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1-3月GDPは予想上回る落ち込み、2期連続減-震災の影響大

今年1-3月の日本の実質国内総 生産(GDP)1次速報値は、3月11日の東日本大震災により生産や 輸出が下押しされた影響で、前期比年率マイナス3.7%と予想を上回 る大幅な落ち込みとなった。GDPのマイナスは2期連続。サプライ チェーン(調達・供給網)の寸断や電力不足などが響いた。

内閣府が19日発表した四半期別国民所得統計によると、物価変動 の影響を除いた同期の実質GDPは前期比0.9%減だった。GDPの 6割近くを占める個人消費は同0.6%減と2期連続のマイナス、設備 投資は同0.9%減と6期ぶりのマイナス、住宅投資は同0.7%増、公共 投資は同1.3%減、在庫投資は同0.5%減。輸出は同0.7%増だった。 ブルームバーグ調査による実質GDPの予想中央値は前期比0.5%減、 年率1.9%減だった。

与謝野馨経済財政担当相は同日午前に会見し、「マイナス成長の 大部分は大震災の影響だ」と指摘した。その上で、「世界的に景気が 悪化したリーマンショック後とは異なり、供給の落ち込みや消費者マ インドの冷え込みが原因だ」と述べた。さらに、2期連続でマイナス 成長になったものの、「景気の局面が変わったと判断するには至らな い」との見解を示した。

また、供給制約の克服は着実に進んでいるとし、「GDPのマイ ナスは一時的」なものであり、「景気対策は今のところ必要ない」と 強調。先行きついても「年を通じてのGDP成長率はゼロより上の1% 近いところにいく」と予想した。

4-6月もマイナス成長か

また枝野幸男官房長官は19日午前の会見で、GDPについて「大 震災の影響も相当程度この中に入っているものだろう」とし、当面は 「弱い動きが続く」と指摘した。その上で「下振れ要因となる可能性 のある電力供給の制約とか、サプライチェーンの立て直しの遅れ等が 生じないように」、復旧作業を進める意向を示した。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「3月11 日に東日本大震災が発生したことから、同月中下旬に景気は急速に悪 化した。今年の1-3月期は90日間だが、そのうち21日間というか なりの部分に震災の影響が及んだ」と指摘。「大震災による経済的悪 影響がフルに反映されてくるのは次の4-6月期分となる。3四半期 連続のマイナス成長が記録されることは避けられまい」としている。

耐久財とサービスが消費を押し下げ

個人消費を押し下げたのは耐久財とサービス。内閣府によると、 耐久財は震災によるマインドの悪化や供給制約による自動車販売の落 ち込みが影響したほか、サービスも外食など飲食や、遊園地などレク リエーション、スポーツ観戦にマインド悪化が影響した可能性がある という。設備投資についても震災の影響が出ている可能性があり、供 給制約により自動車が全体を押し下げたという。

生活実感に近いといわれる名目GDPは前期比1.3%減だった。

1.3%減は2009年1-3月期のマイナス4.8%以来の低い水準。物価 動向を示すGDPデフレーターは前年同期比1.9%低下と、引き続き デフレが続いていることを示した。また、輸出から輸入を差し引いた 外需の成長率への寄与度はマイナス0.2%となった。内需の成長率寄 与度はマイナス0.8%だった。

伊藤忠商事の丸山義正主任研究員は在庫投資の大幅減少について 「大震災によるサプライチェーンの途絶などにより生産が停止し、企 業が製品や原材料在庫などを取り崩したほか、被災地への石油製品供 給の徹底と供給不安解消のために、石油の民間備蓄義務が引き下げら れた」とみている

昨年10-12月の実質GDP伸び率(前期比年率)は2次速報の

1.3%減から3.0%減に下方修正された。前期比は0.3%減から0.8% 減に改定された。統計発表後の円の対ドル相場は、午後零時03分現在 1ドル=81円56銭前後。発表直前は同81円78銭前後だった。

GDPデフレーターは過去最大のマイナス

同時に発表された10年度の実質GDP成長率は前年度比2.3%増。 GDPデフレーターは1.9%低下し、比較可能な1956年以来最大の下 落幅となった。内閣府によると、これは輸入デフレーターが4.1%上 昇と、原油価格上昇を受けて前年度(15.7%低下)からプラスに転じ たのが主因。輸入はGDP算定に当たり控除されるため、輸入デフレ ーターが上昇するとGDPデフレーターを押し下げる関係にあるため。

日銀の展望リポートは景気の先行きについて「震災の影響により、 当面、生産面を中心に下押し圧力が強い状況が続く」としながらも、 「供給面での制約が和らぎ、生産活動が回復していくにつれ、海外経 済の改善を背景とする輸出の増加や、震災によって毀損(きそん)し た資本ストックの復元に向けた需要の顕現化などから、わが国経済は 2011年度後半以降、緩やかな回復経路に復していく」としている。

内閣府の外郭団体、社団法人・経済企画協会が16日発表した民間 エコノミストを対象としたESPフォーキャスト調査(回答期間4月 26日-5月9日、回答数42人)によると、1-3月は前期比年率マ イナス1.53%(4月調査マイナス0.22%)、4-6月はマイナス

3.28 %(同マイナス2.83%)と、大幅な下方修正となった4月調査 からさらに下方修正された。

一方、7-9月はプラス2.81%(同プラス1.88%)、10-12月は プラス5.03%(同プラス4.59%)に上方修正されており、急回復を見 込んでいる。日銀の展望リポートも、11年度の成長率の見通し(委員 の中央値)は1月時点のプラス1.6%からプラス0.6%に下方修正され る一方で、12年度の見通しは復興需要を見込んでプラス2.0%からプ ラス2.9%に上方修正された。

--取材協力 広川高史 Editor:Hitoshi Ozawa, Kenshiro Okimoto, Hideki Asai,Takeshi Awaji

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