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菅政権に増税への圧力、復興財源と財政規律の狭間-格付け見通し変更

米格付け会社スタンダード・アン ド・プアーズ(S&P)が日本国債の格付け見通しを引き下げたこと から、菅政権はそれでなくても東日本大震災後の復興財源の確保で苦 慮している中で、増税への道筋をつけることになるのか、さらなるプ レッシャーに直面している。

S&Pは27日、日本の外貨・自国通貨建ての長短期国債格付け見 通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更したと発表した。その理 由としてS&Pは、増税などの財源措置が取られない限り、政府財政 赤字の対国内総生産(GDP)比率が、同社の従来予想値を2013年度 まで累積で3.7%ポイント上回ると見込んでいることを挙げた。

増税は被災で甚大な被害を受けて落ち込んでいる消費者信頼感に 一層の打撃を与える恐れがある。27日に発表された3月の小売業販売 額は震災の影響を受けて13年ぶりの落ち込みとなった。与野党の議員 や閣僚経験者の一部は増税が日本経済に与えるマイナスの影響を懸念 し、増税よりも日本銀行による一層の国債買い入れを求めている。

RBS証券の西岡純子チーフエコノミストは「増税は避けられない」 とし 、国債増発に関する議論が本格化するにつれ、日銀に一段の金融 緩和を求める声が上がってくると指摘する。

昨日の日本の債券相場は、日本国債の格付け見通し悪化への懸念 をほとんど示さず、指標の10年物国債利回りは1.224%と前日とほと んど変わらなかった。

政治的リーダーシップ

S&Pは発表の中で、「今後の財政見通しは政府の政治的リーダ ーシップと、いかに財政再建策に関する政治的コンセンサスを形成す ることができるかに大きく左右される」との見方を示した。その上で、 「今後2年間に財政が現在のS&Pの見通し以上に悪化した場合は、 格下げとなる可能性がある」としている。

菅政権は22日、東日本大震災後の復旧・復興のため、歳出規模4 兆153億円の今年度第1次補正予算案の概算を閣議決定。28日の同予 算案の閣議決定を経て直ちに国会に提出、5月2日に成立を目指す。 ただ、菅直人首相は世論調査で支持率が低い上、自ら率いる民主党内 でも菅離れが進んでいる。

元環境相の小沢鋭仁氏は27日に開かれた超党派の国会議員によ る「デフレ脱却国民会議」(呼び掛け人代表:勝間和代氏)で、直ち に増税することはマクロ経済の観点から誤りだとの見解を示した。み ずほ証券の飯塚尚己シニアエコノミストは、日銀の資産買い入れ等基 金による国債買い入れの可能性を指摘、政府の国債増発に対応して日 銀は政府支援に回る以外にほとんど選択肢がないとの考えを示してい る。

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