【日本株週間展望】じり高続く、米景気楽観-新興国インフレは警戒

2月第3週(14-18日)の日本株 相場は、じり高基調が続く見通し。米国景気の先行きに対する楽観的 な見方の広がりから、投資家のリスク志向は高まっている。欧米など 先進国の株式相場は高値を更新し続けており、日本株も好影響を受け そうだ。ただ、中国など新興国はインフレリスクが警戒され始めてい るため、上値は限定的になりそう。

住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、「グロー バルに景気は良くなってきている。ISM景況指数などセンチメント 系を中心に経済統計は良好で、ここで株式のエクスポージャー(リス ク資産保有)を落とすことは考えられない」と言う。ただ、中国の金 融引き締め懸念があり、「上値は追いにくい」と予想している。

第2週の日本株は、TOPIXが前週末に比べ1.2%高の946.63 で終了。週間では3週連続の上昇となった。9日の取引で一時951.28 と昨年5月11日以来、約8カ月ぶりの高値を更新。心理的な上値抵抗 ラインと見られていた1月13日の直近高値939.70を上抜けてきたた め、先高期待が広がっている。

投資家心理を好転させているのが、米国景気に対する楽観的な見 方だ。米労働省が4日発表した1月の雇用統計によると、失業率は2 カ月連続で低下し、09年4月以来の低水準を記録した。また、米連邦 準備制度理事会(FRB)が7日に発表した昨年12月の消費者信用残 高は3カ月連続で増加、クレジットカードなどの回転信用(リボルビ ングシステム)は08年8月以来、初のプラスに転じた。

岩井証券イワイリサーチセンター長の有沢正一氏は、「米景気は思 った以上に着実に回復している。雇用関連はまずまずだが、それ以外 の統計は強い内容だ。経済指標が発表されるたびに、景気に対する見 方が強気に傾いている」と話す。

米長期金利9カ月ぶり高水準

こうした中、米国のQE2(量的緩和第2弾)であふれた投資資 金は安全資産とされる国債から、リスク資産の株式などに流れる傾向 が加速している。米10年債利回りは8日の取引で3.74%と昨年4月 28日以来、約9カ月ぶりの高水準を付けた。日米金利差は拡大傾向に あり、為替市場では円高懸念が後退、日本株の足を引っ張ってきた円 高リスクが遠のいている。10年債利回り格差は、8日時点で2.4223% とこれも昨年4月来の高水準。ドル・円相場は1ドル=82円台で安定 推移している。

一方、米欧など先進国の株価は高値を更新しており、米S&P500 種が08年6月来、英FT100は同5月来、独DAXが同1月来のそれ ぞれ高値水準にある。不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(C BOE)のボラティリティ・インデックス(VIX)は8日に15.81 と、1月14日以来の水準に低下。昨年1年間の平均は22.55だった。

海外勢14週連続買い越し

東京証券取引所が10日発表した投資主体別売買動向(東、大、名 証1・2部合計)によると、リスク許容度の高まった海外投資家は2 月第1週(1月31日-2月4日)までに14週連続で日本株を買い越 した。連続での買い越し記録は、05年6月3週から12月1週までの 26週以来、約5年ぶりの長さ。買越額は累計で1兆9070億円に達し ている。

明和証券の矢野正義シニア・マーケットアナリストは、「米国のQ E2以降、金余りの状況が日本株を押し上げている。日本株は高値警 戒感がある中、じりじりと上昇しており、相場は意外に強いかもしれ ない」との見方を示す。

新興国リスク、中国の物価警戒

懸念材料は、中国を中心にした新興国のインフレリスクだ。米国 のQE2は原油や食品など世界の商品相場も押し上げたため、経済効 率の悪い新興国を中心にインフレが進んでいる。第3週に注目されて いるのが、15日発表の中国の1月の消費者物価指数(CPI)。ブル ームバーグ調査では、2年7カ月ぶりの高水準に達する可能性が予想 されており、継続的な金融引き締め、今後の中国経済の減速リスクが 警戒される。

ブルームバーグ・データによると、26人の民間エコノミストの中 国CPI予想は、平均値で前年比5.4%上昇と前回12月の4.6%上昇 を上回り、08年7月(6.3%上昇)以来の高水準を見込む。フェデレ ーテッド・インベスターズのファンドマネジャー、ローレンス・クリ アチュラ氏(ニューヨーク在勤)は、「中国は世界的な成長の非常に重 要な一部を占めており、同国経済の減速は米国を含めた世界中の輸出 企業に影響を及ぼす」と話している。

また、日本株は昨年11月以降、一本調子で上昇してきたため、き っかけ次第で売りが出やすい水準にもある。TOPIXは直近安値を 付けた昨年11月2日以降、18%上昇した。野村証券投資情報部の品田 民治課長は、「日米の企業決算発表は一巡し、手掛かり材料不足だ。先 行して上昇してきた業種が売られ、出遅れ業種に資金が向かうだろう。 全体相場の上値は重くなる」と見ていた。

このほか注目される材料は、米国で住宅や消費に関連した重要な 経済統計の発表が相次ぐ。統計の改善が続けば、日本株には追い風に なる可能性が高い。15日は1月の小売売上高、2月の住宅市場指数、 16日は1月の住宅着工・建設許可件数、連邦公開市場委員会(FOM C)議事録、17日に2月のフィラデルフィア連銀景況指数が発表予定。

【市場関係者の見方】 ●丸三証券投資情報部の中村明彦テクニカルアナリスト

チャート形状が非常に強く、日経平均株価は1万1000円を超える 可能性が高い。9月1日の底値をスタートと見ると、現在は3段目の 上げの途上。1段目の上げ(9月1日-10月7日:920円)を同幅計 算で足すと、当面の上値のめどは1万1100円近辺。週足のストキャス ティクスも買いとなっており、しばらく上値を追う展開が期待できる。

●証券ジャパンの大谷正之調査情報部長

国内では14日の10-12月GDP、米国では17日の消費者物価指 数など、経済指標を見ながらの動きとなろう。日米ともに株式相場は 過熱感があるため、場合によってはスピード調整もあり得るが、大き く下げることはないだろう。様子見を予想する。日経平均の予想レン ジは下値1万450円、上値1万700円。

--取材協力:鷺池秀樹、岩谷多佳子 Editor:Shintaro Inkyo、Makiko Asai

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