ドルの上値が重い、中東不安でスイスフラン底堅い-対円は83円前半

東京外国為替市場ではドルが対ユ ーロで一時、6営業日ぶり安値へ下落した。米長期金利の低下に伴い ドルが売られた海外市場の流れが継続。中東の政情不安を背景に安全 通貨とされるスイス・フランが対ドルで底堅く推移するなか、ドルは 他通貨に対しても上値の重い展開となった。ドル・円相場も1ドル= 83円台前半でドルがじり安。

半面、世界景気の回復期待も根強く、資源国通貨のオーストラリ ア・ドルは対ドルで約1週間ぶり高値付近で推移した。インフレ懸念 から金利先高観測が台頭しているポンドも、直近の高値付近で堅調だ った。

クレディ・スイス証券債券本部外国為替営業部の北澤一夫ディレ クターは、米国が三連休となる上、中東情勢をめぐる地政学リスクが 高まっており、「週末に何が起こるか分からないということもあり、投 資家はリスク量を落とす動きを強めているというのが現状だ」と指摘。 連休を前に米国債もポジション調整の動きから買い戻しが入り、「為替 についてはドル・ロング(買い持ち)を手じまっている」と説明して いた。

また、パリではきょうから20カ国・地域(G20)財務相・中央銀 行総裁会議が始まる。北澤氏は、今回の会合では不均衡是正に向けた 数値目標を設けるのは難しいとの話も漏れ伝わってきているし、「お そらくノン・イベントになる」と予想。一方、「中東情勢だけは読めな い」と語った。

ドルは対ユーロで一時、1ユーロ=1.3627ドルまで下落。その後

1.3591ドルまで戻す場面も見られたが、午後には再び1.36ドル台へ 値を切り下げた。

ドル・円相場は83円40銭を日中高値に一時、83円24銭までド ルがじり安となった。NTTスマートトレードの工藤隆市場情報部部 長によると、仲値に絡んだドル買い需要や海外勢のドル買いが見られ た一方、国内輸出企業から断続的な円買いも出ていたもようだ。

中東の政情不安

バーレーン政府は17日、民主化を求めるデモを鎮圧するため首都 マナマに軍を出動させ、デモ隊に向かって催涙弾やゴム弾を発砲した。 米海軍の第5艦隊司令部があるバーレーンにも、エジプトとチュニジ アの独裁体制を退陣に追い込んだ反政府運動が波及。中東の原油生産 の大半が行われているペルシャ湾諸国に政情不安が広がっている。

中東の政情不安を背景に前日にはスイス・フランが対ドルで今月 4日以来の高値となる1ドル=0.9478スイス・フランまで上昇。この 日の東京市場でも0.9500スイス・フラン前後で底堅い展開が続いた。

外為どっとコム総合研究所のジェルベズ久美子研究員は、市場の 関心は中東情勢がどこまで深刻化するかという点にあるとし、何か材 料が出た場合は「有事のスイス・フラン買い」を背景にドル売り圧力 が強まる可能性があると話した。

G20

パリではきょうからG20財務相・中央銀行総裁会議が開幕する。 世界の経済不均衡是正策をめぐり対立する各国当局者は、新興国から 先進国に広がるインフレ加速という新たな脅威に直面している。

フランスのラガルド財務相は、ブルームバーグテレビジョンの番 組で、G20会合について、世界的な経済不均衡の是正を目指す上で、 複数の指標で合意する必要があると訴えた。同財務相が会議に向けて 提示した指標には、公的債務や財政赤字に加え、外貨準備の規模や貯 蓄率、成長格差などが含まれる。

今回の会議ではこのほか、資本移動と商品価格に関する作業部会 を設置する見通し。国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SD R)の構成通貨見直しも議題になるとみられている。

外為どっとコム総研のジェルベズ氏は、市場では中国の人民元の 切り上げ問題がクローズアップされやすいとしたうえで、中国は国際 的な圧力に関係なく、「自国のペースで進める」姿勢が非常に強いと指 摘。このためG20の結果自体が相場に長期的な影響を与えるとは考え にくいと話していた。

クレディ・スイス証の北澤氏も、インフレへの対処が大きなテー マとなるなかで、中国が金融引き締めと緩やかな人民元の切り上げ方 向を継続するとみられており、「あえて余計なプレッシャーはかけない のではないか」と語った。

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