米債市場:色あせた「ニューノーマル」-インフレ予想落ち着く

米国の債券市場では、大恐慌以降 最悪となった金融危機後の「ニューノーマル」(新たな標準)が早くも 色あせ、かなり「オールド・ノーマル」に変容したように見える。

食料やエネルギーが世界的に高騰している上、米連邦準備制度理 事会(FRB)が6000億ドル(約50兆円)規模の米国債購入プログ ラムを実施しているにもかかわらず、金利デリバティブ(金融派生商 品)トレーダーの間では、米経済が制御不能なインフレに陥らずに成 長するとの予想が優勢だ。10年後から10年間の金利予想を反映する 10年ドル金利スワップ先物は、危機前と同じ水準にある。

米国債利回りの上昇予想も後退している。ダブルライン・キャピ タル(ロサンゼルス、運用資産80億ドル)は、昨年10月に2.33%だ った10年物の利回りを今月一時3.77%まで押し上げた売り圧力のピ ークはすぎたとみている。先週は3.58%で取引を終えた。

ダブルラインのマネジャー、グレゴリー・ホワイトリー氏は「経 済成長ペースやインフレ期待を考慮すれば、10年債利回りは適切な水 準になったといえる」と指摘。「住宅セクターと州・自治体政府の財政 が経済成長の足かせになる。利回りが4%を上回れば、投資家からの 需要が高まるだろう。これには海外中銀も含まれる」との見方を示し た。

米財務省によると、9日の10年物国債入札240億ドルでは、海外 中銀を含む区分の投資家の購入額が170億ドルに達し、全体に占めた 割合が過去最高の71%に上った。

ドイツ銀行の金利戦略責任者、ドミニク・コンスタム氏は、電話 インタビューで、10年ドル金利スワップ先物について「一部の見方と は異なり、1990年代半ば以降続いていたレンジの中間に逆戻りしてい る」と指摘した。現在は5.35%と、2008年のリーマン・ブラザーズ・ ホールディングス破綻により金融危機が悪化する前の水準。ドイツ銀 行によると、食料とエネルギーを除いたいわゆるコア・インフレを調 整したベースでは、04年の水準まで戻っているという。

「ニューノーマル」とは、平均を下回る世界経済の成長と投資リ ターンが長く続く時代を表現した債券ファンド最大手、米パシフィッ ク・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のモハメド・エ ラリアン最高経営責任者(CEO)の造語。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE