長期金利が約3週間ぶり低水準、リビアの混乱で「質への逃避」続く

債券市場では長期金利が3週間ぶ り低水準で取引された。リビア国内の混乱を受けて前日の欧米市場で は株式などリスク資産を売り、安全資産の国債を買う「質への逃避」 の動きとなり、こうした流れを引き継いで債券買いが優勢だった。

トヨタアセットマネジメントの深代潤チーフファンドマネジャー は、リビア情勢の不透明感や原油価格上昇が景気回復の足かせとなる リスクが材料視されたと指摘。その上で、「先物の買い戻しが続いたほ か、金利上昇を待っていた投資家の一部が買いに動いた」とも話した。

現物市場で長期金利の指標となる新発10年物の312回債利回りは、 前日比1.5ベーシスポイント(bp)低い1.255%で開始。その後も買 いが優勢となると1.25%を下回り、午後には3日以来の低水準となる

1.235%を付けた。4時5分現在では2.5bp低い1.245%での推移。

きょうの国内市場では債券相場が大幅に続伸する一方、日経平均 株価は日中を通してマイナス圏で推移するなど、前日の海外市場と同 様に安全資産とされる債券が買われる「質への逃避」の動きが続いた。

312回債は9日に1.35%、16日には1.345%を付けるなど、今月 に入って金利上昇余地を探る展開が続いたが、前週以降には投資家の 買いをきっかけに低下に転じている。さらに前日からはリビア情勢の 混乱に伴う原油価格の上昇が景気の先行き不透明感を強めるとともに、 世界的な株価の急落もあって金利水準を切り下げる展開となった。

リビア情勢緊迫化

みずほ証券の三浦哲也チーフマーケットアナリストは、「リビア情 勢緊迫化がきっかけとなって、世界景気の楽観見通しや株価の先高期 待にブレーキがかかった」と指摘。ダウ工業株30種平均など米国の株 価が過去半年に一貫して上昇した反動を意識せざるを得ないと言い、 一方で上昇基調にあった長期金利は「目先は低下余地を探る」とも話 した。

エジプトやチュニジアに端を発した民主化要求デモの波が中東・ 北アフリカで拡大し、リビアでは情勢が一段と緊迫化している。同国 の最高指導者のカダフィ大佐は、「最後の血の一滴」が落ちるまで反体 制勢力と戦うと言明し、23日には治安回復のために軍・警察部隊を動 員すると宣言。支持者に反体制派からの勢力奪還を呼び掛けた。

きょうは中期から超長期ゾーンにかけて満遍なく買いが優勢とな ったが、金利水準からは徐々に買いにくさが広がるとの声も出ていた。 ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、「1月半ばから後半 にかけて10年債利回り1.2%台前半では買いが入ったので、いったん 戻り売りが出てくる水準だ」と指摘。「質への逃避」の持続性が見通し にくい中、金利が一方向に低下する展開までは予想していない。

またトヨタアセットマネジメントの深代氏は、「内外で企業収益回 復への期待が根強いだけに、株価急落が続くかどうか見通しにくい」 と言い、5年債利回りの0.5%台前半や10年債の1.25%割れを買い進 むには抵抗があるとの見方を示した。

きょうは中期ゾーンでも買いが膨らんで、5年物の94回債利回り は前日比3bp低い0.525%まで低下して、新発5年債として3日以来 の低い水準を記録したが、午後には取引開始時と同じ0.53%に戻した。

先物は2日以来の高値圏

東京先物市場の中心限月の3月物は前日比30銭高い139円70銭 で始まり、直後に3週間ぶり高値圏となる139円77銭まで上昇。いっ たんは139円59銭まで上げ幅を縮めたが、その後しばらくは139円 60銭台でのもみ合いとなった。午後に再び買いが入ると一時は2日以 来の高値となる139円79銭まで上昇して、結局は30銭高の139円70 銭で取引を終えた。

先物3月物は1月31日の日中取引で140円18銭を付けたが、米 国の景気回復などを手掛かりに2月に入ると下落に転じて、9日には 約2カ月ぶり安値圏となる138円32銭まで急落した。

その後は138円台半ばから139円付近でのもみ合いとなり、前日 からは相場水準を大きく切り上げる展開。みずほ証の三浦氏は、投資 家が現物債を積極的に買い進む地合いではないとしながらも、「米景気 回復を手掛かりに月初には先物の売り持ち高を膨らます動きが広がっ たため、足元で買い戻しを余儀なくされる格好となった」とみていた。

あす2年債入札、利率0.2%に据え置きか

財務省はあす24日に2年利付国債(3月発行)の価格競争入札を 実施する。1月に入札された301回債はこの日に0.22%で取引されて いるため、新発2年債の表面利率(クーポン)は4カ月連続で0.2% となる見通し。発行予定額は2兆6000億円程度。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊債券ストラテジ ストは、2年債は利回り曲線上でやや割高で、原油高による悪影響に 市場の関心が向かっているものの、今後も緩和的な金融環境の継続期 待が強まると予想。「外国人のリスク回避的な買い需要も見込まれるた め、あすの入札は波乱なく通過する」とみている。

新発2年債利回りは昨年12月に0.235%まで上昇した後、今年初 めにいったんは0.165%まで低下した。しかし、1月半ば以降は再び じり高歩調をたどり、2月に入ると0.245%まで上振れ、2009年11 月以来の高い水準を付けた。

--取材協力:池田祐美 Editors:Hidenori Yamanaka,Joji Mochida

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