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東電:前期赤字1.2兆円超、原発で過去最大-資産6000億円売却へ

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東京電力の前期(2011年3月期) 連結純損失は1兆2473億円に達し、日本の事業法人として過去最大の 赤字を記録した。福島第一原子力発電所での放射能漏れ事故の処理費用 が膨らむ。資産売却・人員削減を進め、被害者への補償に備える。

電力会社アジア最大の東電が20日、前期決算を開示した。原子炉 1-4号機の廃炉、放射能拡散防止策などの原発事故処理費などで特別 損失1兆777億円を計上する。繰り延べ税金資産取り崩しによる損失要 因4600億円も発生する。売上高は前の期比7%増の5兆3685億円。

東日本大震災で電源が喪失した福島第一原発は、1986年の旧ソビエ ト連邦チェルノブイリ以降で最悪の原発事故を起こした。金融機関を除 く日本企業の赤字最高額は東京商工リサーチによると、NTTの02年 3月期の8121億円。未定(当初は30円予定)だった期末配当は取りや める。今期(12年3月期)は無配、業績予想開示は見送った。

米格付け会社スタンダード&プアーズの柴田宏樹上席アナリストは 東電決算について「原発事故収束費用が発生し続け、少なくとも2、3 年は赤字で配当も最低でも同じ期間は無配になる」と決算発表前に予想 していた。

カブドットコム証券の山田勉マーケットアナリストは、東電株につ いて「政治銘柄」になっているとして「決算が材料視される度合いは小 さく、当面報道材料や思惑に振り回される」と述べた。

資産売却、社長交代

東電は同時に追加リストラ策と社長交代も発表した。リストラでは 資産売却で6000億円以上の資金確保を目指す。電気事業には不必要な 有価証券や不動産、国内外の事業は売却する。体育・宿泊施設などは全 廃して、事務所建物やPR施設売却も検討する。

また投資・費用を今期で5000億円以上削減する。安定供給・安全 確保を前提に修繕費を1800億円程度削減する。人件費については、代 表取締役が役員報酬を全額返上して常務と執行役員は減額する。社員は 管理職で25%、一般職で20%の年俸・年収を減額する。こうした対応 で年540億円の費用を削減する。さらに一段の人件費削減も検討する。

清水正孝社長は6月28日の株主総会をもって退任、後任には西沢 俊夫常務(60)が就く。また相沢善吾常務が副社長に昇格する。武藤栄 副社長と藤原万喜夫副社長は退任する。辞意を表明していた勝俣恒久会 長は留任する。

継続企業の前提に重要な疑義

東電はまた、原発事故の損害賠償で財務体質が悪化し、継続企業の 前提に重要な疑義を生じさせる状況が存在している、とも発表した。日 本政府は13日、東電原発賠償についての枠組みを決定したが、詳細に ついては今後の検討が必要で立法化に向けて国会審議も必要だとしてい る。

この日の東電株終値は前日比9円(2.5%)高の367円。震災前に 2100円台で推移していた株価は震災後の4月6日には292円まで急落、 上場来安値を更新した。社債のスプレッド(同年限の国債との利回り 差)に最近は特に大きな動きは見られない。

東電のCDSは13日以降、上昇している。19日時点で過去最高の

725.9ベーシスポイント(1bp=0.01%)と前日比で221bp上昇し た。13日は枝野幸男官房長官が日本政府の東電支援は金融機関による債 権放棄などの協力が前提だ、などと発言した。米格付け会社ムーディー ズは16日、東電格付けを2段階低い投資適格級で最低の「Baa3」 に下げ、格下げ方向での見直しも継続すると表明した。

●西沢俊夫氏の略歴:51年生まれ、75年京都大学経済学部卒業、東電 入社。05年企画部長、06年執行役員企画部長、08年常務

--取材協力 東京 稲島剛史、松田潔社、河野敏 Editor: Eijiro Ueno, Takeshi Awaji, Fukashi Maruta

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