ユーロが対円で下落、欧州不安くすぶり112円台後半-ドル高は一服

東京外国為替市場ではユーロ売り が先行し、対円で今月9日以来の安値をつけた。ユーロ圏財務相会合 を控えて、ポルトガルなど欧州周縁国の債務問題があらためて意識さ れやすい面があり、ユーロは上値の重い展開となった。

一方、米国の景気回復期待を背景としたドル高の流れは一服。ア ジア株の堅調推移を背景にリスク許容度の改善が期待されるなか、ド ルは対ユーロで約3週間ぶり高値に迫ったあと、伸び悩んだ。ドル・ 円も約1カ月ぶりのドル高水準付近から値を切り下げている。

午後4時25分現在のユーロ・円相場は1ユーロ=112円71銭前 後。ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.3547ドル、ドル・円は1ドル= 83円20銭前後となっている。

上田ハーローのシニアアナリスト、山内俊哉氏は、ユーロについ て「週末にギリシャ国債が売られたことも1つのリスク要因だ」とし、 エジプト情勢がひとまず落ち着き、ユーロ相場と相関の強い原油相場 が下がったことも一部のユーロ売りにつながったと解説した。

米国では今週、1月の小売売上高や住宅着工件数、消費者物価指 数、鉱工業生産指数、2月のニューヨーク連銀製造業景況指数などの 経済指標の発表が相次ぐ。また、16日には1月25、26日の連邦公開 市場委員会(FOMC)議事録が公表される。

山内氏は「欧州でもドイツのGDP(国内総生産)などが発表さ れるが、基本的に今は米国の指標が注目されている」とし、ここにき て鮮明になりつつある米指標の改善傾向が続くかどうかがポイントに なると指摘。その上で、足元では株価が堅調なこともあり、ドル高の 流れは一服しているが、「基本的にはドルが買われやすい」との予想を 示した。

欧州債務懸念

欧州では14日にユーロ圏財務相会合、15日に欧州連合(EU) 財務相会議が開かれる。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏は、当然欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の機能 強化の話は出るだろうが、「独仏首脳の話では3月着地という話なの で、今回いきなり結論を見るのは難しい」と語る。

先週の欧州債券市場ではポルトガルの10年債利回りが一時、ユー ロ導入来の最高となる7.64%前後まで上昇。市場ではポルトガルの債 券利回りが7%を超える水準で推移し続けた場合、ギリシャやアイル ランドに続いてポルトガルもEFSF活用を余儀なくされるとの懸念 が強まっている。関係者によると、ECBは10日、ポルトガル国債を 購入したもよう。

一方、ギリシャ政府は12日、EUと国際通貨基金(IMF)当局 が国家資産の売却による収入を従来見積もっていた70億ユーロ(約 7900億円)から500億ユーロに増やすよう求めたことについて「受け 入れ難い」と批判した。ギリシャはデフォルト(債務不履行)回避の ため、EUとIMFが設定した総額1100億ユーロの融資枠による救済 を受けている。

ユーロ・円相場は前週末に1月28日以来のユーロ高・円安水準と なる113円44銭をつけたが、この日の東京市場では113円台前半から 一時112円49銭までユーロ売りが進んだ。

ユーロ・ドル相場も朝方に一時、1.3501ドルまでユーロ売りが先 行し、前週末につけた1月21日以来のユーロ安値(1.3497ドル)に 接近。ただ、その後はユーロを買い戻す動きも見られ、午後には1.3554 ドルまで値を戻す場面が見られた。

一方、ドル・円相場は前週末に83円68銭と1月7日以来の水準 までドル高・円安が進んだが、週明けの取引では一時83円15銭まで ドルが反落。資産管理サービス信託銀行資金為替部の野村祥宏調査役 は、きょうは国内輸出企業などの円買いが「結構出ている」と話して いた。

米国景気

15日に米商務省が発表する1月の小売売上高は、ブルームバー グ・ニュースがまとめたエコノミスト62人の予想中央値で前月比

0.5%増加が見込まれている。大雪などの悪天候に見舞われる前に、小 売業者による年末商戦後の販売促進活動が消費者の呼び込みに成功し たためで、米景気が立ち直りつつある状況を示すとみられる。

また、みずほコーポレート銀の唐鎌氏は、16日発表のFOMC(1 月25、26日開催分)議事録では、緩和策の継続に「あれほど反対票が 出ると言われていたのが、満場一致だったわけで、その経緯が注目さ れる」と指摘。内容次第では出口戦略への思惑が再浮上し、ドルが買 われる可能性もあると語った。

一方、この日発表された日本の昨年10-12月期の実質GDPは5 四半期ぶりのマイナス成長となったが、円相場への影響は限られた。 内閣府が発表した四半期別国民所得統計によると、物価変動の影響を 除いた同期の実質GDPは前期比年率マイナス1.1%。ブルームバー グ調査の予想中央値は同2.0%減だった。

また、中国の税関総署がウェブサイトで発表した同国の1月の貿 易黒字は64億5000万ドルと、ブルームバーグ・ニュースがまとめた エコノミスト予想中央値の113億ドルを下回った。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクターの斎藤裕司氏 は、貿易黒字は予想より少なかったが、中身を見ると輸入が予想以上 に伸びており、中国景気の好調さを示していると解説。「貿易黒字は減 っているので、米国も文句は言いにくいだろう」と付け加えた。

14日の中国株式相場は大幅高。15日発表予定の中国の1月の消費 者物価指数(CPI)上昇率が予想を下回るとの観測が手掛かりとな り、上海総合指数は昨年12月22日以来の水準まで上昇している。

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