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債券続伸、生産大幅減で日銀金融緩和継続-先物は3月以来の140円台

債券相場は続伸。先物は約1カ月 半ぶりに140円台に乗せた。米国債相場の下落を受けて売りが先行し たが、鉱工業生産が過去最大のマイナスとなるなど国内景気懸念が強 まり、徐々に買いが優勢になった。この日の日銀金融政策決定会合で は西村清彦副総裁の資産買い入れ基金の増額提案が否決されたことで いったん売られたが、今後の追加緩和含みとの見方から買い直された。

トヨタアセットマネジメントの深代潤チーフファンドマネジャー は、「米国では金融引き締めの話もなく、想定通りだった。不透明感が 薄れると、余剰資金を抱える投資家が買いに入るようだ。朝方発表さ れた経済指標は悪すぎる数字で買い材料。日銀による緩和的な政策が 長引く印象になっている」と話した。

東京先物市場で中心限月6月物は、前日比4銭安の139円90銭で 始まり、直後にこの日の安値となる139円85銭まで下落。しかし、そ の後は徐々に買いが優勢となり、午後の開始後には3月17日以来の高 値となる140円08銭まで上昇した。日銀決定会合の結果発表後には横 ばい圏まで伸び悩んだが、取引終盤にかけて再び買われ、結局は11 銭高の140円05銭で引けた。

JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、国内 株式相場が上昇しており、朝方発表された鉱工業生産の悪い数字が相 殺されていると指摘しながらも、「先物を中心にしっかりで、相場の下 値不安は後退している」と話していた。

米債安・株高

朝方は前日の米国市場で債券安、株高となった流れを引き継いだ。 RBS証券の徐瑞雪債券ストラテジストは、「前日の米債安、株高の状 況を受けて売りが先行した。連邦公開市場委員会(FOMC)の内容 は特にサプライズ(意外感)はないと思う。大型連休入り前で動きに くい」と述べた。

27日の米債相場は下落。米10年債利回りは前日比4ベーシスポ イント(bp)高い3.35%程度。FOMCがインフレ見通しを上方修正 したことが背景。一方、米株相場は上昇。日経平均株価は続伸した。

米連邦準備制度理事会(FRB)は26、27日のFOMC終了後に 声明を発表し、景気が「緩やかなペース」で回復しており、インフレ 加速は一時的なものになる可能性が高いとの認識を示した。6000億ド ルの国債購入計画については予定通り6月で終了させることで合意し た。バーナンキFRB議長の初の定例会見では、金融引き締めの開始 時期についての見通しは示さなかった。

生産は過去最大の減少

一方、国内で朝方発表された3月の鉱工業生産指数は前月比

15.3%低下となり、ブルームバーグ調査の予想中央値の同10.6%低下 を下回った。低下率はリーマン・ショック後に記録した2009年2月(同

8.6%低下)を超えて過去最大となった。生産予測指数は4月が前月比

3.9%上昇、5月が同2.7%上昇となった。

三井住友海上きらめき生命保険の堀川真一経理財務部長は、鉱工 業生産をはじめ経済指標については、「震災の影響が大きいので見極め るためにはもう少し先の数字も見ていきたい」としながらも、「きょう の数字は債券を売りにくくするものだったと思う」と指摘した。

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の313回債利回 りは、前日比0.5bp高い1.22%で始まり、いったんは1.225%を付け た。その後は横ばい圏で推移していたが、午後2時半過ぎに水準を切 り下げ、一時は1.5bp低い1.20%と3月下旬以来の低水準を付けた。 その後は1.205%で取引されている。

中期債も買われた。5年物の96回債利回りは1.5bp低い0.465% まで低下し、新発5年債としては3月29日以来の低水準を付けた。

日銀会合、西村副総裁の基金増額提案を否決

日銀は28日、金融政策決定会合で、金融政策については現状維持 とすることを決めた。西村副総裁が資産買い入れ等基金の5兆円増額 を提案したが、反対多数で否決された。また、「被災地金融機関を支援 するための資金供給オペレーション」を行うことを正式に決定した。 有力日銀ウオッチャー14人の大方が現状維持を予想していた。

金融政策運営については、資産買い入れ等基金のうち、長期国債 や社債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-R EIT)など金融資産買い入れは「10兆円」、固定金利方式の共通担 保オペは「30兆円」、政策金利は「0-0.1%」、長期国債の買入額は 「月1.8兆円」にいずれも据え置いた。

みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは、西村副 総裁の基金増額の提案に関して、「驚いた。内閣府出身の方なので、政 府との協調姿勢や金融市場の安定化に向けて手を打ちたいという考え なのだろう」と説明。その上で、「次の一手が追加緩和だと印象づける 意味合いがある」と述べた。

また、RBS証券の福永顕人チーフ債券ストラテジストは、「資産 買い入れ額について増額の意見が執行部から出たことは、今後の追加 緩和に含みを持たせるもの」と指摘。今後、震災の景気への影響が一 段と大きいことが確認された場合に、円高やデフレといった要因でな くとも追加緩和に踏み出す可能性が出たとの見方を示した。

日銀が公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、 2011年度の委員見通し(中央値)は、東日本大震災を受けて実質国内 総生産(GDP)成長率が1月時点のプラス1.6%からプラス0.6%に 下方修正。消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比は プラス0.3%からプラス0.7%に上方修正された。

--取材協力:野原良明 Editors:Hidenori Yamanaka,

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