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台風来たらどうする、福島原発に新たな課題-「もぐらたたき」の声

(東電広報のコメントと株価を追加し、更新します)

【記者:岡田雄至、稲島剛史】

4月21日(ブルームバーグ)高濃度放射能汚染水の移送が進み、 「冷温停止」状態を目指す東京電力の福島第一原子力発電所に余震や津 波の脅威に加えて「台風」というリスクが新たな懸念材料として浮上し ている。専門家からは次々と出てくる難題に「もぐらたたき」と評する 声も出ている。

台風によるリスクとしては、建屋を覆う予定の巨大なカバーの破損 や、建屋自体の崩壊、高濃度の放射性物質の飛散や地下水への浸透など が懸念されている。東電は危険要素として「巨大台風時にカバーが破損 する恐れがある」点を認めている。

気象庁のデータによると、2004年には東北地方に8つの台風が接 近。このうち最初の台風接近は5月だったという。昨年には台風の目 が2つ東北を通過している。

3月11日に起きた東日本大震災では「1000年に1度」と言われる 大津波が東日本の太平洋岸を襲い、福島第一原発の冷却電源が喪失し、 チェルノブイリ並みの「レベル7」の大事故につながった。未曽有の天 災を目にした後、大型台風の襲来を否定することはできない。

油断は禁物

気象庁の高山大予報官は「台風は通常日本の南西部で上陸すること が多いが、勢力を強めながら東北地方に直撃することもあり得る」とし 油断は禁物という。

東日本大震災以降、福島第一原発では1号機、3号機、4号機の原 子炉建屋の屋根や外壁が水素爆発で飛ばされ、放射性物質を建屋内に封 じ込める機能が損なわれ外部への飛散が続いている。

今後約6-9カ月程度かけて原子炉を冷温停止状態に落ち着かせる ための道のりを示した工程表には、放射性物質が風で飛ばされるのを防 ぐための飛散防止材散布のほか、原子炉建屋をカバーで覆う計画も含ま れた。カバーで覆ったうえで、コンクリートなどによる屋根や外壁を原 子炉建屋の周囲に設けて、本格的な飛散防止策としたい考えだ。

東電広報担当の元宿始氏は、原子炉建屋を覆うためのカバーの素材 については「まだ決まっていない」と話した。

北海道大学の奈良林直教授は「7月下旬ごろの台風が来る時期まで にはちゃんと建屋を覆っておくことが必要だ」と指摘する。そのうえで 台風によって発電所内で放射性物質が飛散し、現場の作業環境がさらに 悪化する可能性があることから、「土壌を固定したり、汚染水がさらに あふれないような対策も必要」と語った。

福島第一原発では通称「キリン」と呼ばれるコンクリート圧送車で 原子炉建屋上部にある使用済み燃料プールへの注水作業が現在も行われ ている。奈良林氏は「どんなことがあっても注水の作業は続けないとい けない」と話した。

建屋の崩壊も

京都大学の宇根崎博信教授によると、水素爆発の爆風で弱まった原 子炉建屋が、台風によって崩壊が進むことも考えられるという。「例え ば4号機では海側のコンクリート部分が損傷しており、強風などによ って、これがさらに広がる可能性も否定できない」と強調した。

地下水の汚染という脅威もある。大量に雨が降った場合には、地面 の表層部にあった放射性物質が地下水に拡散する危険性があるためだ。 宇根崎氏は、原発敷地内に限らず30キロ圏内周辺のこれまで比較的高い 放射線量が測定されている地域で、「大雨によって汚染が地下水や飲料 水に広がることに注意しないといけない」と訴えた。

地震と津波による電源の喪失で冷却機能がダウンし、建屋の爆発や 燃料棒の溶融、圧力抑制室の損傷という事態に至った。さらに、冷却機 能を回復させるための機器が置かれた建屋内や周辺の坑道では汚染水の 蓄積が続く。新たな問題が続出する福島第一原発の状況について、北大 の奈良林氏は「もぐらたたきと呼んでいる」と話した。

東電の株価は一時、前日比24円(5.4%)安の421円を付け、終値 は22円(5%)安の423円だった。

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