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リビア脱出したカダフィ政権の資金運用担当者、金融界セレブから脱落

リビア政府軍が2月21日、首都 トリポリで反体制派のデモ隊を自動小銃で攻撃していたころ、最高指 導者カダフィ大佐の資金運用担当者は混乱を逃れるため乗用車で市内 を脱出し、空港に向かった。

この人物はリビア政府系ファンド(SWF)、リビア投資庁(LI A、運用資産650億ドル=約5兆3000億円)の副会長を務めていた ムスタファ・ザルティ氏。電話やインターネット接続が不通で航空券 を事前に購入できなかったザルティ氏は、すでに満席に近いフライト の搭乗券を求める人々でごった返す空港で、オーストリア航空ウィー ン行きのビジネスクラスの座席を確保した。ブルームバーグ・マーケ ッツ誌6月号が伝えた。

ザルティ氏は「あの日は最悪だった。リビアのことを考えるとと ても悲しい」と述べた。

SWFとして世界11位の規模を誇るLIAの運用に携わってい たザルティ氏は、世界の市場で利益を上げようと奔走した。金融界セ レブの仲間入りも果たし、2008年にトリポリで行われた同氏の結婚 式には、米ブラックストーン・グループのスティーブン・シュワルツ マン会長が出席。カダフィ大佐の次男、セイフイスラム氏の親しい友 人でもあり、カダフィ政権の後継者とも直接的なつながりがあった。

ただ、こうした関係は今やザルティ氏にとって、いら立ちでしか ない。リビア出国から3日後にはLIA副会長を辞任。反体制派への 政府の武力行使は正当化されないと辞表に記した。

口座凍結

トリポリ出身のザルティ氏は現在、ウィーンで妻子と暮らす。個 人口座の少なくとも一部は利用できない状態にある。

オーストリア中央銀行は3月4日、LIAでの職務とリビア政権 との近い関係を理由に、残高が100万ユーロ(約1億1900万円)強 相当の同氏の2つの口座を凍結。その6日後には同口座を対象に、欧 州連合(EU)閣僚理事会も同様の措置を講じた。ただ、反体制派へ の暴力に加担した人物とは指摘しなかった。オーストリア外務省の報 道官は「カダフィ一族と非常に近い関係にある」と述べている。

ザルティ氏(41)は自身の名誉回復に加え、口座の凍結解除に向 け闘う姿勢だ。3月上旬に同氏は自身の広報担当者を置くウィーンの 事務所で、政府の対応は不当だと強調した。

ザルティ氏によると、口座の凍結解除を求めて同氏の弁護士はウ ィーンで訴訟を起こした。4月にはEUに申し立ても行った。オース トリア当局は資産凍結を講じる前に説明の機会を与えず、個人の権利 を侵害したと同氏は主張。さらに、凍結対象となった資金はカダフィ 政権のものではなく自身の資金であるほか、LIAの口座を自ら利用 することはできなかったと説明している。

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