山口日銀副総裁:デフレ克服が見えてくるまでなお紆余曲折

日本銀行の山口広秀副総裁は23 日午前、青森市内で講演し、8月に予定されている基準改定により消 費者物価指数の前年比は下方改定される可能性が高いとした上で、こ の点も含め、「デフレ克服が見えてくるまでにはなお紆余(うよ)曲折 がありそうだ」と述べた。

世界経済については「高成長を続ける新興国・資源国にけん引さ れる形で高めの成長を続けるがい然性が高い」としながらも、第1の 不確実性として「新興国・資源国経済をめぐる過熱リスク」を挙げ、 「中国はじめこれらの国では高い成長や資本流入が続く中、インフレ や資産価格の上昇など経済の過熱現象が目立ってきている」と述べた。

その上で「多くの国で金融緩和策の修正が進められているが、景 気の過熱やインフレに対する懸念は十分払しょくされていない」と指 摘。「こうした引き締め方向での政策運営を通じて経済の過熱をうまく 抑制できなければ、やや長い目でみると行き過ぎの反動が大きくなり、 急激かつ大幅な景気調整を余儀なくされるリスクがある」と述べた。

日銀は15日の金融政策決定会合で、景気の現状について「改善テ ンポの鈍化した状態から徐々に脱しつつある」として、前月の「改善 の動きに一服感がみられる」から情勢判断を上方修正した。白川方明 総裁は同日の会見で、国内の景気は「先月の中間評価で示した見通し に沿って着実に前進している」と述べた。

米国経済と国際商品市況高もリスク

山口副総裁は、世界経済の第2の不確実性として欧米など「先進 国経済」を挙げ、「経済がいったんバランスシート調整という重しを抱 えると、景気は上に弾みにくく、下に振れやすい状況が続く可能性が 大きい」とした上で、「米国では最近、好調な経済指標などを受けて、 先行きに対して楽観的な見方が強まっているが、先行きこうした楽観 論が修正される可能性も否定できない」と述べた。

第3の不確実性としては「国際商品市況の動向と、これが世界経 済・物価動向に与える影響」が挙げ、「国際商品市況が今後どのような 展開をたどるか、そして先進国あるいは新興国などの景気や物価面に 具体的にどう影響を及ぼしていくかについては、中東情勢などの先行 き不透明感もあり、目下のところ予断を許さない」と語った。

国内経済については「明るい春の兆しがはっきりと見えてくるこ ろには、日本経済は踊り場を脱し緩やかな回復経路に戻っていくとみ ている」と指摘。「当面の短期的な景気の見通しについては、やや楽観 的にみているが、中長期的には慎重にみざるを得ない」と述べた。

CPI基準改定の影響

消費者物価指数(CPI)については「最近公表された12月の数 字は、一時的な要因である高校授業料無償化の影響を除くと前年比

0.1%上昇となっている」と指摘。先行きについては「景気が緩やかな 回復経路に復していくとみられる中、国際商品市況が上昇基調にある ことも踏まえると、CPIの前年比は2012年度にかけて徐々にプラス 幅を拡大させていく見込みだ」と語った。

ただ、8月に行われるCPI統計の5年ごとの基準改定について 「この5年間で薄型テレビをはじめ価格の下落幅が大きい商品の消費 ウエートが高まっており、この要因が基準改定時に反映されることな どから、消費者物価の前年比は下方改定される可能性が高い」と指摘。 「この点も含め、デフレ克服が見えてくるまでには、なお紆余曲折が ありそうだ」と述べた。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE