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外食就業者11カ月ぶり減少、外国人脱出要因も-先行産業の岐路

震災、原子力発電所事故後に大手 牛丼チェーンで大量の外国人アルバイトが退職したとのニュースもあ った3月、日本の外食業界の就業者数は11カ月ぶりに減り、前年と比 べた減少率は主要15産業の中で3番目に大きかった。

総務省統計局が28日に発表した3月労働力調査の詳細を見ると、 「宿泊・飲食サービス」の就業者数は前年同月比1.9%減の366万人。 同就業者数がマイナスに転じたのは2010年4月以来で、減少率は「農 業・林業」の4%、「情報通信」の3.2%に次ぐ。

同局・労働力人口統計室の木下智晴氏は、「東日本大震災や福島第 1原発事故などをきっかけに景気の先行き不透明感が広がったほか、 外国人労働者の帰国問題、計画停電に伴う営業停止問題なども就業者 数の減少に影響したのではないか」と分析している。

木下氏によると、「宿泊・飲食サービス」を構成する3業種の就業 状況は、「宿泊」が3万人増、「飲食」9万人減、「持ち帰り・宅配」は 横ばい。「飲食業」では就業者数の減少に加え、給与を受け取りながら 稼働実績がなかった休業者数も増え、同33%増の8万人が休業状態だ った。同調査はこれまで、47都道府県の15歳以上、10万人を対象に 行ってきたが、震災後は岩手、宮城、福島の3県を除く44都道府県で 実施。前年同月との比較が可能な10年1月以降では、「宿泊・飲食サ ービス」就業者数の下落率は今回が最大だ。

野村総合研究所・消費財サービス産業コンサルティング部の水野 隆一氏は、「外食産業はもともと外国人依存度の高い産業だったため、 今回の問題で経営基盤が揺らいだ企業も多い。企業の成長戦略として は、日本人従業員の確保に注力するところの方が、短期的にはうまく 回る可能性が高い」と述べた。

200人退職、勤務希望書かず

厚生労働省の全国「外国人雇用の届出状況」によれば、昨年10 月時点で外国人労働者を雇用する事業所は前年同期比14%増の10万 8760カ所、外国人労働者数は16%増の64万9982人。外国人労働者数 の多い産業は「製造業」「サービス業」「宿泊・飲食サービス」の順だ。

牛丼店を中心とした外食企業の吉野家ホールディングスでは、福 島原発事故後の1週間で、首都圏の店舗に在籍していた外国人アルバ イト約800人のうち、4分の1の約200人が退職した。同社では、近 隣店舗からの人材融通で退職者のあった店舗を支援、新規採用も進め、 「業務上支障はなかった」と木津治彦広報部長は話している。

牛めしチェーンの松屋フーズは、震災後に数百名規模の外国人ア ルバイトが各店の従業員スケジュール表への勤務希望の書き込みを中 断。広報・IRグループマネージャーの遠藤隆也氏は、「ちょうど春休 みの時期だったため、留学生などが一時帰国するケースも多かったの ではないか」と述べた。

横浜中華街でも、留学生らの本国帰国問題が表面化。横浜中華街 発展共同組合によると、同地域で働く2500人のうち、アルバイトの留 学生など約300人が一時帰国。同協会の根岸廣子氏によると25日現在、 230の料理店のうち「5店が人手不足のため営業を停止」する。

独立系調査会社のTIWのシニアアナリスト、岡敬氏は「震災で職 にあぶれてしまった人も数多く、外食産業は日本人の雇用を増やしや すい環境にある。人件費は高騰しない」と分析。企業側が採用に有利 な、いわゆる「買い手市場」とみている。

「無人化」拡大の可能性も

日本フードサービス協会が06年にまとめた外食産業の雇用状況 に関するアンケート調査では、従業者の中に占めるパート・アルバイ トの割合は91.1%で、全従業員に占める外国人の割合が2.2%だった。 野村総研の水野氏によると、外食産業は正社員比率が低く、パート・ アルバイト従業員に店舗運営上の事実上の権限を移譲するなど、「日本 の産業構造や経済トレンドの変容を先行的に捉え、外国人の雇用規制 緩和に真っ先に対応してきた」経緯がある。

従業員の管理・研修の国際化に務めてきた外食産業で、今回の震 災を機に無人化オペレーションが広がる可能性がある、と水野氏。一 部居酒屋で行われる情報端末で顧客の注文を受け、カウンターに自ら 料理を取りに来てもらうセルフ方式、チェックインやチェックアウト を機械で管理するホテルなども増えると予測する。「現状は低サービ ス・低価格のイメージが持たれがちだった無人化も、これこそ時代に 即したサービスと受け入れられれば、高付加価値との認識も強まる」 と同氏は言う。

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