円じり安、日本国債の格付け懸念-対ドルで一時1週間半ぶり安値

東京外国為替市場では円がじり安。 リスク選好の動きから円やドルに売り圧力がかかった海外市場の流れを 引き継いだ。また、午後には日本国債の格付けに対する懸念から円売り が強まる場面も見られ、対ドルで一時、約1週間半ぶり安値をつけた。

ドル・円相場は1ドル=82円台前半から一時、1月28日以来の 水準となる82円51銭まで円安が進行。その後、米格付け会社ムーデ ィーズ・インベスターズ・サービスのトーマス・バーン氏が日本国債の 格付け見通しについて安定的と発言したことが伝わると、円は下げ渋る 展開となり、午後4時4分現在は82円40銭前後で推移している。

野村証券金融市場部のエグゼクティブ・ディレクター、高松弘一氏 は、1月下旬にスタンダード&プアーズ(S&P)が日本国債を格下げ した後ということもあり、「ムーディーズもか、といううわさがある」 と指摘。その上で、「米金利の上昇を背景にドル買いが入りやすい状況 のなか、ドル・円は上値が抑えられているため、ドルが上昇すれば、 「当然ストップ(損失を限定するためのドル買い・円売り注文)もある だろう」と話していた。

ユーロ・円相場は1ユーロ=112円ちょうど付近から一時、約1週 間ぶりの水準となる112円58銭までユーロ買い・円売りが進行。前日 の海外市場では中国の利上げを受け、一時、111円60銭までユーロ 安・円高に振れる場面が見られていた。

また、ドルも上値の重い展開となり、対ユーロでは1ユーロ=

1.36ドル台前半から一時、1.3663ドルまで下落。三菱UFJモルガ ン・スタンレー証券クレジット市場部為替課長の塩入稔氏は、きょうも アジアでは自国通貨高を抑制するためのドル買い介入の話が聞こえてお り、目先はそれに伴う「リバランス(再調整)」のドル売りが出るのか どうか、また中国株の終わり方がどうなるかが注目だと指摘していた。

ムーディーズ

米格付け会社ムーディーズのトーマス・バーン氏は9日、日本国債 の格付け見通しは安定的と述べた。ブルームバーグ・ニュースのインタ ビューで語った。バーン氏は、財政問題の解決は早ければ早い方がいい と指摘。一方、日本国債のリスクプレミアムはかなり小さいと語った。

これに対し、S&Pは先月27日、日本の外貨建て・国通貨建て長 期ソブリン格付けを、「AA」から「AA-」に引き下げたと発表。格下げ 発表後、外国為替市場では円が一時急落し、対ドルでは同月12日以来 の安値となる83円22銭をつけた。

中国利上げ

中国人民銀行(中央銀行)貨幣政策委員会の李稲葵委員は、直近の 利上げは主としてインフレ期待への対応を目指したものとの認識を示し た。中国紙、成都晩報が9日、同委員とのインタビューを基に伝えた。

人民銀は8日、昨年10月中旬以降で3回目となる政策金利引き上 げを発表。2年半ぶり水準に加速したとみられる1月のインフレ率発表 を前に、追加利上げを決めた。

みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト、上野泰也氏は9日付 のリポートで、中国の利上げについて、物価上昇への国民の不満に目配 りしつつも、「金融引き締めの行き過ぎが景気の急激な悪化につながる のを防ぐことを、はるかに高い優先事項に据えている可能性が高い」と して、小幅な引き上げにとどまったと指摘。また、中国の利上げにもか かわらず、米国株が続伸したことで、「中国リスクに対する米国株の耐 久力が高まってきている」と解説した。

前日の米株式相場は週間米小売売上高の持ち直しなどを好感して上 昇し、ダウ工業株30種平均は終値ベースで2008年6月16日以来の 高値を記録。投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CB OE)のボラティリティ・インデックス(VIX)は15.81と1月14 日以来の水準に低下した。

一方、春節(旧正月)明け9日の中国株は下落。東京株式相場も続 伸して始まったものの、金融引き締めによる中国経済や中国株への悪影 響が警戒され、午後には下落に転じた。

米債入札とFRB議長証言

米国ではこの日、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議 長が下院予算委員会で証言するほか、米10年債の入札が行われる。

外為どっとコム総合研究所の植野大作主席研究員は、3年債の入札 が不調で金利が上昇したことを受けて、10年債の入札もあまり良くな いのではないかという見方も生じており、入札後の金利動向が警戒され ると指摘。その上で、「ここにきて長期金利が急に上昇していることに 対して、バーナンキ議長がけん制球を投げたりすると、金利が低下しド ルが下落する展開も予想される」と話した。

前日の海外市場では米3年債の入札不振を受けて、米国債相場が下 落。10年債利回りは3.3%と昨年4月30日以来の水準へ上昇し、2年 債利回りは一時0.85%と、昨年6月以来の高水準をつけた。

ドル・円相場は中国の利上げを受け、海外時間に一時、81円78 銭まで円高が進んだが、米債利回りの上昇を背景にその後、82円42 銭まで円が反落。この日の東京市場でも82円台で円が上値の重い展開 が続いた。

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