「塀の中」の元ロシア石油王は「完璧な殉難者」-独監督が記録映画に

ロシアの石油会社ユコスの元最高 経営責任者(CEO)、ミハイル・ホドルコフスキー受刑者に関するド キュメンタリー映画「ホドルコフスキー」は、ベルリン国際映画祭で上 映される前であるにもかかわらずメディアのヘッドラインを飾った。ベ ルリンにある監督のアパートから作品が盗まれたためだ。

この映画の製作に5年の歳月を費やしたシリル・ツッヒ監督による と、以前にも1度盗まれそうになったことがある。この映画はホドルコ フスキー氏(47)の流転の人生を描いている。報道資料によれば、同氏 は「完璧な社会主義者から完璧な資本主義者へ、そして最後はシベリア の収容所で完璧な殉難者となった」。

ツッヒ監督(42)はこの作品で、ホドルコフスキー氏の最初の妻や 母親、息子、共犯者たち、そして本人のインタビューを記録している。 2003年に収監された同氏の刑期は17年まで延長された。映画は、カ リスマ性と権威を兼ね備えたロシア人と、もう1人のカリスマ性と権威 にあふれるロシア人との対決を描く。同監督はこの映画で、ホドルコフ スキー氏という人物と、この人物を流転の人生に引き入れたウラジーミ ル・プーチン氏との関係の力学を表現したと語る。

ツッヒ監督はベルリンでのインタビューで「ロマンチックな考え方 かもしれないが、私はホドルコフスキー氏を通じて人は変われるんだと 思った」と述べた。侵入事件について捜査している警察当局からは依 然、連絡はない。

この映画は、ホドルコフスキー氏がロシア最大の富豪となり、メナ テップ銀行を創業、複数の企業の株式を買収した上、他の富豪たちとと もにロシア政府に対し自分たちに有利な規制や税制を導入するよう働き 掛けた1990年代の闇の時代もあぶり出している。

ユコスの変転

2000年代初め、ホドルコフスキー氏は、当時ロシア2位の石油生 産会社だったユコスの世界展開を図る。外国人投資家を呼び込み、米国 の会計基準を適用、ユコスの株価は高騰した。

一方で、ホドルコフスキー氏はプーチン氏と対立する党を支持し始 め、国営企業による石油パイプライン事業の独占を打ち破ろうとする。 要するに、プーチン政権に歯向かったのだ。

映画には、03年に行われたプーチン氏と企業幹部との会合の映像が 収められている。その中で、ホドルコフスキー氏はロシア政府の汚職に ついて質問している。当時大統領だったプーチン氏は、ユコスの納税の 在り方について調査する必要があると切り返した。

(ヒックリー氏はブルームバーグ・ニュースで芸術・娯楽関連の記 事を執筆しています。この記事の内容は同氏自身の見解です)

ベルリン国際映画祭ウェブサイト: http://www.berlinale.de/en.

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE