日銀会合:改善テンポ鈍化から徐々に脱しつつある-判断上方修正

(発表内容を追加し、更新します)

【記者:日高正裕】

2月15日(ブルームバーグ):日本銀行は15日午後、同日の金融 政策決定会合で、景気の現状について「改善テンポの鈍化した状態か ら徐々に脱しつつある」として、前月の「改善の動きに一服感がみら れる」から情勢判断を上方修正した。金融政策運営については現状維 持を全員一致で決定したと発表した。

日銀は資産買い入れ等基金のうち、長期国債や社債、指数連動型 上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)など金融資 産買い入れの規模を「5兆円」に、新型オペ(固定金利方式の共通担 保オペ)は「30兆円」にそれぞれ据え置いた。政策金利も「0-0.1%」 に据え置いた。

日銀は声明文で、輸出と生産は「増加基調に復する動きがみられ る」として判断を上方修正した。景気の先行きについても「改善テン ポの鈍化した状況から脱し、緩やかな回復経路に復していく」との見 通しを示した。白川方明総裁は7日の講演で、景気は「踊り場から脱 却する蓋然(がいぜん)性が高まってきた」と述べた。

日銀は景気のリスク要因について「上振れ要因として、旺盛な内 需や海外からの資本流入を受けた新興国・資源国の経済の強まりなど がある。一方、下振れ要因としては、引き続き、米欧経済の先行きや 国際金融市場の動向をめぐる不確実性がある」との判断を据え置いた。

物価のリスク要因も据え置き

物価面のリスク要因についても「新興国・資源国の高成長を背景 とした国際商品市況の一段の上昇により、わが国の物価が上振れる可 能性がある一方、中長期的な予想物価上昇率の低下などにより、物価 上昇率が下振れるリスクもある」との判断を維持した。金融政策運営 についても「今後とも先行きの経済・物価動向を注意深く点検した上 で、適切に政策対応を行っていく方針」をあらためて表明した。

昨年10-12月の実質国内総生産(GDP)1次速報値は前期比年 率1.1%減。シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「輸 出・鉱工業生産の持ち直しが既に鮮明となっており、景気局面は大き く変化している。1-3月の成長率は輸出、住宅投資、設備投資、公 共事業の増加によりプラスに戻る可能性が高い」としている。

一方、昨年10-12月のGDPデフレーターは前年同期比1.6%低 下と、前期(2.1%低下)からマイナス幅は縮小したが、依然デフレ が続いていることを示した。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の 石井純チーフ債券ストラテジストは「物価は需給バランスの改善によ り下落率が縮小に向かうものの、今年8月の消費者物価指数(CPI) の基準改定に伴い下方修正される公算が濃厚だ」と指摘する。

基準改定でCPIは下方修正へ

12月のコアCPI(除く生鮮食品)は前年同月比0.4%低下と22 カ月連続でマイナスとなったが、マイナス幅は3カ月連続で縮小した。 ただ、8月にCPIの基準年が2005年から10年に改定されるのに伴 い、コアCPIの前年比は1月にさかのぼって改定される。エコノミ ストの間では、0.5ポイント前後下方修正されるとの見方が強い。

HSBC証券の白石誠司チーフエコノミストは「コアCPIは高 校授業料無償化のデフレ圧力が消える4月以降、小幅ながら前年比上 昇となる」としながらも、8月の基準改定や10月以降のたばこ増税イ ンフレ圧力の消滅もあり、特に食料、エネルギーを除くコアコアベー スでの「デフレ長期化公算には大きな変化は生じない」と指摘する。

日銀は昨年10月5日の金融政策決定会合で包括緩和を打ち出し、 政策金利を0-0.1%とするとともに、物価の安定が展望できるまで実 質ゼロ金利政策を継続すると表明した。日銀の物価安定の理解はCP I前年比で2%以下のプラスで、委員の大勢は1%が中心と考えてい る。このゼロ金利解除までの予想期間がいわゆる時間軸だ。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「円高が進 行し、株安が進めば、ゼロ金利政策の時間軸が長期化する可能性があ る」としながらも、「円高が進んでいても株安が進まなければ、必ず しも時間軸は長期化しない」と指摘。「仮に円高が進んでも、株価が 崩れることがなければ、政治的な緩和圧力はそれほど高まらないので はないか」としている。

議事要旨は3月18日に公表される。白川方明総裁は午後3時半に 記者会見する。

金融政策決定会合、金融経済月報等の予定は以下の通り。

会合開催       総裁会見 金融経済月報  議事要旨
3月14、15日   3月15日     3月16日    4月12日
4月6、7日   4月7日     4月8日    5月9日
4月28日       4月28日       -        5月25日
5月19、20日   5月20日     5月23日    6月17日
6月13、14日   6月14日     6月15日    7月15日
7月11、12日   7月12日     7月13日    8月10日
8月4、5日   8月5日     8月8日    9月12日
9月6、7日   9月7日     9月8日    10月13日
10月6、7日   10月7日     10月11日    11月1日
10月27日       10月27日      -         11月21日
11月15、16日  11月16日     11月17日  12月27日
12月20、21日  12月21日    12月22日    未定

総裁会見は午後3時半。金融経済月報は午後2時、経済・物価情 勢の展望(展望リポート)は4月28日、10月27日。議事要旨は午前 8時50分。

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