TB1年利回り0.17%台に上昇、短期債の需給悪化で-株高に警戒感も

財務省が実施した国庫短期証券(T B)1年物の入札では、最高落札利回りが0.17%台に上昇した。残存 期間1-2年程度の短期債の需給が悪化しているためで、背景には株 高や海外金利高による景況感の改善を投資家が警戒し始めた影響もあ るとみられる。

TB172回債の最高落札利回りは、前回1月の入札より3.3ベー シスポイント(bp)高い0.1727%に上昇した。昨年12月に0.1893% と1年5カ月ぶりの高水準を記録した後、日本銀行の積極的な資金供 給でいったん低下したが、日銀供給が続く中でも再び上昇した形だ。

東短リサーチの寺田寿明研究員は「予想通りの結果だ」と言う。 今月は残存1-2年の利付国債利回りが上昇していたためだ。1年物 は2.5bp上昇の0.17%近辺。新発2年債は0.195%から一時0.245% と1年3カ月ぶりの水準まで上昇し、その後も0.23%台で下げ渋って いる。

国内大手銀行のディーラーは、日銀のゼロ金利政策の時間軸が揺 らいでいるわけではないが、世界的な株高や海外の金利上昇が警戒さ れる中で、2年債を0.2%台で買いたいと言っていた人が0.1%台に下 がれば売りたいと言い始めており、投資姿勢が変化していると指摘す る。

日経平均株価は米国の景気期待などから100円超上昇して1万 700円台と、昨年5月以来の高値を付けた。政府が景気は「一部に持 ち直しに向けた動きがみられる」と基調判断を7カ月ぶりに上方修正 したほか、日銀の白川方明総裁も7日の講演で景気は「踊り場から脱 却する蓋然(がいぜん)性が高まってきた」と語っている。

東短リサーチの寺田氏は、短期債利回りの上昇で「結果的に時間 軸が短くなったように見えるが、金融政策に対する見方が変わったわ けではない」と言う。この日の入札では利回りが上昇したことで応札 倍率は前回の3.25倍から3.58倍に上昇しており、入札後も0.16%ま で買い戻され、金利上昇は一服したとみている。

国内大手行のディーラーは、米連邦準備制度理事会(FRB)が 量的緩和策の第2弾を6月に終了するとの見方が増えるなかで、日銀 は消費者物価(コアCPI)の低水準を理由にゼロ金利の長期化が見 込まれているが、世界的なインフレ圧力がどのように波及してくるか 分からない警戒感もあると話す。

需給悪化

国内証券のディーラーによると、短期債は発行量の多さに比べて投 資家が以前ほどは買わなくなっているという。決算期末を控えて銀行 勢が債券投資に慎重になっている影響も挙げ、短期債相場はしばらく 上値の重い展開が続くとみている。

6カ月物から1年物のTBはもともと投資家の需要が限られてい る上、日銀が今年に入ってTB買い切りオペを減らしていることでデ ィーラーの在庫も積み上がっている。TB1年物を落札したディーラ ーの中にはオペでの売却を期待している向きも多いという。

ユーロ円3カ月金利先物市場で、中心限月2011年12月物の先物 金利が0.4%前後で推移した。国内証券のディーラーは、現物債に対 するディーラーのヘッジ売りの需要が増えて、金利が下がりづらくな っているのではないかとみていた。

一方、証券会社の資金調達コストを示すレポ(現金担保付債券貸 借)は0.10-0.105%で低位安定。日銀の全店共通担保オペ1兆2000 億円(2月16日-3月15日)には9394億円の応札が集まった。3カ 月物の基金オペ8000億円の応札倍率は4.25倍と前回の3.89倍から上 昇した。

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