ムチをアメに替えたメルケル独首相、債務危機を好機にユーロ圏改造へ

ドイツのメルケル首相は欧州のソ ブリン債危機を、ユーロ圏をドイツが思い描くように変革する好機と 捉えている。

スペインが年金支給の開始年齢を引き上げ、ギリシャは賃金をカ ット、ポルトガルは過去30年で最大の歳出削減を強行しており、無条 件で隣国を支援はしないとのメルケル首相の決意は効果の兆しを見せ ている。

導入から12年となるユーロが市場の手によって消滅させられかね ないという不安を打ち消そうと、メルケル首相はアメをムチに持ち替 え、欧州一の経済大国であるドイツを救済強化の立役者に仕立て上げ つつある。共産主義の旧東ドイツで育った科学者、メルケル首相(56) はこれまで、ユーロは第2次世界大戦後の欧州という「概念をひとつ にまとめたもの」との認識を示している。

1991年からユーロ創設を定めたマーストリヒト条約が発効した 93年までドイツ連邦銀行の総裁を務めたヘルムート・シュレジンガー 氏は電話インタビューで、ドイツの取り組みについて「タイミングも 構想も正しい」と評価する。ギリシャやアイルランドの救済資金を最 も多く負担するドイツには、「提案を打ち出し、実行まで見届ける特 別な責務がある」と述べた。

重債務国に対する徹底的な監視と厳格な罰則を設けることで、メ ルケル首相はユーロ創設時に始まった目的を完遂することになる。 1990年代のドイツの歴代首脳は、欧州中央銀行(ECB)にドイツ連 銀と同じインフレ抑制という使命を持たせたが、各国の財政政策を厳 しく管理するという任務は課さなかった。

戦後ドイツがモデル

その結果として危機が発生。市場の沈静化を目指す政策当局者の 前例のない取り組みを妨げ、ユーロ存続への疑念をかき立てた。

メルケル首相とほかのEU各国首脳はこの日、ブリュッセルで臨 時首脳会議を開催。3月下旬までの取りまとめを目指す計画の進ちょ く状況を検証した。この計画には域内救済基金の権限拡大のほか、救 済融資の金利引き下げや経済政策の協調強化などが含まれる可能性が ある。

同首相の役目は2つ。自らが不可欠とみているユーロの防衛と、 健全な財政と信頼できる通貨、安定した成長という戦後ドイツの回復 を支えた経済モデルにユーロ圏を移行させることだ。

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