【今週の債券】長期金利1.2%台で低下探る、中東情勢不安-入札警戒

今週の債券市場で長期金利は1.2% 台で低下余地を試す展開が見込まれている。中東や北アフリカ情勢の 緊迫化を背景に、安全資産の国債が買われやすい状況が続くとみられ ることが背景。半面、10年利付国債入札に対する警戒感が金利上昇要 因となる見通し。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、今週の長期 金利について、1.2%台で一進一退となると予想する。「中東問題やこ れに伴う原油高などをきっかけに、世界的に景気の楽観見通しが後退 している。原油相場が再び水準を切り上げる展開になれば1.2%割れ が視野に入る」と話した。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバー グが25日に市場参加者4人に聞いた今週の予想レンジは全体で1.18 -1.30%となった。前週末の終値は1.24%。

前週はエジプト、チュニジアに端を発した民主化要求デモの波が 中東や北アフリカで拡大し、リビアでは情勢が一段と緊迫化した。有 力産油国のリビアの混乱で、原油の供給懸念が強まり、前週のニュー ヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は2年ぶりに1バレ ル=100ドル台に乗せた。原油高が世界経済に悪影響を与えるとの見 方から、米国をはじめ世界的に株価が急落し、「質への逃避」の動きか ら債券が買われた。

リビア政情不安

今週は北アフリカ・中東情勢の混乱が拡大して、世界的な株安・ 債券高の基調が継続するかが焦点となりそう。JPモルガン・アセッ ト・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、「リビア、アルジェリア の政情不安が拡大すれば、債券は買われる。米経済指標は悪くないも のの、原油高が進むと、米景気見通しに影響する。半面、混乱が落ち 着けば債券に売りが出る」と話した。

トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジストは、 「中東情勢が落ち着けば、債券相場の上値は重くなる。原油価格の上 昇も止まってきた」と指摘。リビア情勢の緊張が緩和されれば、長期 金利は当面1.2%が低下のめどになると予想している。

こうした中、米国では1、2日にバーナンキ連邦準備制度理事会 (FRB)議長の議会証言、4日に米雇用統計の発表が予定されてい る。ともに米金融政策の方向性が示される可能性があるが、トヨタア セットの浜崎氏は、「バーナンキ議長は足元の経済指標は強く、景気は 好調ながら、中東情勢を踏まえて、先行きは慎重な見方を示すと思う」 と予想する。

JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、「引き 締めバイアスを強めることはないとみる。4月末の米連邦公開市場委 員会(FOMC)まで明確なことは出ないのではないか」と話した。

国内では、2月28日に1月の鉱工業生産が発表される。ブルーム バーグ・ニュースがまとめた調査によると1月の鉱工業生産は前月比

4.0%上昇と、3カ月連続のプラスが見込まれている。

10年債入札、クーポン1.3%か

1日には3月発行の10年利付国債入札が実施される。前週末の入 札前取引では1.275%付近で推移した。このため、表面利率(クーポ ン)は前回の312回債より0.1ポイント高い1.3%が予想されている。

1.3%で決まれば9カ月ぶりの高い水準。金利低下が進めば据え置きの

1.2%となる可能性もある。発行予定額は2兆2000億円程度。

トヨタアセットの浜崎優氏は、今回の10年債入札について、「リ スク回避の動きの勢いが強いうちなら良いが落ち着いてきた。利回り 水準が1.3%台ならともかく、1.2%台での入札は需要がその程度強い か不透明だ」とやや不安視している。

もっとも、10年債入札をきっかけに利回りが上昇すれば、潜在需 要の強さを背景に投資家の買いも見込まれている。JPモルガン・ア セットの塚谷氏は、「前週実施された20年債入札の結果は悪かったが、 結局、債券は買われた」と指摘した。

市場参加者の予想レンジとコメント

25日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の 通り。先物は中心限月3月物、新発10年国債利回りは312回債。

◎三井住友海上火災保険投資部の高野徳義グループ長

先物3月物139円20銭-140円20銭

新発10年債利回り=1.18%-1.28%

「相場は底堅い。10年債入札までは1.3%クーポンに向けて調整 的な売りも出るが、年度末は国債の償還も多く、超長期を中心に押し 目が強い。中東の混乱が拡大・長期化して株安や景気の調整が進むと は見ていないが、日米とも景気の見極めが必要で、金利が一方向に振 れる可能性は低い。国内政局リスクは財政懸念要因として注意が必要」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物3月物139円00銭-140円00銭

新発10年債利回り=1.20%-1.30%

「長期金利は1.2%台でのもみ合いを予想する。当面は1.20%ち ょうどが低下のめどになるとみている。中東情勢が落ち着けば、債券 相場の上値は重くなりそうだ。原油価格の上昇も止まってきた。10年 債入札では、1.2%台の利回りでは需要面で不安が残る。生産は回復基 調が続き、景気の踊り場脱却を確認する数字になると予想している」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物3月物139円30銭-140円30銭

新発10年債利回り=1.18%-1.27%

「中東情勢と原油相場にらみの展開が続き横ばい圏。リビア、ア ルジェリアの政情不安が拡大すれば債券は買われる。米指標は悪くな いが、原油高が進むと米景気見通しに影響する。半面、混乱が落ち着 けば売りが出る。10年債入札は、国内銀行勢の買いが入れば無難にな るのではないか。ただ、入札結果は相場全体にはそれほど影響しない」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物3月物139円20銭-140円20銭

新発10年債利回り=1.19-1.29%

「長期金利は1.2%台で一進一退か。中東問題やこれに伴う原油 高などをきっかけに、世界的に景気の楽観見通しが後退している。米 国では雇用統計などを通じて景気回復期待が残る可能性もあるが、市 場のマインド悪化を背景に債券は押し目買い姿勢が強まりそう。原油 相場が再び水準を切り上げる展開だと1.2%割れが視野に入る」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎 Editors:Hidenori Yamanaka,Joji Mochida

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