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子供9人の女性CEO資産運用者、男性優位の英企業取締役会に物申す

ヘレナ・モリッシー氏はロンドン の金融街、シティーで働く女性として最悪の事態を経験した瞬間を今で も覚えている。

約20年前、シュローダー・インベストメント・マネジメントの債 券ファンドチームで、ただ1人の女性として男性トレーダー16人ととも に勤務していた。一家の稼ぎ手として最初の出産休暇から復帰したばか りのその時、上司はモリッシー氏が職務を全うできるか疑問だとして同 氏の昇進を見送った。

「私が何か悪いことをしたのか、それとも昇進の準備ができていな かったのか知りたかった」。モリッシー氏は観覧車「ロンドン・アイ」 を見下ろす会議室で水をすすりながらそう振り返る。「返ってきた答え はこうだった。『あなたは第一子を出産したばかりで、職務をやり遂げ られるかどうか分からない』。私は違う道に進んでしまったという感じ だった」と語る。

モリッシー氏は結果的に、この上司が間違っていたことを証明した と、ブルームバーグ・マーケッツ誌7月号は報じている。同氏は退社し ニュートン・インベストメント・マネジメントに入社。7年後、メロ ン・ファイナンシャルが同社を買収した際に、35歳で最高経営責任者 (CEO)に就任した。

現在45歳のモリッシー氏はシティーで数少ない女性CEOの1人 だ。ニュートンの英国での事業を増強し米国でも事業を拡充。現在では 472億ポンド(約6兆2200億円)相当の運用を手掛け、約400人の 社員を統括する。

先の上司は育児がモリッシー氏の職務遂行の妨げになると主張した が、同氏はその後、さらに8人の子供を出産。全部で9人の子供を持つ 母となった。年齢は2歳から19歳まで。このうち7人がまだ親元で暮 らしている。シュローダーはコメントを控えた。

30パーセントクラブ

モリッシー氏は長年にわたって職場での女性管理職を増やす活動を 静かに支援してきた。最近ではもっと積極的に声を上げ、英国の経営幹 部の多くも耳を傾けるようになっている。同氏は企業が多様化を叫びな がら進展が全くないことにうんざりしていたと話す。英国では経営幹部 のうち女性が占める割合は約10%にとどまっている。

モリッシー氏は取締役会に重点を置くことに決めた。そこでは女性 が企業の意思決定に参加し利益の拡大に寄与できる上、他の女性たちに 最高のレベルでも競争できるのだと示すことができる。昨年11月には 企業に多くの女性取締役を起用するよう呼び掛ける「30パーセントク ラブ」を結成。2010年時点の12%から女性取締役の割合を増やす取り 組みを進めている。

この目標を達成するため、英銀ロイズ・バンキング・グループのウ ィン・ビショフ会長やHSBCホールディングスのダグラス・フリント 会長らFTSE100指数構成企業の約半数、20人以上の会長を説得し ている。

タイミングは抜群

モリッシー氏の活動のタイミングは抜群だ。欧州全域で女性を一定 の割合で取締役に起用する取り組みが進んでいる。ノルウェーは02年 からこの取り組みを開始し、義務付けた40%を達成した。スペインは 07年に、15年に40%とする目標を掲げた。フランスは1月、16年ま でに40%とすることを義務付け、イタリアは上場・国営企業に関し女 性取締役を30%とする法律策定を目指している。

ドイツのロイトホイサーシュナレンベルガー法相は2月、企業が 女性取締役を増やさなければ同国も割り当てを設ける可能性を示唆し た。

モリッシー氏は「1年前、私が女性取締役について話し始めた時、 素っ気ない態度を取られるか『いずれそうなるでしょう』と言われるだ けだった。現在ではこの問題に重点が置かれ、世論はとても高まってい る」と話す。

デービス元英貿易担当相はこのキャンペーンで先駆的な役割を担い 2月には政府によるリポートの作成を主導。このリポートは、FTSE 100指数構成企業の取締役のうち女性が15年までに25%を占めるべき であると結論付けている。英スタンダードチャータード銀行の元会長で あるデービス氏は、2年以内に状況に変化がなければ法律制定を支持す ると表明した。

デービス氏は「男女平等だけの問題ではない。企業の業績と生産性 の改善に関わる問題だ」と指摘する。

モリッシー氏は、クラブが成功を収めれば、女性たちの多くのキャ リアの行く末を閉ざしていた障害を取り除き、よりうまく進む方法を見 つけることができるかもしれないと語る。「取締役の構成を変えれば性 別に関する問題が改善され、人々は目を覚ます。そして、女性は『私に もできるかもしれない』と思えるようになるだろう」と述べた。

Editors: Gail Roche, Jonathan Neumann

参考画面: 翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先: 東京 堀江 広美 Hiromi Horie +81-3-3201-8913

hhorie@bloomberg.net Editor: Takeshi Awaji 記事に関する記者への問い合わせ先: Stephanie Baker in London at +44 207 330 7558 or stebaker@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先: Michael Serrill in New York at +1-212-617-6767 or mserrill@bloomberg.net

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