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郵船:超大型コンテナ船、当面は用船も不要-原油高でリスク回避

国内海運最大の日本郵船はコンテナ 船事業で1万TEU(20フィートコンテナ換算)を超える大型船の新規 の用船契約は当面行わない方針だ。3月末の新中期経営計画では1万T EU超の船舶は自社保有せず用船でまかなう方針を打ち出していた。し かし、現時点で必要な大型船は確保できたとして、燃油高騰により収益 確保が厳しい環境では、市況変動のリスク回避に主眼を置いたマネジメ ントに徹する考え。

コンテナ船事業責任者の丸山英聡経営委員が26日、ブルームバー グ・ニュースに対して語った。丸山氏は、「リーマンショックに起因す る世界的な金融危機の発生で、どんどん大型化するコンテナ船を所有す る怖さ、固定費のリスクに気付かされた」という。その上でコンテナ船 事業の損益の歴史は「ピークは小さな山の高さだが、谷底はマリアナ海 溝より深い」と例え、収益を上げる難しさを強調した。

新中計については「コンテナ事業に対する視点をゼロ海抜として、 溺れないようにすることに注力した」とし、短期用船など守りの姿勢で 取り組んでいる最中だと語った。

同社は12日に香港海運のオリエント・オーバーシー・コンテナ・ラ イン社(OOCL)から1万3000TEUの大型コンテナ船を3年の短期 リースで4隻を調達すると発表済み。最初の船は13年、その後は順次納 入される予定。丸山氏は「OOCLとの用船契約で当座は十分、1万T EUを超える大型船を調達する必要はない」と強調した。

止まらない燃油高騰

丸山氏は、「3年程度の短期間だと用船料は長期に比べ高くなる。 ただ、高騰が続く燃料費のリスク、所有するリスクの方がはるかに大き い」と短期用船のメリットが勝ると指摘する。郵船の燃油費は10年度実 績で1トン当り484ドル、11年度予想は同650ドルと上昇が止まらない。 丸山氏は「過去の歴史は200ドル以下がずっと続いていたため顕著化せ ず、各社が船価に注目していたが、ここまで油が高くなると船価は問題 にならない」と取り巻く環境が激変したと説明する。

燃油高騰への対応策として、各社が採用している減速走行による燃 費節約はほぼ限界に達している。一方でアデン湾沖の海賊問題も状況は 悪化しており警戒地域は拡大傾向にあり運航速度を落とせる余地はさら に狭まりつつあると丸山氏はいう。

同氏は、大型船が必要となる欧州航路での船舶需給の見通しについ て「15年には全体で1万TEU超の船が200隻、8000TEU超だと500 隻程度となり、キャパシティーを超え余剰が出てくる可能性がある」と 述べた。

次の戦略

同社は既に3月末の中計で、コンテナ船事業はライトアセット化を 骨子とし、自社保有が中心の長期固定船隊を縮小し、可能な限り持たな い経営を実施すると発表。コンテナ船は運航隻数を10年度の93隻から 13年度には110隻とし、16年度にも110隻を維持するが、このうちの長 期固定船隊は83隻から80隻、63隻まで減少させる。

具体的な投資計画でも、コンテナ船については既決投資の290億円 を除き新たな投資はゼロとする。一方、成長分野の自動車運搬船には新 たに1100億円(既決分と合わせ1900億円)、中小型ドライバルク船には 1000億円(同4700億円)、LNG・海洋事業船舶は2000億円(同2600 億円)をそれぞれ積極的に投資する方針。

丸山氏は、郵船が港と港の貨物運送だけでなく、生産地から配達地 まで輸送を手配することができる物流事業のNVOCC(非船舶運航業 者)も手がけていることが強みであり、そこが他の日本の海運会社と違 うところと強調する。従来の枠にとらわれず、柔軟な発想で貨物物流の 総合力を駆使するなどで、他の成長が見込める事業分野での飛躍の足か せとなることを避け、中長期的には成長分野とすることを目指す。

丸山氏は、高い成長が期待されるアジアを注力地域とし、特に域内 での荷動きを郵船のフォワーディング営業力を拡充して収益増を狙う。 丸山氏は、「中国は当然だが、タイ、マレーシア、インドネシア、フィ リピンなどでの取扱量を増やしたい」との考えを示した。

同社の11年3月期の定期船事業の売上高は4621億円、経常利益は 302億円と黒字転換したものの、燃料油高騰やスペース供給量の増加、 さらに東日本大震災の影響による輸送量減少などが見込まれるとし、12 年3月期は売上高が前期比4.9%増の4850億円と増えるものの、経常利 益は83%減の50億円と予想している。

ただ、コンテナ事業を単体としてみるのではなく、短期用船に加え てフォワ-ディングによる集荷力を強化、拡大することでコンテナ関連 の事業全体での両立を目指す。そのため、現在約400万TEUの取扱高 に、今後はこの2つの方策で16年度にはほぼ倍増の700万TEUを目指 す考え。

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