リスク選好で円とドルがほぼ全面安-ドル・円は2カ月ぶりドル高値圏

東京外国為替市場では円とドルが 主要通貨に対してほぼ全面安。世界的な景気回復期待を背景にリスク 選好の流れが継続し、相対的に金利の高い通貨を買う動きが優勢とな った。

一方、ドル・円相場は前日の海外市場で約2カ月ぶりのドル高・ 円安水準をつけた流れを引き継ぎ、1ドル=83円台後半でドルが小動 きながら堅調に推移した。

三井住友銀行市場営業統括部の山下えつ子チーフ・エコノミスト は、米国の景気回復期待のほか、エジプト情勢が一服していることも 大きいと言い、「少しリスク回避姿勢が緩んできている」と指摘。この ため、「円安になりやすく、クロス円(ドル以外の通貨の対円相場)が 上昇しやすい」と話した。

ブルームバーグ・データによると、午後3時50分現在、円は主要 16通貨中12通貨に対して前日終値比で下落。ドルは14通貨に対して 値を下げている。

リスク選好

16日の東京株式相場は上昇し、TOPIX、日経平均株価は3日 連続で年初来高値を更新。アジア株も全般的に底堅く、米株価指数も 上昇している。

こうしたなか、外国為替市場ではオーストラリア・ドルなど相対 的に金利の高い通貨に買い安心感が広がり、低金利の円やドルには売 り圧力がかかった。

ユーロ・円相場も1ユーロ=113円ちょうど前後から一時、113 円38銭と先週末につけた1月28日以来のユーロ高値(113円44銭) 付近までユーロ買い・円売りが進行。ユーロ・ドル相場は1ユーロ=

1.34ドル台後半から1.35ドル台前半へ値を切り上げた。

また、ポンドは対円で1ポンド=135円台前半と約半年ぶりの高 値圏で推移。インフレ加速を受け、イングランド銀行(英中央銀行) による利上げ観測が高まり、ポンド高が進んだ海外市場の流れが続い た。市場ではこの日公表される英中銀の四半期物価報告に注目が集ま っている。

シティバンク銀行個人金融部門リテール・プロダクト本部為替市 場調査の尾河真樹シニアマーケットアナリストは、きのうは米国株が 若干下がったが、全体的にはリスク選好の流れが続いていると指摘。 また、ポンドについては「利上げの可能性を先読みしているような状 況で、上昇しやすい環境になっている」と解説した。

景気回復期待

日本銀行は16日午後、2月の金融経済月報を公表し、景気は「改 善テンポの鈍化した状態から徐々に脱しつつある」として、前月の「改 善の動きに一服感がみられる」から情勢判断を上方修正した。先行き も「改善テンポの鈍化した状況から脱し、緩やかな回復経路に復して いく」との見通しを示した。

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、 16日に米国で発表される1月の鉱工業生産指数は前月比0.5%上昇と 3カ月連続での上昇が見込まれている。1月の住宅着工件数は2009 年10月以来の低水準となった昨年12月と比べて1.9%増加し、53万 9000件となったもよう。一方、先行指標となる住宅着工許可件数は11 年初に建築基準の変更が実施される前に建設業者が承認獲得を急いだ 反動が出て、前月比で減少すると予想されている。

そのほかにもこの日は1月25、26日の連邦公開市場委員会(FO MC)議事録が公表される。同会合後に発表された声明では、景気回 復加速の兆候が表れているとしながら、失業率を大幅に引き下げるに は金融緩和措置がなお必要だとの認識が示された。

シティバンク銀の尾河氏は、同会合で議論があったかは不明だが、 「米経済指標が改善傾向にあるなかで、6月に終了するQE2(量的 緩和第2弾)以降どうするかという話にはなりやすい」と指摘。「これ まで国債の追加購入に反対姿勢だったプロッサー・フィラデルフィア 連銀総裁とフィッシャー・ダラス連銀総裁も金融政策の据え置きに賛 成票を投じたが、少しでもQE2を軟着陸という形で終わらせるとい うような流れが見えてくれば、ドル・円には上昇圧力がかかりやすく なる」と語った。

ドル・円相場は前日の海外市場で一時、83円92銭と昨年12月20 日以来の水準までドル買い・円売りが進行。寒波の影響で1月の米小 売売上高は予想を下回る伸びとなったが、影響は限定的で、この日の 東京市場でも83円66銭から83円84銭とドル高値圏での推移が続い た。

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