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西村日銀副総裁:必要と判断される場合は適切な措置を講じる

日本銀行の西村清彦副総裁は21 日午前、横浜市内で講演し、「引き続き、震災の影響をはじめ、先行 きの経済・物価動向を注意深く点検した上で、必要と判断される場合 には適切な措置を講じていく方針だ」と述べた。

西村副総裁は東日本大震災の影響について、供給面ではサプライ チェーンの寸断により「多くの企業の部品調達を困難にし、全国的に 生産活動を制約するようになった」と指摘。需要面でも「生活必需品 などに対する需要が一時的には増加したが、先行き不透明感の高まり で企業の投資意欲や家計の購買意欲が減退し、設備投資や個人消費を 全般的に下押ししているとみられる」と述べた。

日銀は3月11日の東日本大震災の発生を受けて、同月14日の金 融政策決定会合では、社債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不 動産投資信託(J-REIT)などリスク資産を中心に資産買い入れ 等基金を5兆円程度増額することを決定した。

伊藤忠商事の丸山義正主任研究員は今月28日の金融政策決定会 合で追加緩和はないと予想しているが、先行き「供給制約が需要自体 を押し下げるリスク、つまり被災による工場毀損(きそん)やサプラ イチェーン途絶、電力供給制約による生産低迷という供給制約が、雇 用所得環境や消費マインドの悪化を通じて個人消費などの最終需要を 下押しするリスクが高まれば、追加緩和に踏み切る」とみている。

秋以降に供給制約は和らぐ

西村副総裁は講演で「サプライチェーンの再構築には、相応の時 間を要するとみられる」ほか、「夏場には夏季の冷房需要という形で 電力需要が増加するため、電力需給が再び逼迫(ひっぱく)し、一定 の供給制約が顕現化する可能性が高い」と指摘。このため、「供給面 の制約が直ちに解消するとは考えにくく、わが国経済は当面、生産面 を中心に下押し圧力が強い状況が続くとみざるを得ない」と述べた。

もっとも、「秋口以降を展望すれば、電力の需給逼迫が改善に向か うとともに、サプライチェーンの再構築も進む結果、供給面の制約が 和らいでくる」と予想。「世界経済が新興国・資源国にけん引されて高 い成長を続けている下で、生産活動の回復と、それに伴う輸出の増加 が日本経済の回復を支える原動力の一つとなる」と語った。

西村副総裁は一方で、長期的なリスクについて「福島第一原子力 発電所事故の解決が長期化し、電力の供給能力不足が続くリスク、ま た風評被害が内外で拡がり、輸出や観光に大きな影響が生じるリスク には、留意が必要だ」と指摘した。

さらに、「企業のサプライチェーン再構築の過程で結果的に生産 の海外移転の動きが加速する恐れや、震災と原発事故が企業や家計の 投資意欲、購買意欲を冷やし、個人消費や国内設備投資を低迷させ、 ひいては国内の成長期待を低下させるリスクも考えられる」と述べた。

物価への影響は判然としない

物価については「震災の影響による供給面の制約から、個々の財 やサービス市場では、短期的にボトルネック的な状況が発生する可能 性はある」と指摘。ただ、マクロ的な需給バランスという面では「震 災の影響により供給面の制約が厳しくなると同時に、企業の投資意欲、 家計の購買意欲が減退し需要も落ち込む結果、需給バランスが短期的 にどちらに向かうかは判然としない」と述べた。

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