【クレジット市場】アイルランドなどの銀行、ECBに紙幣増刷迫る

【記者: John Glover、Joe Brennan】

2月16日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)は、支援を 提供したギリシャやアイルランドの銀行の財務基盤強化に向けて流動 性供給の拡大を迫られている。そのため、ユーロ圏総税者はこれらの 国の債務を最終的に保証することになるという厄介な立場に追いやら れている。

当局への届出書と国際通貨基金(IMF)によれば、ギリシャと アイルランドの銀行はECBからの資金供給受け入れに必要な担保を 確保するため、これまでに少なくとも700億ユーロ(約7兆9000億円) の債券を発行した。ギリシャが11日、国内銀行向けで300億ユーロ相 当の追加保証を付与する可能性を示したことから、発行額は1000億ユ ーロに増える可能性もある。

NCBストックブローカーズの債券営業責任者、キャサル・オリ アリー氏(ダブリン在勤)は「今の状況はマイクロの量的緩和ないし 紙幣増刷だ」とし、「銀行は自分向けに無担保の貸し出しを行っている」 と述べた。

ECBは、景気浮揚のための債券購入で米国債保有が中国よりも 多くなっている米連邦準備制度理事会(FRB)のような金融政策を 避ける方針。ただ、銀行債券を担保とした資金の貸し出しでマネタリ ーベースは拡大しており、保証契約が履行されなければECBが負担 を迫られることになる。

アイルランド中央銀行は質問に対する電子メールでの回答書で、 「問題のある銀行も、引き続き厳しい市場環境の中では入手できない 資金をECBの制度を利用して確保できる状況だ」と説明している。

割高な緊急流動性

デビー・キャピタル・マーケッツ(ダブリン)の世界ストラテジ スト、ドナル・オマホニー氏は「自分向けの債券発行は異例の状況下 では実利的な対応策だ」とし、「こうした債券はその銀行の資産が担保 されているわけではなく、政府保証が担保になっていることが重要な ポイント。政府保証債はECBが受け入れ可能な担保だ」と述べた。

また、バークレイズ・キャピタルの債券ストラテジスト、ジュゼ ッペ・マラフィーノ氏は「ECBは政府保証債を担保として受け入れ る」とした上で、「アイルランドの銀行は割高な緊急流動性を、より低 コストのECBの資金に置き換えており、それが現状だ」と指摘した。

最後の貸し手であるECBの任務は、欧州の銀行システムが機能 する上で必要な流動性を確保すること。設立間もない欧州金融安定フ ァシリティー(EFSF)が恐らく支払い能力に関する職務を今後担 うことになるが、当面はECBもその役割を果たすことになる。

仏フォンテンブローの経営大学院、INSEADのジャン・デル ミネ教授は、「これは銀行のリスクが政府のリスクに移行し、今やEC Bのリスクになりつつある好例だ」とし、「ECBはマネーサプライを 拡大しており、インフレ圧力が強まっている。また信用リスクもあり、 デフォルト(債務不履行)は欧州の納税者の損失につながる恐れがあ る」とみている。

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