円が対ドルで3週ぶり高値、中東不安くすぶる―ユーロは午後反発

東京外国為替市場では円が対ドル で約3週間ぶり高値を更新した。リビア情勢など中東・北アフリカの混 乱拡大への懸念がくすぶるなか、リスク回避に伴う円買いや米長期金利 の低下を背景としたドル売り圧力が根強く残った。

半面、前週末の欧米株に続き、日本株や中国株が上昇したことで、 オーストラリア・ドルなど高金利通貨を売る動きは続かず。午後にかけ ては買い戻しが優勢となり、ユーロも対円、対ドルで前日終値比プラス に転じた。

日興コーディアル証券国際市場分析部の為替ストラテジスト、松本 圭史氏は、「中東情勢の混乱がある半面、前週末の米国市場では金利が 低下する一方で米国株が上昇しており、そこら辺のまちまちな反応をな かなか織り込め切れずに、若干方向感を欠いた展開になっている」と解 説。「今週は米国でイベントが目白押しで、欧州の金融政策決定会合も 控えて、ボラティリティー(相場変動率)が大きくなる可能性があるが 、まだ何も蓋が開いていない状況の中、特にきょうの東京時間は動きに くい」と語った。

午後4時12分現在のドル・円相場は1ドル=81円68銭前後。一 時は81円62銭まで円が上昇し、今月4日以来の円高値を更新する場 面が見られた。

一方、ユーロ・円相場は朝方に今月8日以来の水準となる1ユーロ =111円96銭までユーロ売り・円買いが進んだが、その後円は反落し、 午後には112円台半ばまで値を戻した。

ユーロは売り先行も反発

ユーロは対ドルでも朝方の取引で一時、1ユーロ=1.3712ドルま で売りが先行。みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストは、アイル ランド総選挙での野党勝利をきっかけに、徐々に欧州債務国の財政再建 をめぐる不透明感が強まる可能性があるとし、「ユーロに対してはプラ スの材料とは言えない」と話していた。

25日投票のアイルランド総選挙で勝利した統一アイルランド党は 政権樹立を進めるとともに、同国向け国際金融支援の条件再交渉を急ぐ ことにしている。次期政権の首相就任が確実視されている統一アイルラ ンド党のエンダ・ケニー党首は緊急融資の金利5.8%の引き下げと、銀 行優先債の保有者にもコストを負担させるよう優先債保有者の保護撤廃 を目指す考え。

一方、バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は 、アイルランドの選挙結果について、特にサプライズはないはずだと指 摘。むしろ豪ドル・円などクロス円(ドル以外の通貨の対円相場)全体 が下落しており、「中国の成長目標引き下げで、引き締めが当初より強 くなるのではないかとの思惑にもつながりやすく、株安が懸念されてい たため、それを先取りして動いた感じがある」と話していた。

もっとも、東京株式相場は朝方こそ下落して始まったが、午後には プラス圏に浮上。温家宝首相が27日に今年から始まる新5カ年計画の 経済成長率目標を年平均7%と従来から引き下げたことで、動向が注目 されていた中国株が堅調に推移したことが好感された。

こうしたなか、売りが先行していたユーロやオーストラリア・ドル は午後にかけて反発。ユーロ・ドルも1.37ドル台後半まで値を戻した。

欧米イベントが目白押し

国連安全保障理事会は26日遅く、1000人を超える死者を出した リビアでの市民への武力弾圧の停止に向け、全会一致でカダフィ大佐本 人とその側近らに海外資産凍結と国外への渡航禁止を決定した。チュニ ジアとエジプトに端を発した中東・北アフリカの政情不安は27日、オ マーンにも拡大した。

中東・北アフリカ情勢に引き続き注目が集まる一方、今週は米国で この日発表される1月の個人消費支出や2月のシカゴ購買部協会景況指 数を皮切りに、2月のISM(米供給管理協会)製造業および非製造業 景況指数やADP雇用統計、週末の雇用統計と注目の経済指標の発表が 相次ぐ。

また、1、2日には米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ 議長が議会証言を行うほか、次回の米連邦公開市場委員会(FOMC) での議論の素地となる地区連銀景況報告(ベージュブック)が2日に公 表される予定で、米国の長期金利に与える影響が注目されている。

バークレイズ銀の山本氏は、ドル・円相場について「中東情勢とと もに、米経済指標を含めて米金利がどうなるか」がポイントになると指 摘。対ユーロや対ポンドでドルの売り持ち高がたまっている状況の中、 「その巻き戻しが起きるのかどうか」も注目だとしたうえで、「原油も かなりピークアウトした感があり、リスク回避だけということではなく なり、方向感が出にくくなる可能性がある」と語った。

一方、ユーロ圏では今週3日にECBの定例政策委員会が開かれる 。政策金利は据え置かれる見通しだが、原油価格の高騰などインフレ圧 力が高まるなか、会合後の記者会見でトリシェ総裁がインフレ警戒姿勢 を強めるかどうかが焦点となっている。

山本氏は、ECB会合前にはユーロ圏の消費者物価指数の発表も予 定されており、「強めの数字となれば、利上げ時期の前倒し観測が強ま る可能性がある」と指摘した。

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