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トヨタ系自動車・部品会社、東北の生産は震災前より拡大へ-物流課題

トヨタ自動車は東日本大震災で 被害を受けた宮城県を国内第3の生産拠点と位置付け、1月に新工場 で自動車生産を始めたばかりだった。多くの部品メーカーが被災して 国内の自動車生産が停止したが、東北地方での生産は縮小どころか、 震災前よりもさらに拡大の方向へ動き始めている。

「意外と軽微な被害で済んだ」-宮城県大和町にあるトヨタの部 品生産子会社、トヨタ自動車東北の桜井幸三常務が地震直後の工場を 見たときの感想だ。設備が最大で30センチメートル程度ずれたが、 数日後の電力復旧と同時に点検・試運転をして、3月21日からは補 修用や海外生産用の部品生産を再開した。トヨタの車両生産に合わせ て生産量を取り戻しつつあり、4月13日現在で通常の40%程度の 生産をしている。

トヨタ東北は1997年、宮城県が企業誘致を進める仙台北部工業 団地に設立した。物流コスト低減のため東北地方で材料調達を増やし ており、今回、県内メーカーからの調達が滞った材料は一時的に中部 地方からの代替品で対応した。同社の生産部品は全量をトヨタに供給 しており、地域別の供給先では北海道・東北地区が6割程度、海外向 けが平均で3割程度となっている。

東北地方の拠点化の流れは「今後も変わらない」と、桜井氏は言 う。自然災害リスクはどの地域でも予想され、「今回、地震の洗練を 受けた東北地区はむしろチャンス」で、震災を乗り越えて生産を正常 化させた経験が強みになると述べた。すでに用地を取得しているエン ジン工場の建設計画についても数年内に再開できるという見通しを示 し、「そうなれば雇用が2倍になることも可能だ」と語った。

エンジン工場は当初、2010年の操業を目指して計画したもので、 投資額500億円で小型車向けエンジン年間20万基の生産能力を備え る予定だった。08年末の経済危機により延期になっていた。

トヨタ関連企業が点在

仙台北部工業団地は、宮城県が自動車関連産業などの企業誘致を 目的に開発した。仙台市中心部から約20キロ内陸に位置し、昨年か ら今年にかけて操業を開始したトヨタ車生産子会社のセントラル自動 車や、トヨタ紡織、トヨタ向けのハイブリッド車用バッテリーを生産 するプライムアースEVエナジーなどが点在する。

宮城県自動車産業振興室の高橋裕喜室長は、震災の影響調査のた め今月5日から企業訪問を始めた。沿岸部では2割程度が壊滅状態で、 「海に近いところは完全にやられた」と感じたという。一方、津波が 来なかった内陸部は被害が軽微で、特に地盤の固い工業団地は電気や ガスの復旧も早く、比較的に早期に稼働が可能になったと述べた。

トヨタ車を生産するセントラル自動車・生産調査部の守屋真氏は、 震災の工場への影響は設備がずれる程度だったと語った。震災後、従 業員はトヨタグループからの支援物資を県内各地に届けたり、大型給 水車が運んだ水を地域の住民に配ったりするボランティア活動に従事 していたが、今月4日からは通常出勤をしているという。18日から 輸出用の乗用車「ヤリス」の生産を再開。

カローラ生産の宮城移管は1カ月遅れ

課題は、被災した仙台港の復旧状況を見極めた物流の確保だ。部 品調達に要するリードタイムは従来の見込みが通用するのか、完成車 の物流は他の港を使う必要があるのかなど、今年1月の車両生産開始 時にあった物流計画をあらためて構築する必要があるという。

セントラル自動車は当初、4月に相模原工場(神奈川県相模原市) で生産している「カローラアクシオ」を宮城へ生産移管する予定だっ たが、震災の影響で先送りになっている。守屋氏は「3月末に宮城県 を訪れた豊田章男・トヨタ社長が、一刻も早く日常に戻ることが復興 につながると言っていた」と述べ、4月末にはカローラを生産できる 体制を整えたいと語った。宮城工場の生産能力は年12万台。従業員 は約900人で、カローラの生産移管でさらに400人が相模原の工場 から移ってくる予定。

撤退企業はゼロ

宮城県の村井嘉浩知事は13日のインタビューで、「震災の影響 で宮城県からの撤退や進出の撤回を決めた企業はゼロ」と語った。今 後は復興へ向け財源確保が必要だが、誘致した企業に対する税制優遇 などは維持するという。村井知事は2月11日のインタビューで、す でに工場を開設した企業のほか、トヨタ系部品製造の豊田鉄工や自動 車用樹脂部品製造のビューテックなどが県と立地協定を締結したと述 べていた。

また村井知事は、宮城県への企業誘致は一時的に滞るかもしれな いが、「千年に一度の震災を終えたということは、この後、千年は地 震リスクが低いということ」と語り、長期的にはリスク分散の一端を 担うことになるという見通しを示した。自動車関連企業の生産への影 響は「3-4カ月程度」の遅れが出るかもしれないが、「1年に及ぶ ことはないだろう」という見方を示した。

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