ローチ氏:米国はドル下落圧力に直面へ、中国の輸出依存後退の動きで

中国による輸出依存度削減の動 きは、米国が財政赤字を減らし対外債務を縮小させるより速く進む とみられ、結果としてドルはサポートを失い、為替市場は不安定化 する。モルガン・スタンレー・アジアのスティーブン・ローチ会長 が予想した。

ローチ会長は2日、ノルウェーの首都オスロでインタビューに 応じ「今後3-5年、中国は積極的に個人消費の拡大と黒字削減に 取り組む」と予測、その上で「米国ではこれについて議論はされて いるものの、同期間に財政赤字を削減していくことを示す兆しのか けらもない」と指摘した。

中国政府の1月の発表によると、輸入が輸出を上回って拡大し、 2011年1-3月(第1四半期)にも貿易収支が赤字に転落する可能 性がある。国民が豊かになる中、輸出主導型で10%近い経済成長を 達成するパターンは後退し、中国がドルを支える大きな動機は取り 除かれつつある。その一方で、米国はオバマ政権が景気刺激を目指 す中で、11年度(10年10月-11年9月)の財政赤字が1兆5000 億ドル(約122兆円)に膨らむ見込みだ。

ローチ会長は「米国は、中国が黒字対処に動くより先に赤字削 減に取り組まなければ、海外からの資金調達の面でかなり厳しい状 況に直面する」との見通しを示した。「その場合、同時に起こるか は分からないが、ドルに相当な下押し圧力、米長期債利回りには上 昇圧力がかかることになろう」と指摘した。

中国は貿易黒字の対国内総生産(GDP)比を3-5年で4% 未満に減らすことを目指しており、ローチ会長は米国が海外からの 資金調達と決別する前に中国が輸出依存度を低下させるリスクは 30%以上だと語った。「回避できないことなどないが、このシナリ オに向うリスクは大きいと考える」と述べた。

中国は米国債保有額で世界一だが、昨年11月の保有は前月比 112億ドル減の8956億ドルだった。ローチ会長は「中国がドル建て 資産の大幅圧縮にかじを切れば、人民元は急激に上昇し、同国の輸 出競争力が打撃を受けるだろう」とし、「中国はそのリスクをとる 準備はできてない」と指摘。しかしその上で、中国は国民が貯蓄を 減らし消費を拡大する中で、徐々に米資産の保有を減らしてくると 予想する。

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