日銀会合は現状維持へ-踊り場脱却は濃厚、株価も堅調の見方背景に

日本銀行が14、15日開く金融政策 決定会合は、有力日銀ウオッチャー15人の全員が現状維持を予想した。 景気が踊り場を脱する可能性が高まっているとの見方に加え、株価も 堅調に推移している。日銀に対する政治圧力の高まりを指摘する向き は見られず、年度内の追加緩和を予想する声は小さい。

白川方明総裁は7日の講演で、足元の景気について「最近のデー タの動きを見ると、踊り場から脱却する蓋然(がいぜん)性が高まっ てきたと判断している」と語った。株価も堅調だ。9日の東京株式市 場は前日の中国の利上げにもかかわらず底堅く推移。日経平均株価は 4日ぶりに反落したものの、小幅安にとどまった。

バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジス トは「生産が10月を底に回復局面に入っていることがあらためて確認 されており、踊り場脱却の時期は四半期では1-3月、月次では11 月ということでほぼ確定したとみてよい」と指摘。野村証券の松沢中 チーフストラテジストも「生産、景気ウオッチャーに加え、輸出が底 入れを示し始めた。景気底入れ自体はもはやコンセンサス」という。

日銀は昨年3月のように景気判断を一部上方修正する一方で追加 緩和に踏み切ったこともあり、年度内の追加緩和観測が全く消えたわ けではない。円の対ドル相場は1ドル=82円台前半で推移しており、 同70円台までのりしろはそれほど大きくはない。

円高抵抗力が強まる

日興コーディアル証券の岩下真理チーフマーケットエコノミスト は「仮に70円台の円高進行となった場合、昨夏の再来となろう。円高 を受けて株安(日経平均の1万円割れ)となり、ようやく持ち直し始 めた企業や家計のマインドが再び一気に悪化しかねない。踊り場脱却 が視野に入っているとはいえ、年度末を前に急激な円高・株安となれ ば、資産買い取り等基金の増額を検討するだろう」とみる。

もっとも、日本企業の円高抵抗力が強まっているとの声も出始め ている。東短リサーチの加藤出チーフエコノミストは「円高にもかか わらず昨年10-12月の上場企業の経常利益は前年比24%増加した。 中小企業の多くも円高で深刻な打撃を受けたとは話していない。80円 を割れるくらいでは大きな影響はないと思われる」と指摘。「現時点で は3月会合での追加緩和策の可能性は低いだろう」という。

野村証券の松沢中チーフストラテジストも「中間決算後、企業決 算への為替の悪影響が思ったほど出ていなかったことから、市場でも 円は対ドルではなく対全通貨でみるべきとの認識は広まっているよう に思う。70円台入りに対して株価の反応は以前よりも小さいだろうし、 昨年10月の包括緩和決定時の水準(9300円程度)を下回ってこない ようであれば、追加緩和の引き金になるのかも疑問」とみる。

政治圧力高まらず

日銀への政治圧力について、みずほ証券の上野泰也チーフマーケ ットエコノミストは「政府・与党には日銀にかまっている余裕などあ まりないのではないか。与党内も一枚岩とはとうてい言い難い状況に なっている。それよりも、予算関連法案が成立する時期や、その場合 の与野党の妥結点(総辞職か解散か)などの方が、市場にとってはる かに重要なテーマだ」と語る。

シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストも「政治の混 乱は日銀への責任転嫁で糊塗(こと)できるレベルを超えている。景 気の循環回復が鮮明となる中、日銀への圧力は説得力を欠くものとな りやすく、昨年のように圧力が強まることは想定しにくい」という。

一方、日銀は踊り場脱却が近いというメッセージを発しながらも、 4日公表された半年に1度の金融市場リポートは「10年下期と同様、 今後も米国経済に対する見方が楽観論と悲観論の間で大きく振れる可 能性があることに留意する必要がある」と指摘した。

米住宅価格は再下落

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラ テジストは米国経済について「住宅価格の再下落が鮮明化しつつため 債務デフレ圧力が再燃し、バランスシート調整は長期化の様相を呈し ている」と指摘する。昨年11月のS&Pケース・シラー住宅価格指数 は前年同月比1.6%低下と、09年12月以来で最大の下げ幅を記録。20 都市のうち9都市では住宅バブル崩壊後の最安値を下回った。

JPモルガン証券の菅野雅明調査部長は「世界景気と世界の株価 が上昇基調にある中で円高が進んでも、実体経済に及ぼす影響は軽微 だ。ただし、世界経済の成長が減速し、米国がQE3(量的緩和第3 弾)など予想外の政策を打ち出した結果、円高が進む場合は、日銀も 追加緩和が求められるだろう」としている。

============================================================= ◎利上げ予想時期は次の通り(敬称略)

【2012年4-6月】信州大学真壁昭夫教授

【2012年10-12月】野村証券松沢中チーフストラテジスト(0-0.1% から0.1%へ)

【2013年以降】三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ 債券ストラテジスト、日興コーディアル証券の岩下真理チーフマーケ ットエコノミスト、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミ スト、東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト、JPモルガン証券 の菅野雅明調査部長、第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミス ト、BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミスト、モルガン・ スタンレーMUFG証券の佐藤健裕チーフエコノミスト、東海東京証 券の佐野一彦チーフストラテジスト、HSBC証券の白石誠司チーフ エコノミスト、クレディスイス証券の白川浩道チーフエコノミスト、 シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミスト、バークレイズ・ キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジスト ============================================================= 無担保コール翌日物金利の予想は以下の通り(敬称略50音順)

                        11   11   11   11   12   12   12   12
                      3末 6末 9末 12末 3末 6末 9末 12末
-------------------------------------------------------------
調査機関                15   15   15   15   15   15   15   15
 中央値                0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
 最高                  0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25 0.25 0.25
 最低                  0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
-------------------------------------------------------------
三菱UFJ・MS 石井      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
日興コーディアル岩下        0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
みずほ証 上野          0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
東短リサーチ 加藤      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
JPモルガン証 菅野         0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
第一生命経研 熊野      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
BNPパリバ証 河野     0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
モルガン・スタンレーMUFG 佐藤  0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
東海東京証券 佐野   0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
HSBC証 白石        0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
クレディS証 白川      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
信州大 真壁            0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25 0.25 0.25
野村証 松沢            0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
シティG証 村嶋        0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
バークレイズC証 森田      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10

(注)無担保コール翌日物金利の予想の0.10%は政策金利「0-

0.1%」の現状維持を意味します。松沢氏は12年10月に「0.1%前後」 へ引き上げを予想。アンケート回答期限は9日午前8時。「日銀サー ベイ」金利予想、経済・物価情勢、金融政策の展望コメントを10日朝 に送信しました。

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