コンテンツにスキップする

CP上乗せ金利、日銀包括緩和で震災後も低水準-リーマン後と対照的

企業が発行するコマーシャルペー パー(CP)の上乗せ金利(対国債スプレッド)は、東日本大震災や 原発事故による影響は一時的にとどまり、今月半ばからは震災前の水 準を下回って推移している。日本銀行の包括緩和や潤沢な資金供給の 効果が出ているためで、半年程度高止まりが続いた2008年のリーマ ン・ショック後とは対照的となっている。

東京短資のデータによると、a-1格付けのCP3カ月物は、国 庫短期証券(TB)に対するスプレッドが3月11日の大震災の翌週か ら拡大し、同23日には8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と 09年7月以来の高水準を付けたが、その後は急速に縮小。約1カ月後 の4月15日からは1bpと震災前日の1.25bpを下回って推移している。

リーマン・ショック後のCPスプレッドの推移を見ると、08年9 月半ばの12.5bpから同12月半ばには141bpと、データでさかのぼれ る04年4月以降の最高を記録。当時は中長期の社債スプレッドも上回 っており、元の水準に落ち着くまで約8カ月かかった。

東短リサーチの関弘研究員は、「リスクプレミアム(金利上乗せ) の圧縮を促す包括緩和が危機時に効果を発揮した。リーマン・ショッ ク時と違い、リスク資産の買い入れというバックストップ(安全弁) がすでにあった。未曾有の資金供給も短期市場のCPには効いた」と 言う。

日銀の素早い対応

日銀は震災直後3月14日の金融政策決定会合で、包括緩和策の資 産買入基金によるCPと社債の買い入れ額を各5000億円から各2兆 円へ4倍に拡大。震災後6営業日で累積40兆円に及ぶ緊急即日オペを 実施したほか、あらゆる供給オペを使って金融機関の手元資金の当座 預金を2週間で17兆円台から過去最大の42兆円台まで拡大した。

日銀の素早い対応が功を奏し、3カ月物のCPは0.2-0.3%に上 昇したのが、2週間程度で0.12%前後に低下した。リーマン・ショッ ク後のCPは0.7%台から1.8%台まで急騰し、日銀がCP買い入れ策 の導入を検討する中で、元の金利水準に戻るのに半年近くかかった。

CP市場が落ち着いている背景には、企業の手元資金がもともと 潤沢なことに加え、企業がCP発行に過度に依存していないことも影 響している。実際、3月末のCP発行残高は14兆333億円と、発行方 式が電子化した05年6月以降の最低にとどまっており、買い手の余力 は大きい。

関氏は、「市場規模に対して日銀のサポートが大きく、発行環境は 非常に良いため、企業にとっては有力な資金調達手段だ」と指摘して おり、震災後の復旧・復興に向けて資金需要が高まれば、CPを利用 する企業も増えてくると期待している。

調達手段の多様化

震災後の約1カ月間、3大メガバンクには合計7.5兆円に上る融 資要請が集まった。取引先企業への支援や、工場や設備の復旧費、運 転資金や原材料費など、当座の手元流動性を厚くする「つなぎ」資金 の需要とみられている。

銀行融資の基準金利となっているTIBOR(東京銀行間貸出金 利)は3カ月物で0.34%と、約5年ぶりの低水準にある。もっとも、 CPを発行すれば、その半分以下のコストで資金が調達できる。

大手鉄鋼会社の財務担当者は、日銀の迅速な市場安定化策が短期 資金調達の混乱を抑えたと指摘した上で、CPは資金調達手段として 利便性が高いため、銀行借り入れと併せて利用していく方針を示して いる。

企業も金融機関も大震災と原発事故という、これまで経験したこ とのない状況に直面している。国内大手銀行の資金担当者は、リスク 管理の観点から、資金調達手段を多様化しておく必要性は高まってい ると言う。

--取材協力:宋泰允 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

参考画面: 記事に関する記者への問い合わせ先: 東京 船曳三郎 Saburo Funabiki +81-3-3201-8294 sfunabiki@bloomberg.net 記事に関するエディターへの問い合わせ先:

大久保義人 Yoshito Okubo +81-3-3201-3651 yokubo1@bloomberg.net

Rocky Swift +81-3-3201-2078 or rswift5@bloomberg.net

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE