山口日銀副総裁:原油上昇の影響は予断許さず-景気に強弱の両面

日本銀行の山口広秀副総裁は23 日午後、青森市内で会見し、原油価格をはじめとする国際商品価格の 上昇について「わが国の景気に与える影響はプラスの面もあれば、マ イナスの面もある」とした上で、これら両面が実際にどのような形で 表れてくるのかは「今の段階ではなお予断を許さない」と述べた。

中東情勢が混迷を深めていることを受けて、ニューヨーク原油先 物相場は1バレル=95ドル前後に急騰している。山口副総裁は原油価 格の上昇について「新興国、資源国の需要拡大が背景にあると認識し た場合には、これは新興国、資源国に向けた日本の輸出の増加という 形でプラス面の効果を及ぼす可能性がある」と語った。

一方で、「中東情勢は不透明感を強めている」と指摘。「昨今のよ うに政治情勢が難しさを強めている中で、供給ショックとして原油価 格の上昇をとらえると、そうした形でのプラス効果が表れてこず、加 えて原油価格の上昇が交易条件の悪化をもたらし、わが国の所得の海 外流出を発生させる。これは明らかにマイナス効果だ」と語った。

山口副総裁はその上で、「1月に私どもの見通しの中間評価を行っ たが、今の段階で景気の見通しを見直さなければならないとは考えて いない」と述べた。国際商品市況が国内物価に及ぼす影響については 「原油価格が今後とも上昇していくとなれば、まずは輸入物価に上昇 圧力が働き、それが国内の需要と供給の環境の中で、何がしか上昇圧 力が高まるという形で表れてくる可能性はある」と述べた。

原油高を円高がある程度相殺

一方で、「為替相場自体は円高方向に来ていて、原油価格の上昇の 物価上昇圧力をある程度相殺している面ももちろんある。原油価格上 昇、為替相場、国内の需給バランスをトータルに見ながら物価に影響 が及ぶか注意深く見る必要がある」と述べた。

山口副総裁は午前の講演で、国際商品価格の上昇について「新興 国・資源国の高成長による需要の増加に加え、天候不順による穀物供 給の減少などがその背景だが、先進国の大規模な金融緩和が続く中で、 投資資金の一部が商品先物市場に流入していることも、国際商品市況 の上昇を後押ししているとみられる」と述べた。

国際商品市況の上昇の背景として、先進国の金融緩和が非常に大 きく影響しているとした場合、日銀の金融政策に影響があるのか、と いう質問に対し、山口副総裁は「各国の金融政策は各国の経済、金融 情勢を踏まえて、各国が独自に判断する。従って、日銀は日本経済、 金融環境を踏まえて政策対応を図る」と語った。

ムーディーズの見通し格下げの影響

山口副総裁はその上で「ただ、先進国の金融緩和によって投資資 金が国際商品市場に流れ込み、国際商品市況の高騰を招いているとい う理解をするということになると、われわれ自身もそういうことを念 頭に置いて日本の経済、物価の先行きを考え、政策運営を図っていか なければならない」と語った。

米大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは 22日、日本政府の「Aa2」の格付けの見通しを安定的からネガティブ に変更したと発表した。山口副総裁は「長期金利に大きな影響を与え たようには受け止めていない」としながらも、「財政状況が非常に厳し いことは間違いない。財政を少しでも早く改善するよう取るべき手だ てを講じていく必要があるとあらためて感じている」と語った。

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