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日銀がコアCPI見通しを上方修正へ、物価安定「1%」をより明確に

日本銀行は28日公表する経済・物 価情勢の展望(展望リポート)で、2011年度の消費者物価指数(除く 生鮮食品、コアCPI)前年度比上昇率の見通しを0%台半ばに上方 修正する見通しだ。一方で、政策委員の大勢が1%程度を中心とみて いた物価安定の理解から「大勢」という表現を削除し、1%をより明 確に打ち出す方針だ。複数の関係者への取材で明らかになった。

日銀は4月と10月の年2回、展望リポートを作成して先行き2年 ほどの経済、物価の見通しを公表し、7月と1月に中間評価を行う。 昨年10月の前回展望リポートで示された11年度のコアCPI見通し (委員の中央値、以下同じ)は0.1%上昇だったが、国際商品市況高 の影響から、今年1月の中間評価で0.3%上昇に上方修正されていた。

ニューヨーク原油先物相場は、昨年10月時点の1バレル=80ド ル台半ばから、今年1月には同90ドル台半ばに上昇。足元では同110 ドル前後とさらに騰勢を強めている。物価見通しの上方修正により実 質ゼロ金利政策の時間軸が揺らぐのを防ぐため、日銀は望ましい物価 上昇率として1%を明確に打ち出すことでバランスを取る構えだ。

白川方明総裁は7日の会見で、3月11日に発生した東日本大震災 が物価に与える影響について「供給力が低下すると同時に、それに伴 って需要も減少しているため、足元の需給ギャップについて正確に捉 えることはなかなか難しいように思う」と述べ、現時点では明確に判 断できないとの見方を示した。

物価安定の理解も修正へ

白川総裁は一方で、「財によってはボトルネック(供給制約)が 生じると思うので、その面からは短期的には物価が少し上がる要素が あるように思う」と指摘。「このところ国際商品市況がさらに上昇し ていることから、こちらの面でも物価は上昇していく要素がある」と 述べた。関係者の1人は、国際商品市況の上昇により、11年度のコア CPI見通しの上方修正は避けられないだろう、と語った。

日銀は昨年10月に包括緩和を打ち出し、政策金利を0-0.1%と するとともに、物価の安定が展望できるまで実質ゼロ金利政策を継続 すると表明。いわゆる時間軸を導入した。日銀の物価安定の理解はC PI前年比で2%以下のプラスで、委員の大勢は1%が中心と考えて いる。日銀は毎年4月の展望リポートで物価安定の理解を見直す。

昨年4月の見直しでは、多くの委員が「1%程度を中心値として 上下0.5%ないし1%の範囲内」、1人の委員が「0.5-2%で中心は 1%より幾分上の値」としたのに対し、ある委員は「1%よりゼロ% に近いプラスを中心」と考えており、「1%を過度に強調するのは望 ましくないのではないか」と述べた。

成長率は11年度下方修正、12年度上方修正

3月末で退任した須田美矢子前審議委員は06年7月の講演で「私 の物価安定の理解の中央値はプラスであるものの、かなり低め」と述 べており、最後の1人と考えが一致する。みずほ証券の上野泰也チー フマーケットエコノミストは、須田委員が退任したこともあり、「物 価安定の理解の表現を修正することで、間接的に超低金利政策の『 時間軸』を強める可能性は、8、9割はある」と予想する。

一方、日銀は東日本大震災を受けて、11年度の実質国内総生産( GDP)成長率を1.6%から下方修正し、12年度は2.0%から上方修 正する見通し。上野氏は「サプライチェーン分断と電力不足による供 給制約で夏場までの景気は弱い動きとなる」が、秋以降は「供給制約 が解消すること、補正予算による公共投資上積みの効果が出てくるこ となどから、輸出主導の緩やかな回復局面が再開する」とみている。

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