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東北新幹線:震災復旧も超特急、29日に運行全面再開-生きたノウハウ

東日本大震災で大きな被害を受けた JR東日本の東北新幹線は、29日に仙台-一ノ関間の運行を再開、全線 が復旧する。被災から1カ月半あまりのスピード復旧で、被災地の経済 活動への効果に期待が高まっている。

東北新幹線の震災被害は、架線をつなぐ電化柱の損傷や傾斜が500 カ所以上、架線の切断が470カ所、高架橋柱の損傷が約100カ所など、 計1200カ所に上った。2004年10月23日の新潟県中越地震で不通にな った上越新幹線は全面復旧まで2カ月以上かかったが、今回は被害の範 囲や程度がはるかに大きかったものの、これを上回るスピードで復旧に こぎ着けた。

国土交通省の東北運輸局の岸谷克己鉄道部長は理由として、阪神淡 路大震災や新潟県中越地震の復旧で知識やノウハウを身に付けた人材 を官民から投入できたことを挙げた。JR東日本の依頼で作業用車両に 優先的に給油を可能とする証明書を発行し、燃料の確保に努めたことも 効果的だったと指摘。JR東日本の広報担当、朝倉聡彦氏によると、約 8500人のエンジニアを被災地に投入したという。

JR東日本のグループ会社で線路復旧工事を担当した仙建工業(仙 台市)の中野渡鉄道部長は、「余震が続く危険な状態の中で作業員の士 気を維持するのが大変だった。24時間体制に近い形の突貫工事でやり遂 げた」と振り返り、「結果的には、われわれの持つ鉄道関連のノウハウ の総合力を証明することができて満足している」と語った。

「がっかり」

東北新幹線は昨年12月に新青森まで延伸開業、東京を結ぶ営業区 間は700キロ超となった。3月5日には最新鋭の車両「はやぶさ」を投 入し、時速300キロメートルでの運行を開始、観光客らを呼び込む期待 が高まっていた。岸谷氏は「東北の時代が始まると思った矢先の震災で 当時は本当にがっかりした」と振り返る。

復旧までには曲折もあった。一ノ関-盛岡間は4月7日にいったん 運転を再開したものの、同日深夜の余震で新たに約550カ所が被害を受 け再度の復旧作業を迫られた。25日には福島-仙台間の運転再開で東京 -仙台間の運行を始めたものの、その日に停電が発生、運転を一時見合 わせる事態もあった。

青森県三戸郡を故郷にもつ都内の会社員、中田文穂氏(38)は、5 月の連休前の開通を「待ちわびていた」と歓迎、「震災の影響をどの程 度受けたのか、また親族が経営するリンゴ農園への影響なども自分の目 で確認したい」と語った。「ようやく震災復興に一つのめどが付いたと 実感できる」とも述べた。

仙台市内のタクシー運転手、鈴木清治氏(44)は、復旧による人々 の移動でダイナミズムが生まれ景気にプラス効果が期待できると話す。 「当面は保険会社の調査や被災者の関係者の動きが活性化することな どで一定の需要が見込める」と述べ、その間に観光需要が除々に回復す るシナリオがベストだと語った。

他の鉄道や港も

観光庁の溝畑宏長官は20日の会見で、東北新幹線復旧は「東北地 方復興のシンボリックなものとして意義深い」と指摘。大畠章宏国土交 通相は19日の会見で、「東北地方の経済復興に向け、残る鉄道や港の復 旧が速やかに行われなければならない」と語った。

JR東日本は27日、震災被害が10年3月期の業績に与える影響は グループでは590億円減収、うち鉄道収入の減少額は420億円になった と発表。鉄道の復旧費用や固定資産の滅失などで587億円の特別損失を 計上した。

3月の鉄道営業収入は前年同月比27%減と、過去最大の下落率にな った。清野智社長は5日の会見で、新幹線は復旧後も当面の間は最高速 度で運行できないと説明した。福島県内など一部不通になっている在来 線は時間がかかっても全面復旧させると強調した。

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