【今週の債券】長期金利1.3%中心か、20年債入札後は買いとの見方も

今週の債券市場で長期金利は1.3% 中心の推移が見込まれる。米国の景気回復期待を反映した米株高・金 利上昇が引き続き金利の押し上げ要因となる見通し。一方、20年債入 札は生命保険などの需要を背景に無難にこなすとみられており、入札 後には保有債券の年限長期化の買いなども見込まれ、相場を支えそう。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、今週も米国 市場の動向に影響を受けやすい展開としながらも、「米長期金利は景気 楽観見通しをかなり織り込んだ感がある」と指摘。その上で、20年債 入札は利回り2.1%での買い需要で波乱なく通過するとみており、来 月の国債償還を控えた長期化の意向も強い」と予想する。

長期金利の指標とされる新発10年国債利回りについて、ブルーム バーグ・ニュースが前週末に市場参加者4人に聞いた予想レンジは全 体で1.25%-1.35%だった。

前週の長期金利は一進一退。週初は1.29-1.305%での小動きと なったが、日米株高や5年債入札の低調な結果が売り材料視されると、 16日には1.345%まで上昇した。しかし、米国債相場の下げが一段落 すると週末にかけてじりじりと金利水準を切り下げ、結局は10日終値 と変わらずの1.295%で終了した。

米国株価や金利にらみ続く

2月に入ってからの金利上昇は、米国の景気回復やこれに伴う株 高や金利上昇が背景。今週も米国市場の動向に一喜一憂する展開が続 く見通し。前週末に約2年8カ月ぶり高値を更新したダウ工業株30 種平均をはじめ米株相場が堅調地合いを維持して、米10年債利回りに 再び上昇圧力がかかると、日本の10年債利回りも9日に付けた直近高 値1.35%をうかがう場面が出てくるとみられている。

もっとも、ダウ平均は過去6カ月間に25%も上昇するなど、米株 市場が景気回復をかなり織り込んできた。足元で高止まりする米国の 長期金利に関して、みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフスト ラテジストは、「米10年債利回りでみて3.5%程度までの戻りを見込 んでいる」と言い、最近の金利上昇の反動を予想する声も聞かれる。

今週は米国で住宅関連の指標発表が続き、S&Pケース・シラ- 住宅価格指数が注目される。ブッシュ減税の延長や量的緩和第2弾(Q E2)に支えられた景気楽観見通しの行き過ぎに警戒感が広がり、市 場の景気期待が弱まれば米国の株高や金利上昇に修正が入る可能性が ある。

今週は20年と2年債入札実施

前週には5年債入札がやや低調な結果となり、いったんは債券が 売り込まれるきっかけとなったことから、今週も入札に注目が集まる。

22日には20年利付国債入札が実施される。20年物の123回債利 回りは前週末に2.045%で終了したため、表面利率(クーポン)は前 回債と同じ2.1%、もしくは0.1ポイント低い2.0%となる見込み。

20年債利回りは3カ月近く1.9-2.1%程度のレンジを形成。米金 利の先高観測を警戒する声があるが、最近の取引レンジの上限近くで の入札となれば、生保や年金基金からの需要が見込まれている。3月 の国債大量償還を控えて保有債券の年限長期化も見込まれている。

24日の2年債入札でクーポンは4カ月連続0.2%となる見通し。 9日には2年債利回りが約1年3カ月ぶりの高い水準となる0.245% を付けた。ただ、みずほ信託銀行の吉野剛仁チーフファンドマネジャ ーは、「2年債入札は水準的にも割安となっており無難」とみており、 余剰資金を抱える銀行などの需要が支えとなりそう。

政治情勢には不透明感も

一方、国内政治に不透明感が高まってきたことで、今後の債券市 場に及ぼす影響を見極める雰囲気も強まる。ドイツ証券の山下周チー フ金利ストラテジストは、菅政権の支持率が低下している中、2011年 度予算関連法案の行方次第で内閣総辞職などのリスクもあると指摘。 その上で、「足元の金利上昇には押し目買いで臨みたいが、政治の先行 きには目を配りたい」との見方も示した。

民主党の衆院議員16人が17日に会派離脱届を提出した。執行部 は会派離脱を認めない方針だが、これら議員の対応次第では赤字国債 を発行するための公債特例法案など11年度予算関連法案の成立が困 難となり、財政再建路線も実現が危ぶまれる状況だ。

国内の政局混乱への懸念が株式相場の上値を抑制する場面では、 債券相場の下支え要因との見方がある一方、みずほ証券の三浦哲也チ ーフマーケットアナリストは、「社会保障・税の一体改革に関する議論 の実現可能性に懐疑的な見方が広がれば、市場では債券の利回り曲線 にリスク・プレミアム(金利上乗せ)を要求しやすくなる」とみる。

市場参加者の予想レンジとコメント

2月18日夕までに集計した市場参加者の債券相場に関する今週 の予想レンジは以下の通り。

◎みずほ信託銀行の吉野剛仁チーフファンドマネジャー

先物3月物138円60銭-139円30銭

新発10年債利回り=1.28%-1.34%

「超長期債の需給動向に注目。20年債入札で供給懸念がある半面、 月末には保有債券長期化に伴う年金勢などの買いが期待できる。2年 債入札は水準的にも割安となっており無難か。足元は米国債相場につ れて2年-5年債利回りの膨らみが顕著だがこれが一巡しそう。イン フレ期待が利上げ観測につながっているが中期債も需要があると思う」

◎日興コーディアル証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト

先物3月物138円50銭-139円35銭

新発10年債利回り=1.27%-1.345%

「10年債は1.3%中心のもみ合い。先週は1.35%手前で買いが膨 らむなど一段の金利上昇リスクが後退する一方、水準感以外に買い手 掛かりは乏しい。米債市場は6月までのQE2継続と、来年以降の利 上げがコンセンサスとなりつつある。米10年債利回りが4%を目指す 動きは行き過ぎであり、当面は3.6%付近での推移ではないか」

◎みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジスト

先物3月物138円50銭-139円50銭

新発10年債利回り=1.25%-1.35%

「債券相場は20年債の入札以降に堅調か。欧米の金利上昇に一服 感が出てきたことで、米10年債利回りは3.5%程度までの戻りを見込 んでおり、国内でも金利上昇余地は限定的だ。3月の国債償還を控え て月末には保有債券の年限を長期化する超長期債の買いが膨らみやす く、20年債入札ではディーラーの在庫確保の意欲が強まりそうだ」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物3月物138円50銭-139円50銭

新発10年債利回り=1.26%-1.35%

「長期金利は1.3%中心に一進一退か。20年債の利回り2.1%で は生保や年金基金の需要が見込まれており、3月の国債償還対策もあ って入札自体は無難にこなしそう。政治情勢が不安定化していること に関して市場は決め打ちしにくい状況だが、短期的に国内株価の上値 が抑制されれば、10年債の1.3%台は売り込みにくくなってくる」

--取材協力:池田祐美、船曳三郎 Editors:Hidenori Yamanaka,Joji Mochida

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