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トウモロコシの輸入コスト、原発事故で割高に-飼料会社の収益圧迫

牛や豚など家畜の餌となる配合飼料 の主原料であるトウモロコシの輸入コストが上昇している。東京電力福 島第一原子力発電所の放射能漏れ事故の影響で、海外からの船が東日本 への入港を回避していることや船賃の上昇が起きているためだ。東日本 大震災で被害を受けた飼料業界の収益をさらに圧迫する可能性が出てい る。

穀物商社、コンチネンタル・ライスの茅野信行代表によると、トウ モロコシの海上運賃は、米メキシコ湾-日本間で東日本の港湾向けが西 日本向けに比べて「5%の割り増しを求められている」。福島第一原発 から漏れ出た放射性物質による汚染リスクを嫌っているためだという。 世界最大のトウモロコシ輸入国である日本は、約9割を米国から購入し ている。

福島第一原発の事故は、発生から2カ月以上が経つが事態収拾のめ どが立っていないことが関係者を悩ませている。外国からの輸送船が東 日本太平洋側の入港を避けていることについて、農林水産省畜産企画課 の原田英男課長は、「問題は全然収まっていない。船も人も来たくない という話だ」と語る。

穀物輸入業者は、トウモロコシの大型ばら積み船を東日本以外に入 港させてから、それより規模が小さい内航船で東北地方などに転送する ことで対応している。中継地では「積み荷を500キログラム単位の袋に 小分けして積み替えなければならないため人件費などがかかる」と原田 氏は説明する。

消費減少の可能性も

トウモロコシの調達コストは、海上運賃の割り増しに加え、中国な ど新興国での需要拡大を受けて上昇している。トウモロコシ価格の国際 指標とされるシカゴ商品取引所(CBOT)の先物中心限月は過去1年 で1ブッシェル当たり2倍以上に上昇し、2008年6月27日に付けた最高 値の7.9925ドルに近い水準で推移している。

飼料業界は売上高利益率が1%程度の、いわば「薄利多売」で努力 している企業が多い。原発事故の影響などでコスト高が続けば、配合飼 料に使われるトウモロコシの割合を減らす可能性があるとの声もある。

商品投資顧問、JSCの重本貴樹チーフ・マネジャーは、「輸入か ら国内での供給に切り替えるかもしれない。政府はトウモロコシに代わ る飼料原料としてコメの生産を奨励している」と指摘する。

農水省によると、日本はトウモロコシ消費のほとんどを輸入に頼っ ており、09年度は1190万トンのトウモロコシから2480万トンの配合飼料 が生産された。

福島第一原発では先月以来、放射性物質による汚染水が海に流れ出 ていることが断続的に確認されている。東電は先月、高濃度の汚染水を 処理するスペースを確保するため、低濃度の放射性物質を含んだ水を意 図的に海に放出した。

オランダの食品・消費者製品安全庁は10日、日本からオランダのロ ッテルダム港に到着した貨物船のコンテナ19個から放射性物質が検出さ れたと発表。このうち5個は許容基準を超えたため、一時的に差し押さ えたという。

震災による被害

国内飼料業界は、3月11日の東日本大震災で発生した津波で東北地 方の青森、岩手、宮城の3県の生産拠点が被災、港とともに17工場が損 壊した。その内、青森を除く2県では現在も水道や電気が復旧しておら ず操業を停止したままだ。同2県の09年度の配合飼料生産量は、184万 トンで国内総生産量の7.4%を占める。

国内最大の生産拠点である茨城県神栖市の鹿島では、工場の深刻な 被害を免れ生産量は震災前の水準に戻りつつあるが、同県が東電福島第 一原発のある福島県の南に隣接していることもあり、外国からの船舶の 「手配に困難が生じている」と、コンチネンタル・ライスの茅野氏は説 明する。農水省によると、鹿島の09年度の配合飼料生産量は397万ト ン。国内の総生産量の16%を占めている。

農水省の原田氏によると、配合飼料の東北地方の畜産農家への1日 当たりの供給量は震災前の1万トンから8800トン程度に回復している。 その内の5300トンは現地から供給し、残りは県外から輸送してくるとい う。

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