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【日本株週間展望】弱含み、余震や原発不安続く-景気や業績に悪影響

4月第3週(18-22日)の日本株 は弱含みで推移しそう。東日本大震災後の余震、誘発地震とみられる動 きが続き、東京電力の福島第1原子力発電所事故の深刻さも再認識され た。国内景気や企業業績の先行き不安が拭えず、相場の停滞色は日増し に濃くなっている。

SBIアセットマネジメントの木暮康明社長は、「個別企業から見 ていて、サプライチェーンの部分で当初想定より立ち上がりが良くない 印象」と言う。自動車やハイテクを中心に国内メーカー各社は、被災し た工場での生産再開を徐々に進めているが、「こう地震が続くと再開を 延期し、関西へシフトなどという話もまた出てくる可能性がある」と同 氏。日経平均株価が現状のボックス圏を上抜け、1万円の大台を超えて いくのは時期尚早との見方だ。

気象庁によると、東日本大震災の余震は岩手県沖から茨城県沖にか けて震源域に対応する長さ約500キロメートル、幅約200キロメートル の範囲に密集して発生。最大震度4以上を観測した余震は、12日夕時 点で111回に達した。余震はやや多い時期と少ない時期を繰り返しなが ら、次第に少なくなっているものの、同庁では今後も震度6弱-6強の 揺れが発生する可能性はある、としている。

地震の再発リスクと並び投資家に不安感をもたらしているのが、終 わりの見えない福島第1原発の問題だ。原子力安全・保安院は12日、 放射性物質の拡散を招いた同原発の事故に関し、累計放射線量の判断な どから国際原子力事象評価尺度(INES)で最悪の「レベル7」と、 3月18日の暫定評価から2段階引き上げた。レベル7は、1986年に旧 ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故と同水準。

景況感は急激に悪化

原発周辺地域を中心とした環境汚染で、生活に欠かせない農作物や 水産、畜産品へ風評被害を含む悪影響が及んだことは、消費者心理に少 なからずダメージを与えている。生産、個人消費の減退は着実に景況感 を悪化させ、経済同友会が4月上旬に会員企業の経営者162人(製造業 60人、非製造業102人)から回答を得たアンケート調査によると、年 内の景気が後退する、緩やかに後退すると回答した比率は58.6%と前 回3月調査時の6.8%から急増した。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里チーフストラテ ジストは、「日本というブランド・イメージの回復にもしばらく時間を 要する。風評被害が多いと言えるが、企業の自助努力だけでは解決が難 しく、政府の迅速な対応が不可欠」としている。

東証1部上場企業の業績モメンタムを示すリビジョン・インデック スは、みずほ証券リサーチ&コンサルティングの調べで13日現在、マ イナス24.6%と3月末のマイナス2.5%から急速に悪化。さらに、今回 の3月決算企業の業績内容の開示は全体的に例年より遅く、ピークが5 月にずれ込むもようで、悪化の深度も読みにくい。

ことし前半はマイナス成長へ

日本経済全体も、ことし前半を中心に落ち込みは不可避だ。社団法 人経済企画協会の集計によると、43調査機関の予測平均で1-3月の 実質国内総生産(GDP)は前期比年率マイナス0.2%、4-6月はマ イナス2.8%の見通し。一方、復興支援予算が機能し始めるとみられる 7-9月以降は、プラス成長への回帰が見込まれている。

ただ、夏場に向け順調に回復できるかどうかは、不透明な部分も多 い。日本政府は今月8日、東電管内で実施していた計画停電を原則終了 させたが、今夏に想定される電力需給のギャップ1500万キロワットの 解消へ、企業など大口需要家に最大25%の抑制を求める方針。「サプ ライチェーンの寸断や電力不足による生産停滞がしばらく続く」と予想 する芳賀沼氏は、業績下方修正が顕在化する4-6月に関しては、「日 本株にやや慎重な姿勢が望ましい」とみている。

しぶとい海外勢買い

4月2週の日経平均は、前週末比1.8%安の9591円と週間では4 週ぶりに反落した。ただ、ファンダメンタルズや原発問題などに不透明 感が強い割に、9500円を下値に底堅いチャート形状を見せるのは、海 外投資家による日本株買いの継続がある。

東証の投資部門別売買動向によると、4月1週(4-8日)の海外 勢の買越額は3634億円で、これで23週連続の買い越し。シュローダー 証券投信投資顧問のネイサン・ギブス氏は、震災の影響で今年度の日本 企業の収益は弱く出てくるが、「財務体質が強固。株価が急落して多く の銘柄がPBR1倍割れで取引されており、予想されるROE(株主資 本利益率)の改善を考えれば、日本株に投資するには良い機会だ」と話 している。

しかし、割安感を意識したこうした海外勢の投資行動は、収益拡大 が見込みにくい中で上値を買わないことの裏返しとも言え、株価指数の 上昇力は鈍らざるを得ないようだ。米BOAメリルリンチが毎月公表す る世界のファンドマネジャー調査でも、日本株のネットポジション(オ ーバーウエートからアンダーウエートを引く)は4月にマイナス18% と、3月のプラス8%から大きく悪化。昨年12月以来のアンダーウエ ートとなり、今後は海外勢のトーンダウンが見込まれる。

4月3週の日本株影響を与えそうな材料は海外に多く、米国で19 日のインテルやゴールドマン・サックス、20日のアップルなど有力企 業の決算発表が継続。景気や業績の良好さに支えられてきた米国株がや や上値の重さを見せ始めており、海外投資家の運用姿勢に影響を与える 点でも、決算後の米国株動向は気掛かりだ。

【市場関係者の当面の日本株見解】 ●みずほ証券の倉持靖彦投資情報部長

米国のセンチメント系指標が頭打ち傾向を示し、株式市場は景気と 企業業績のモメンタム鈍化の程度を図ろうとしている。日本株は足元の 生産の落ち込みとその後の回復をともに織り込みつつあるが、ニュース フローは持ち直しを示唆するものが今後増えると予想され、慎重ながら も悲観になりにくい。日経平均は9400-9800円のレンジを予想。

●しんきんアセットマネジメント投信の藤本洋主任ファンドマネジャー

5月に入り、3月期決算企業の今期業績計画が出そろうまでの間は ファンダメンタルズ分析が困難で、売り買いとも手を出しにくい。震災 の影響に対する懸念が大きい国内に加え、欧州財政問題の警戒感が再燃 するなど、国外情勢にも不安がくすぶる。しかし、海外の株式相場が落 ち着いていることはプラス。日本株の下落局面では、リスク許容度が落 ちていない海外投資家による買い支えが期待できるからだ。

●三菱UFJ投信運用戦略部の石金淳シニアストラテジスト

商い減ってきており、日経平均は9600円を挟んでの一進一退にな りそう。為替も目立った材料がなく、1万円を付けにいくのは難しい。 原発は引き続き注目され、警戒感は続くと思うが、突発的なアクシデン トがない限り、すぐに相場を動かすことはないだろう。

--取材協力:浅井真樹子、長谷川敏郎、河野敏、岩谷多佳子Editor: Makiko Asai、Shintaro Inkyo

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