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物静かな戦略家、ヴァーレの新CEOに就任-政府との対立に終止符も

ブラジルの鉱山会社ヴァーレのム リロ・フェレイラ氏は2006年、同社によるカナダの鉱山会社、インコ の買収合戦の勝利に貢献した。その後、上司であるロジェール・アニェ リ最高経営責任者(CEO)はフェレイラ氏をインコ部門の責任者に指 名し、トロントを拠点とした世界ニッケル事業の構築を任せた。

フェレイラ氏は地元労働組合との関係を築き、合意形成型のアプロ ーチを取った。その姿勢は、他の経営幹部のほか全米鉄鋼労組 (USW)のレオ・ジェラード代表ら労組幹部に好印象を与えた。そし て、経営戦略や投資をめぐってブラジル政府と意見が対立していたアニ ェリ氏が辞任し、フェレイラ氏はヴァーレの次期CEOの地位を獲得す ることとなった。

ヴァーレのCEO選任過程でフェレイラ氏と面談した人材スカウト 会社CTパートナーズの幹部、アーサー・バスコンセロス氏は10日の 電話インタビューで「非常に驚いたのは、彼が非常にバランスの取れた 物静かな人物だったことだ」と振り返る。「彼はとても国際的な視野を 持ち、鉱山業や鉄鋼業について深い知識がある。その上、非常に戦略的 な物の見方をする」と語る。

鉄鋼業など輸出の増額につながるプロジェクトへの投資を増やすよ う求めるブラジルのルセフ大統領からの圧力にヴァーレが屈するのでは ないかとの懸念が投資家の間で広がる中、フェレイラ氏(57)はCEO の職を引き継ぐ。ヴァーレは鉄鉱石生産で最大手。鉄鋼業のリターン (投資収益)は鉄鉱石生産の約半分となる可能性がある。

ヴァーレ株の下落

サンパウロ市場のヴァーレの株価は16日、8カ月ぶりの安値まで 下げた。ブルームバーグのデータによると、ヴァーレの予想株価収益率 (PER)は現在5.49倍。豪英系BHPビリトンは11.32倍、英豪 系リオ・ティントは6.75倍となっている。

鉄鉱石価格が95%高騰したことや資産売却による一時的収入によ りヴァーレの1-3月(第1四半期)の純利益は68億3000万ドルと、 過去最高益を記録した。

マルセロ・アギアル氏(サンパウロ在勤)率いる米ゴールドマン・ サックス・グループのアナリストらは19日のリポートで、ヴァーレの 業績見通しは「非常に堅調」で鉄鉱石価格の急落によって困難な状況に 陥る「可能性は低い」ため、同社株は「異例の買いの好機」との見方を 示した。

アニェリ氏はCEOとして総額840億ドル以上に上る投資や買収を 統括し、配当170億ドルを支払ったが、鉄鋼業への投資拡大の要請やブ ラジル経済が09年、6年ぶりにリセッション(景気後退)に陥った際に 労働者を大量解雇したことをめぐって政府と対立した。

アニェリ氏は、ブラジルが造船所を建設中に中国で船舶を購入した ことでもルラ前大統領からの批判を浴びた。フェレイラ氏は22日にCE Oに就任。これらの対立を背景に、アニェリ氏の約10年間に及ぶCE Oとしての職務に終止符が打たれた。

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