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【今週の債券】長期金利1.2%台後半か、投資家買いで一段の低下余地も

今週の債券市場で長期金利は1.2% 台後半を中心とした推移が見込まれている。東日本大震災からの復興 による財政拡大懸念はくすぶるものの、新年度入りに伴う投資家の運 用意欲は強いとみられている。前週に続いて現物債に買いが入れば低 下余地を探る展開になるとの見方もある。

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥国内債券運用第2グループリー ダーは、今週の長期金利は1.2%台後半を中心に推移すると予想。そ の上で、「先週はキャリー(金利収入)確保を狙った買いが幅広い年限 に入った。投資家の残高高積み増しがあれば、金利にもう少し低下余 地がある」と話した。

長期金利の指標とされる新発10年債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが15日に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジ 全体で1.23%から1.35%となった。前週末の終値は1.285%。

前週の長期金利は1.3%台前半から1.2%台後半に水準を切り下 げた。週初の11日には約2カ月ぶり高水準となる1.335%を付けたも のの、その後は米長期金利が3.6%台から3.4%台に低下したことや、 国内では30年債と5年債の入札を無事に通過したことで徐々に水準 を切り下げた。週末には一時1.27%と5日以来の低水準を付けた。

2011年度入り直後で、投資家の運用資金は潤沢とみられており、 今週もこうした期初の買いが入れば、金利に低下圧力がかかる。三井 住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長は「将来の国債増発懸 念がくすぶるものの、期初の潤沢な資金を運用していかなければいけ ない面もある」と話している。

貿易統計に注目

こうした中、20日に発表される3月の貿易統計が注目される。大 震災や計画停電の影響がどの程度反映されるか不透明ながらも、RB S証券の福永顕人チーフ債券ストラテジストは「いずれ輸出減少、輸 入増加という悪化傾向が見えてくる」として、債券相場の支援材料に なるとみている。ブルームバーグ調査では、3月の貿易収支は6454 億円の黒字の見通し。前年同月は9319億円の黒字だった。

一方、今後の国債増発懸念が根強く、長期金利が3月下旬以来の 低水準となる1.2%台前半では売りが出てきそう。政府は今年度第1 次補正予算では国債増発に依存しない方針だが、菅直人首相の発言な どから2次以降は膨らむ見通しだ。三井住友海上の高野氏は「復興財 源の見通しが不透明な中で、10年債の1.2%台半ばは利益確定の売り が出る」とみている。

20年入札、「不安ない」との声

21日に20年利付国債(4月発行)の入札が実施される。前週は 12日に30年債入札、14日には5年債入札が行われ、いずれも波乱な く通過した。RBS証の福永氏は「先週の30年債、5年債の入札で今 年度の投資家の強い需要が確認できた。20年債入札でも需要が見込ま れており、不安はない」と予想する。

今回の20年債入札について、15日の入札前取引では2.065%で推 移しており、表面利率(クーポン)は前回債より0.1ポイント低い2.1% が予想されている。発行額は前回債と同じ1兆1000億円程度。

新発20年物の125回債利回りは4月に入ってから2.1%前後に水 準を切り上げたものの、前週末には2.04%まで低下した。このため、 大和住銀投信の伊藤氏は「20年債利回りの2.0%台前半で積極的なニ ーズは期待できず、入札を波乱なくこなすには、週初めに調整が必要 ではないか」との見方を示している。

市場参加者の予想レンジとコメント

4月15日に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通 り。先物は中心限月6月物、新発10年国債利回りは313回債。

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物6月物138円60銭-139円50銭

新発10年債利回り=1.25%-1.33%

「10年債の1.3%台前半は強固な買いが入り、相場は底堅くなる。 増発懸念がくすぶるが、期初の潤沢な資金を運用していかなければい けない面もある。今年は高利回り債の償還も多く、ある程度買って利 息収入を確保しないといけない。もっとも、復興財源の見通しが不透 明な中で1.2%台半ばは利益確定の売りが出る」

◎SMBC日興証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト

先物6月物138円80銭-139円60銭

新発10年債利回り=1.24%-1.305%

「債券相場の地合いはやや好転して、強含みもみ合いを予想する。 補正予算編成に伴う需給悪化懸念などの金利上昇要因よりも、東日本 大震災による供給制約を主因とした国内経済の落ち込みなどの金利低 下要因に反応しやすい状況に変化しつつある。投資家の動意次第では、 金利低下余地を試す展開も見込む」

◎大和住銀投信投資顧問伊藤一弥国内債券運用第2グループリーダー

先物6月物138円70銭-139円50銭

新発10年債利回り=1.23%-1.33%

「長期金利は1.2%台後半を中心に推移しそう。先週はキャリー (金利収入)確保を狙った買いが幅広い年限に入っており、10年債利 回りは11日に付けた1.335%が当面の天井として意識されそう。投資 家の残高積み増しがあればもう少し金利低下余地がある。一方、20年 債入札は2.0%台前半の水準では需要が細る可能性が高い」

◎三井住友海上きらめき生命保険の堀川真一経理財務部長

先物6月物138円00銭-139円30銭

新発10年債利回り=1.25%-1.35%

「金融政策を踏まえると中期債はもっと買われてもよいと考えて いる。長期債は現行水準でもみ合う感じで、1.3%近辺から離れられな いのではないか。20年債入札前は重い展開となるだろう。もっとも、 入札自体は、投資家からある程度の需要が確認され、無難な結果にな ると予想している」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、船曳三郎 Editors:Masaru Aoki, Joji Mochida

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