるとの見通しを示した。従来予想は最大1.92ドル だった。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想平均は1.90ド ル。

サザン・ユニオンは18%急伸。発表資料によると、サザン・ ユニオンの株主は新株(シリーズBユニット)を受け取る。この新株 は1株当たり約33ドル相当で、前日のサザンの株価終値を17%上 回る水準。エナジー・トランスファーはまた、サザンの債務37億ド ルも引き継ぐ。

株式相場は上げを消す場面もあった。バーゼル銀行監督委員会 は、大手銀行がさらに規模を拡大する場合に最大3.5ポイントの資 本サーチャージ(資本の上乗せ)を求める案を検討していると、協議 に詳しい関係者2人が明らかにした。

シティグループは1%安。JPモルガン・チェースは0.8%下 落。

◎米国債:上昇、ギリシャのデフォルト回避を悲観-10年債2.93%

米国債相場は上昇。10年債利回りは今年の最低水準に下げた。国 際通貨基金(IMF)がギリシャ支援継続の意思を表明しているが、同 国がデフォルト(債務不履行)を回避するには相当の困難が伴うとの観 測が広がっている。

ギリシャのパパンドレウ首相は、与党議員らに緊縮策の支持 を訴えた。これに反応し5年債が上昇した。朝方フィラデルフィア 連銀が発表した同地区製造業活動が予想外に縮小したことも、債券 買いにつながった。

モルガン・スタンレー・スミス・バーニーのチーフ債券スト ラテジスト、ケビン・フラナガン氏は、「ギリシャがまだ不安定な 状況で、資金は米国債へと流れ込んでいる」と述べ、「経済統計は どちらかと言えば、予想よりも軟調な結果が続いている」と指摘し た。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク 時間午後4時4分現在、10年債利回りは4ベーシスポイント(b p1bp=0.01%)下げて2.93%。同年債価格(表面利率

3.125%、2021年5月償還)は11/32上げて101 21/32。

10年債利回りは昨年12月1日以来の最低となる2.88%を つける場面もあった。2年債利回りはほぼ変わらずの0.38%。一 時は0.34%と、昨年11月5日以来の水準に下げた。

5年債利回りは3bp下げて1.52%。前日は14bpと 2010年6月以来で最大の下げを記録した。

MOVE指数上昇

ボラティリティ(変動性)の指標とされるメリル・オプショ ン・ボラティリティ・エスティメート(MOVE)指数は前日、

85.90と、4月8日以来の最高に上昇した。

欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のレーン委員 (経済・通貨担当)は、ブルームバーグのインタビューで、IMF と緊密に連絡を取った結果、ギリシャが最新の財政緊縮策を法制化 しさえすれば、週末の緊急会合で120億ユーロの融資実行を決め られると確信していると述べた。

IMFのキャロライン・アトキンソン対外関係局長は電子メ ールで、「支援策に基づく融資を全額確保する方向で交渉が進んで いる。次回のユーロ圏財務相会合(ユーログループ)で前向きな結 論が得られるものと見込んでいる」と述べた。

ギリシャ内閣改造へ

ギリシャのパパンドレウ首相は内閣改造を表明したが、詳細 についてはまだ何も明らかになっていない。前日のアテネでの抗議 運動に対し、警察隊は催涙ガスを使って排除にあたった。

この日の欧州債市場でギリシャ2年債利回りは30%を突破し た。

米国2年債と同年限金利スワップのスプレッドは一時29.8 bpと、昨年12月1日以来の最大に広がった。欧州債務危機が銀 行間金利を押し上げるとの懸念が背景。

キャボット・マネー・マネジメントの債券ポートフォリオマ ネジャー、ウィリアム・ラーキン氏は、「何かしらの再編が必要な ことは誰もが理解している」と述べ、「恐怖、不安、疑問などが高ま り、自己増殖している」と続けた。

フィラデルフィア連銀が発表した6月の同地区製造業景況 指数は、マイナス7.7と、前月の3.9からマイナス圏に低下した。 同指数はゼロが拡大と縮小の境目を示す。ブルームバーグ・ニュー スがまとめたエコノミスト調査の予想中央値は7だった。

◎金先物:3日続伸、ギリシャ債務危機の深刻化で逃避需要

ニューヨーク金先物相場は3日続伸。為替の不安定な動きを受け て、通貨に代わる投資先としての金への需要が高まった。

ギリシャ支援策の交渉がまとまらず、債務危機が深刻化すると の観測から、ユーロは対ドルで3週間ぶり安値をつけた。金はこの日、 ポンド建てで最高値を記録した。

米ニュースレター「ガートマン・レター」のエディターを務める エコノミストのデニス・ガートマン氏は、「金は今や通貨のようなも のだ」と指摘、「金は強く、その強さを一段と増している」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物 8月限は前日比3.70ドル(0.2%)高の1オンス=1529.90 ド ルで終了した。金は過去2日間で0.7%高、過去1年間では24%上 昇した。

◎原油先物:小反発、失業保険申請件数の減少を好感

ニューヨーク原油先物相場は小反発。新規失業保険申請件数の減 少を好感して買いが優勢になった。

先週の新規失業保険申請件数が発表されると、原油は上げに転 じた。申請件数は前週から1万6000件減少して41万4000件。ギ リシャでパパンドレウ首相が議会で信任投票を求め、国際支援獲得に 必要な予算縮小と緊縮策に反対して暴動が起こったため、原油は下げ る場面もあった。

ブルー・オーシャン・ブローカレッジ(ニューヨーク)のエネル ギー・デリバティブと調査部門のディレクター、カール・ラリー氏は、 「朝方発表の経済指標は予想を上回り、原油押し上げにつながってい る」と発言。「前日はギリシャ懸念で過剰に下落した」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物7月限は前日 比14セント高の1バレル=94.95ドルで終えた。

◎欧州株:3カ月ぶり安値、ギリシャ懸念で-ベダンタ安い

16日の欧州株式相場は下落。ストックス欧州600指数は3カ月 ぶり安値を付けた。追加的な国際支援を受けるのに必要な緊縮財政法 案の議会通過に困難を極めるギリシャのパパンドレウ首相は内閣を改 造し、信任獲得を目指す意向を示した。

金属相場安を背景に、英鉱山会社ベダンタ・リソーシズを中心に 資源銘柄が売られた。オーストリアの繊維メーカー、レンチングは

2.7%下落。大手株主のB&Cインダストリーホールディングが約6 億1900万ユーロ相当のレンチング株を売却したことが嫌気された。 フランスの小売り大手、カルフールは3.5%下げた。UBSによる投 資判断の引き下げが材料となった。

ストックス欧州600指数は前日比0.5%安の266.73と、3 月以来の安値で引けた。2月17日に付けた年初来高値を8.4%下回 る水準となった。

コメルツ銀行のシニア株式ストラテジストのマーカス・ウォルナ ー氏(フランクフルト在勤)は、「ギリシャの現状は極めて悪く、誰 も解決策が分からない」と述べ、「解決策の合意が成立するまで好転 しないだろう」と続けた。

国際通貨基金(IMF)はこの日、ギリシャ支援を継続する用意 はあるものの、ギリシャが救済策の一環として欧州連合(EU)と合 意した経済改革の実行が条件だと表明した。

この日の西欧市場では、18カ国全てで主要株価指数が下落。ベ ダンタは2.4%安。英鉱山会社のアングロ・アメリカンは1.8%、 アントファガスタは2%それぞれ下げた。

◎欧州債:ギリシャ債が急落、保証料は過去最高に-デフォルト懸念で

16日の欧州債市場でギリシャ国債が大幅安となり、同国債の2 年物利回りは初めて30%を突破した。次回の国際支援資金を受け取 るために必要な緊縮財政法案をギリシャが成立させられず、同国がデ フォルト(債務不履行)に陥るとの懸念が強まった。

ポルトガルとアイルランドの2年債利回りもユーロが導入された 1999年以来の高水準を付けた。スペイン10年債利回りは2000年 以来の最高に達した。国債入札で借り入れコストが上昇したことがき っかけ。この日のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場 で、ギリシャとアイルランド、ポルトガル国債を保証するコストは過 去最高を更新した。ギリシャのパパンドレウ首相は内閣改造を実施し、 信任獲得を目指す意向を表明している。

一方、ドイツ国債は上昇し、10年債利回りは5カ月ぶり低水準 となった。

コメルツ銀行の債券ストラテジスト、デービッド・シュナウツ氏 (ロンドン在勤)は、「ギリシャの悲喜劇があらゆるものに覆いかぶ さり、誰も逃れることはできない」と述べ、「完全にリスク回避の状 況であり、スペインのような国がこのような環境で発行するのは困難 だ」と続けた。

ロンドン時間午後4時35分現在、ギリシャ2年債利回りは前日 比128ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の

29.30%。一時は30.32%に達した。アイルランド2年債利回りは 86bp上げ12.96%、ポルトガル2年債は58bp上昇し13.02% となった。

ドイツ10年債利回りは一時、5bp下げて2.91%と、1月 11日以来の最低となった。同国債(表面利率3.25%、2021年7 月償還)価格は0.26上げ102.795。ドイツ2年債利回りは6bp 低下し1.45%。

◎英国債:上昇、統計悪化で低金利長期化の観測

16日の英国債相場は上昇。この日発表された小売売上高指数が 予想以上に悪化したことから、イングランド銀行(英中央銀行)に低 金利を維持するよう圧力が強まった。

金利先物相場は上昇し、利上げ観測が後退した。イングランド 銀行(英中央銀行)のキング総裁は15日、賃金の伸びの弱さは、 目標を上回る現在のインフレ率が一時的なものであることを示して いるため、政策金利を過去最低に維持すべきだとの認識を示した。

英政府統計局(ONS)がこの日発表した5月の小売売上高指 数は前月比1.4%低下した。ブルームバーグ・ニュースがまとめた エコノミスト24人の調査中央値では、0.6%低下が見込まれてい た。

金利先物動向によれば、次回の金利変更は来年3月が見込まれ ている。2012年6月限の金利先物はこの日、4ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)低下し1.17%となった。

10年債利回りは前日比5bp低下の3.19%。一時は3.17% まで下げ、昨年11月12日以来の低水準を付けた。2年債利回り は3bp低下し0.75%となった。

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参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: ニューヨーク 楽山 麻理子 Mariko Rakuyama +1-212-617-4903 mrakuyama@bloomberg.net Editor: ニューヨーク 森 茂生 Shigeki Mori +1-212-617-6107 smori1@bloomberg.net ニューヨーク 千葉 茂 Shigeru Chiba +1-212-617-3007 schiba4@bloomberg.net Editor:Tsuneo Yamahiro, Shigeru Chiba 記事に関するエディターへの問い合わせ先: 東京 大久保 義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 okubo1@bloomberg.net

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