白川日銀総裁:長期金利の上昇は相対的に小幅にとどまっている

日本銀行の白川方明総裁は15日午 後、定例記者会見で、国内の長期金利が上昇していることについて「米 国経済の先行き見通しが改善して米長期金利が上昇し、グローバル化 した金融市場の下で各国の長期金利がこれにつれて上昇した」ことが 背景との見方を示した。その上で、「日本の長期金利の上昇は国際的に 見ると、引き続き相対的には小幅にとどまっている」と述べた。

国内長期金利の上昇が小幅にとどまっている背景については「日 銀が金融面での不均衡の蓄積を含めたリスク要因を点検し、問題が生 じていないことを条件にした上で、中長期的な物価安定の理解に基づ き物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで実質的なゼロ 金利政策を続ける方針を明らかにしている」と指摘。いわゆる日銀の 金融政策の「時間軸が相応の効果を発揮している」と述べた。

白川総裁は国内景気について「先月の中間評価で示した見通しに 沿って着実に前進している」と指摘。先行きの経済のリスク要因につ いては「上振れ、下振れともにおおむねバランスしている」と語った。

日銀は同日の金融政策決定会合で、景気の現状について「改善テ ンポの鈍化した状態から徐々に脱しつつある」として、前月の「改善 の動きに一服感がみられる」から情勢判断を上方修正した。

CPI改定の影響を意識

消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)については「基調 的に見ると下落幅が縮小している。特に高校授業料の実質無償化等の 影響を除くと、このところゼロ、ないしごく小幅のプラスで推移して いる」と述べた。先行きについては「引き続き下落幅が縮小していく」 としながらも、「8月に消費者物価の基準改定が予定されていることに 伴い、下落方向に数字が拡大することは意識している」と述べた。

国際商品市況の上昇については①エネルギー効率が低く、消費に 占める食品支出のウエートの高い新興国の高成長という実需面の要因 ②天候不順、自然災害などに伴う供給不安③先進国の大規模な金融緩 和継続などを背景とする金融面の動き-が「国際商品市況の上昇を加 速している面がある」と指摘。さらに「最近では中東における地政学 リスクの高まりも市況押し上げ要因として指摘されている」と述べた。

国際商品市況の上昇が日本経済に及ぼす影響については「08年夏 ごろと比べると為替相場が円高方向にある分、交易条件悪化の影響が 一定程度相殺されている面はある。また、世界経済が減速局面にあっ た当時と比べ、現在は世界経済の成長率が高まっていくことが見込ま れている。このため現時点で、日本経済が緩やかな回復経路に復して いくという中間評価の見通しを変更する必要はない」と述べた。

プラス、マイナス要因をバランスよく点検

国際商品市況の上昇が物価に与える影響については「マクロ的な 需給バランスが改善していく下で、市況が国内物価に徐々に波及して いき、物価の上振れ要因となる可能性がある。一方で、こうした物価 上昇が実質的な所得減少を通じて経済にマイナスの影響を強く与える 場合には、やや長い目でみて物価の下振れ要因になる可能性もある」 と語った。

その上で「いずれにせよ、日銀としてはこの国際商品市況の影響 を注意深く点検し、景気、物価に与えるプラスとマイナスの影響をバ ランスよく点検していきたい」と述べた。

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