菅首相:民主議員の分派活動で窮地に、予算引き換えの退陣は否定(3

社会保障・税一体改革を政権の重要 課題に掲げる菅直人首相は、消費税増税に反発する一部議員が公然と分 派活動を始めたことで一段と窮地に陥っている。赤字国債を発行するた めの公債特例法案など2011年度予算関連法案の成立は一層困難となり、 財政再建路線も実現が危ぶまれる状況だ。首相は予算と関連法案成立と 引き換えに退陣する可能性を否定し、衆院解散の可能性もちらつかせて 党内の動きをけん制している。

民主党に会派離脱届を提出した渡辺浩一郎衆院議員ら16人は17日発 表した声明で、菅首相が消費税を含む社会保障・税一体改革を実現する ための法的な対応を12年3月末までに行う考えを明らかにしたことに対 し、「国民との約束、マニフェスト(政権公約)を捨てた」と批判。菅 政権に対し、「無原則に政策の修正を繰り返している」として「正当性 はない」と指摘している。

首相は18日夜、官邸で記者団に対して、予算と関連法案成立と引き 換えに退陣する可能性について「首を代えたら賛成するとか、しないと かそういう古い政治に戻る気はさらさらない」と否定。事態打開のため 衆院を解散する可能性については「国民にとって何が一番重要か、必要 か、それを考えて行動する」と否定しなかった。

その上で、首相は「せっかく景気も少し上向いてきているから、こ こでそれを弱めないためには、まず予算を通す。そして予算関連法案を 通して実際に予算執行を始めることが私は非常に重要だと思っている」 と指摘した。

一方、22日発行の雑誌「月刊日本」(K&Kプレス発行)は昨年9月 の代表選で小沢一郎元代表を支持した原口一博前総務相へのインタビュ ーをまとめた「菅政権は打倒せねばならない」との記事を掲載。それに よると、原口氏は菅政権の政策を批判した上で、「増税ありきの既得権 益温存の政策に賛同する議員を、われわれは同志と呼ぶことはできな い。彼らとは袂(たもと)を分かたなければならない」と指摘。仮に菅 首相が社会保障財源の確保を名目にした増税を掲げて 衆院を解散した 場合「違う選択肢を提示する」と明言した。

原点回帰

こうした中、松原仁衆院議員ら東京都選出議員有志は18日午後、官 邸に枝野幸男官房長官を訪ね、「2009年マニフェストへの原点回帰」を 求める要請文を9人の連名で提出。この中で、松原氏らは菅政権の経済 財政運営について「官僚主導のままで、理念なき増税路線へと進もうと している」と批判した。

野村証券金融経済研究所の川崎研一主席研究員は18日付のリポート で、民主党内の混乱について「ねじれ国会が続き、日本の政界が不安定 となっているのは真新しい事実ではない。金融市場では、ある程度の政 界の混乱、また、その影響は既に織り込んでいると考えられる」とコメ ントした。

渡辺衆院議員は小沢元代表がかつて率いた旧新進党、旧自由党に 所属していたことがある。会派離脱届を提出した16人の中には小沢氏 の元秘書である川島智太郎衆院議員ら小沢氏に近い議員も参加してい る。原口氏はインタビュー記事で、小沢氏が強制起訴された事件につ いて「冤罪だと考えている」とも指摘している。

総辞職や選挙

慶応大学大学院の曽根泰教教授は、渡辺氏らの行動が政権に与え る影響について「予算関連法案通過のために、もともと足りない衆議 院の3分の2を得るべく努めてきたが、彼らも社民党も反対だろうか ら、再可決はできないだろう。法案が成立せず、統一地方選でも民主 党が負けると、総辞職や選挙の議論が出てくるだろう」との認識を示 した。

16人について「菅政権への揺さぶり、弱体化を狙った動きで、重 く考えれば離党の準備だが、彼らは比例で当選しているので離党はで きない」と語った。

民主党の岡田克也幹事長は17日の記者会見で、渡辺氏らについ て「同じ民主党に属しながら、会派を離脱することはできない。でき ないことがお分かりの上でやっていることだと思うが、それはあり得 ないということだ」と会派離脱は認めない意向を表明した。

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