中国は日本国債を短期売り・中長期買い-金利上昇・円安で

財務省が8日発表した昨年12月の 国際収支状況(速報)の対内証券投資によると、中国は日本国債など の対日証券投資で1773億円を売り越した。米量的緩和政策を受けた米 インフレ観測から日米金利が上昇(債券価格は下落)する一方、円安・ ドル高に振れた局面で、短期債の保有を減らす半面、中長期債は買い 越した。

中国の対日証券投資は2010年初めから7月までの買い越し額が 2兆3159億円と過去最大だった05年通年の約9倍に上ったが、8月 は一気に2兆182億円の売り越し。通年でも4677億円の純減となった。 ただ、12月の内訳は短期債が2435億円の売り越しだが、中長期債は 661億円の買い越し。10月以降の3カ月間で約1427億円、中長期債の 保有を増やしている。

日興コーディアル証券の野地慎シニア債券為替ストラテジストは、 中国をはじめとする新興国も「外貨準備では資産配分の調整を最も重 視する」が、ある程度は「収益マインドも持っている」と指摘。国債 利回りが上昇する場面で購入を増やす傾向は「米欧の資産に対しては 明らか」だが、金利が低い日本国債に対しても「多少はあるようだ」 との見方を示した。

国庫短期証券6カ月物利回りは円高・株安が進んだ10月に、日本 銀行が量的緩和政策を解除した06年3月以来となる0.105%前後に低 下(価格は上昇)。12月14日には約1年ぶりに0.140%程度まで上昇 (価格は下落)した。5年債利回りもほぼ同時期に、03年6月以来の 低水準0.200%から、約1年1カ月ぶりに0.610%程度まで上昇。長期 金利の指標とされる新発10年物国債利回りも、03年7月以来初めて

0.820%に低下した後、1.295%と約7カ月ぶりの高水準に達した。

世界最大の外貨準備

円の対ドル相場は昨年11月1日に一時1ドル=80円22銭と、 1995年4月に記録した戦後最高値79円75銭に迫ったが、米国の金利 上昇や減税を受け、12月15日には約2カ月半ぶりに84円51銭まで 下落した。

中国の外貨準備高は12月末に2兆8473億ドルで世界最大。1年 間で18.7%増え、2位の日本の約2.6倍となった。中国国家外為管理 局(SAFE)は7月、同国ではドルとユーロ、円が主要な準備通貨 だと説明。構成比率を積極的に調整する方針を示した。中国証券報は 9月、外準の通貨別構成は世界的な平均に近い、と報じた。世界的な 平均はドルが65%、ユーロが26%、英ポンドが5%、円が3%だとい う。

世界的な金融危機を受けた米金融緩和を背景にドルが中長期的に 下落する中、中国は韓国国債などへの分散も進めている。韓国金融監 督院(FSS)によると、12月は海外投資家全体では過去最高の売り 越しとなったが、中国の買い越し額は前年比23%増加。年末の保有残 高は6兆5700億ウォンと、09年末の3倍超に拡大した。

外貨準備、日本国債へ

JPモルガン・チェース銀行の佐々木融債券為替調査部長は、中 国は「12月は円・ドルと日本国債の相場が軟調だった場面で、いった ん利益確定に動いた」と分析。ただ「中国を含む各国の外貨準備が日 本の国債市場に向かう基調は変わらない」と予想した。外準の運用で は「リターンより流動性が重要だ」と指摘。売買可能な国債の市場規 模が「米国債にほぼ匹敵し、安定性も高い」日本が分散投資の「受け 皿となるのは自然なことだ」と語った。

米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は1月 27日、日本の外貨建て・自国通貨建ての長期国債格付けを最上位から 3番目の「AA」(ダブルA)から「AA-」(ダブルAマイナス)に 1段階格下げしたと発表した。格下げは02年4月以来。見通しは「安 定的」とした。ただ、10年債利回りは31日、約半月ぶりに1.2%を割 り込む(価格は上昇)場面があった。

ドルからの分散投資を進める一方、中国は世界最大の米国債保有 国でもある。米財務省によると、直近の11月は8956億ドル。過去最 高だった09年7月の9399億ドルを4.7%下回る。2位は日本で8772 億ドル。12月分は15日に発表される。

財務省の統計によると、中国を含む12月の対内証券投資全体では 1兆3490億円の売り越し。短期債が8966億円、中長期債は1兆457 億円の売り越し、株式は5933億円の買い越しだった。昨年1年間では、 全体で9兆6084億円の買い越し。内訳はそれぞれ6兆2425億円、4471 億円、2兆9188億円の買い越しだった。

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