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【今週の債券】長期金利1.1%割れ試す展開か、米景気減速や欧州懸念

今週の債券市場で長期金利は半年 ぶり低水準となる節目の1.1%割れを試す展開が予想されている。米 国では景気減速懸念を背景に長期金利が低下傾向となっているほか、 欧州財政懸念も根強く、債券に資金が流入しやすい構図が続くとみら れていることが背景。

ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、米国の長期金 利が前週に節目の3.1%を下回るなど低下基調にあることや欧州の債 務懸念などが債券相場の支えになると指摘し、「長期金利は1.1%割れ を試す場面がありそう」との見方を示した。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバー グが27日に市場参加者4人に聞いた今週の予想レンジは全体で1.05 -1.18%となった。1.1%割れとなれば昨年11月22日以来。前週末終 値は1.12%。

今週は米国をはじめ海外市場で重要な経済指標の発表が相次ぐ。 パインブリッジ・インベストメンツ運用本部の松川忠債券運用部長は、 「米供給管理協会(ISM)景況指数や、欧州・中国の購買担当者景 況指数(PMI)で、景気の鈍化が確認されれば支援材料になる」と 述べた。ブルームバーグ調査によると、1日に発表される5月の米I SM製造業景況指数は57.6と前月(60.4)から低下する見通し。

欧州財政懸念も根強い。ユーロ圏財務相会合のユンケル議長は26 日、国際通貨基金(IMF)が来月ギリシャ向け救済資金を提供しな い可能性があると指摘した。岡三アセットマネジメントの山田聡債券 運用部長は、「米景気の先行き不透明感やギリシャ問題が根強いため、 世界的に投資資金が債券市場にシフトしやすい構図」だと言う。

1.1%割れは経済失速が前提

もっとも、長期金利の1.1%割れの水準に対する警戒感も強い。 SMBC日興証券の野村真司チーフ債券ストラテジストは、「世界経済 の減速懸念ではなく、世界経済の失速ないしは二番底懸念まで想定し なければ、1.1%割れは恒常的に維持できる水準ではない」と指摘する。

国内では5月31日に4月の鉱工業生産と家計調査が発表される。 ブルームバーグの調査では、鉱工業生産指数は前月比2.2%増加と、 過去最大の減少だった3月からプラスに転じる見通し。消費支出は前 年比2.8%減少が見込まれている。トヨタアセットの浜崎氏は、「生産 はプラスに戻る見通しになっているが、ゼロ近辺といった戻りが鈍い 悪い数字が出れば、買い材料になるだろう」と述べた。

10年債入札に注目

需給面では1日の10年国債入札が注目だ。新発10年債利回りは 16日に半年ぶり低水準となる1.105%を付けたが、そこでは売りが出 て1.165%まで上昇。その後は1.11%までの低下にとどまり、現在の 金利水準では強い需要は見込みにくい。パインブリッジの松川氏は無 難になるとと予想するが、「銀行勢の買いが入るか心配な面もある」と 言う。

トヨタアセットの浜崎氏は、「1.1%クーポンだった前回の入札で も需給が悪化したわけでもなく、今回の入札を機に相場が崩れる可能 性は低い。悪い結果にはならないと思う」との見方を示した。

27日の入札前取引では1.15%付近で推移した。このため、今回の 入札で表面利率(クーポン)は前回債と同じ1.1%か、0.1ポイント高 い1.2%が予想されている。発行予定額は2兆2000億円程度。

5月30日には2年国債入札が実施される。前回入札された304 回債利回りが0.18%で週末を終えた。このため、クーポンは0.2%に 据え置かれる見通し。クレディ・スイス証券の海老原慎司債券ストラ テジストは、「銀行勢による潜在的な中期債への投資需要は引き続き高 い」とみて、無難な結果を予想している。

市場参加者の予想レンジとコメント

27日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の 通り。先物は中心限月6月物、新発10年国債利回りは314回債。

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物6月物140円50銭-141円20銭

新発10年債利回り=1.08%-1.15%

「狭いレンジ相場が続く。超長期債に対する需要が高まる中、月 末に保有債券を長期化する買いも予想されるが、10年債入札と米雇用 統計の発表を控えており、10年債の1.1%割れは積極的には買い進み づらい。もっとも、6月は国債の償還が多く、いずれ余剰資金を国債 に振り向けていかなければいけない」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物6月物140円40銭-141円30銭

新発10年債利回り=1.08%-1.17%

「長期金利は1.1%台前半での推移か。米景気の先行き不透明感 やギリシャ問題が根強いため、世界的に投資資金が債券市場にシフト しやすい構図であり、10年債の1.1%割れを視野に入れての展開を見 込む。ただ、米ISM景況指数などが予想に反して強めに出てくれば、 日米とも金利水準が低いだけに反動売りに警戒したい」

◎パインブリッジ・インベストメンツ運用本部の松川忠債券運用部長

先物6月物140円50銭-141円50銭

新発10年債利回り=1.05%-1.15%

「最近、欧米や中国の経済指標が弱く、債券には強気で見ている。 米ISM景況指数や欧州・中国のPMIで、景気の鈍化が確認されれ ば支援材料になる。米国債やドイツ国債の利回り低下余地を見極めた い。10年債入札は、銀行勢の買いが入るか心配な面もあるが、新しい 回号が見込まれており、無難に消化されると思う」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物6月物140円25銭-141円25銭

新発10年債利回り=1.08%-1.18%

「高値圏でもみ合い。米景気に対する先行き懸念や日本も復興に 向けて不透明感から、リスクを取りにくい状況が続く。一方、利回り 水準も低く積極的に買いにも行けない。米国でISM景況指数や雇用 統計が発表され、景気の先行き不透明感が払しょくされなければ、債 券は一段高となり、長期金利は1.1%割れとなる可能性が高まる」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎 Editors:Hidenori Yamanaka,

Masaru Aoki

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